山形・酒田からの来客(3)
前記事の続きです。
Oさんから紹介された2つ目の話題は、人工餌の開発問題でした。
かれは、餌メーカーM社と協力して日本初のアミノ酸などを配分した人工餌を開発し、それを酒田沖の真鯛が摂取しているところを見られて喜ばれたそうです。
それまでは、生の餌か疑似餌しかなく、そこに人工餌という全く新しい「非常識」が登場して、鯛釣りの常識が塗り替えられたのでした。
幼いころから「釣り名人」として腕を磨いてきたOさんならではの快挙といえます。
Oさんからは、20年以上も前に、約8億円もかけて建造したクルーザーの生け簀水槽に光マイクロバブル装置を導入できないか、という話が持ち込まれ、私の相棒(㈱ナノプラネット研究所社長)が、その対応を行ったことがありました。
それ以来のことでしたので、この釣り名人の数々の武勇伝や光マイクロバブルに関する実施例などの話を、それこそ20年分ほど聞かせていただきました。
根っからの技術屋とプロともいってよい釣師の話は、おもしろく、魅力的でした。
私も、光マイクロバブルと釣に関する話をおもいだしながら、それぞれのエピソードについて、最新の海水光マイクロバブル研究成果を踏まえながら詳しく紹介しました。
深刻な水産養殖状況
これらを踏まえた論議の焦点は、いかにして日本の水産業を復興させるのかという、かなり大きなテーマでした。
最近の異常高温化は、日本全国の海域において非常に深刻な被害をもたらしています。
日本各地の閉鎖海域において二枚貝や魚の大量斃死問題が発生し、メディアによっても大きく報じられています。
とくに最近では、広島湾において9割近くの養殖カキが大量斃死したことが報告され、その原因として夏場の異常高温との関係が専門家たちによって述べられています。
問題は、11月にもなって、その斃死問題が論じられていることにあり、それは、おそらく8月前後に起きていたことであり、その斃死を最小限に抑える対策が何もなされていなかったことにあります。
カキが斃死し始めると、そのカキ筏付近の溶存酸素濃度が低下して、その急速な拡大によって連鎖反応的に斃死が起こりますので、それを一早く見つけて、安全な海域へと緊急避難ができたはずです(今回の被害地域は広島湾の東側であり、広島湾の南側水域では斃死していなかった)。
これらは、公共的試験機関の仕事でもあり、その対策ができていなかったことでもあります。
また、今年の夏には、鹿児島のカンパチ養殖においても大量斃死が起こり、その相談を受けました。
その時の海水温を調べてみたら、平年よりも、そして昨年よりも約2℃もの異常高温が発生していました。
海水表面から水深5mまでが、この最高温海水層でしたので、それよりも深くなるにしたがって水温が下がるという状況でした。
この温度勾配によって温度成層が安定して形成されることによって、海水の上下運動がほとんどなくなります。
ところが、カンパチの稚魚の生け簀は、虫を付着させないために水深5m以下に設置されていましたが、これが、その斃死を助長させていた可能性がありました。
海水の上下運動がない海域で、一匹のカンパチの稚魚が斃死すると、それが腐敗して酸素を奪い、連鎖反応的に斃死を拡大していくことが起きたのではないかという指摘を行っておきました。
溶存酸素濃度を常時計測し、生け簀の水深も、それに合わせて決めることが重要ですよという助言をしておきました。
来年は、もっと被害が出る可能性がありますので、要注意が必要です、といっておきました。
さて、日本の沿岸における水産業は、容易ならざる事態を迎え、従来の衰退産業から、貴重なタンパク質供給産業への切り替えが非常に重要になってきています。
そのために、何を成すべきか、これもOさんとの重要な論議のテーマとなりました。
次回は、この問題について、より具体的に分け入ることにしましょう(つづく)。

コメント
コメント一覧