6100回記念(2)

 昨日の記事において、一つの「新たな到達点」として、FOAMYイノベーションの基本骨格をなしている「技術イノベーション」と「技能イノベーション」の融合問題を取り上げました。

 この両者は、互いにそれぞれの固有の特徴を有しながらも、互いの要素が共鳴して相乗的に発展し合うという相互関係にありました。

 前者は、労働手段としての光マイクロバブルフォーム発生装置であり、後者は、その担い手であるトリマーという仲の関係にありました。

 もともと、犬は、自分の身体が汚れても平気、あるいは各種の汚れが発生しても、それを前提として進化してきた動物です。

 そのために、外毛と内毛という被毛の二重構造、皮脂という皮膚と被毛を守るバリアを形成させている、静電気で、汚れや水分を撥水する、体温を保つために被毛を小さくして密植させるなどの身体的利点を有するようになりました。

 しかし、その汚れが重なり、その皮脂のなかに細菌が生殖し、強烈な臭いを発するようになると、その飼い主は、その除去を希望するようになり、この因果関係によって、犬の被毛の洗浄とカットを行うトリマーという職業が成立するようになりました。

 飼い主では、到底、ペットとしての犬をきれいに洗うことができない、臭いも落とせない、カットも難しいなどの理由から、ここは、その専門家のトリマーに頼むしかない、このような事情が生まれたのでした。

 また、この仕事は、ワンちゃんをやさしく、丁寧に取り扱う女性向きであったことから、看護士や美容士などに続いて女性が進出する職場にもなり、なかには個人でドッグサロンを経営する方まで出現してきたのです。

 しかも、このドッグサロン店は、飼い主さんの住宅に近い処がよく、都会のど真ん中では成り立ちません。

 すなわち、地域社会の街角で成り立つ店と職業であり、それが女性の自立を促す職業として地域社会の形成にも貢献されてきたのでした。

ヒトと犬

 犬は、もともと、人間とは無縁の野生動物でしたが、いつしか、ヒトから餌を与えれるようになってから、ヒトとの共生の道を自ら欲して歩むようになりました。

 ここから、ヒトと犬が共に生きる長い時代が始まり、今日に至っています。

 そして近代になり、ヒトが犬をペットとして可愛がる時代となり、それを支援するトリマーが出現してきたのです。

 これは、犬にとっても、飼い主にとっても幸いなことであり、そこのトリマーが加わるという三角関係が形成され、新たな「幸いの定着」がなされたのでした。

何が技能イノベーションなのか?

 さて次に、何が技能イノベーションなのか、この問題にふかく分け入っていきましょう。

 FOAMY(㈱Nanoplanet Nebula製)が出現する前の洗浄法は、次の方式でした。

 ①犬の身体を濡らして、そこにシャンプーを注いで被毛を手もみしながら泡づくりを行う。

 犬の外毛は、本来、水を弾くようにできていますので、内毛にまで水が浸入することが難しく、そのために、水をかけ続けて、時間をかけて濡らしていく、これが結構大変なことでした。

 ようやく、なかまで濡れることになり、シャンプー液を掛けていきますが、ここで、次のジレンマが生まれていました。

 1)泡づくりには、シャンプー濃度が高いほどよいが、そのために皮膚や被毛に対する刺激も大きく、その負担をかけたくない。

 しかも、トリマーの指にもよくない。

 シャンプーの使用量が増えて、経済的負担が増える。

 2)シャンプー濃度を低くすると今度は泡が上手く発生しなくなる。

 これでは、おもうように汚れが落ちなくなる。

 つまり、この従来法においては、泡づくりとシャンプー濃度の問題が、二律背反の関係にあったのです。

 それゆえ、トリマーとしての最初の修行のひとつが、いかに、シャンプーの使用量を控えながら、より細かい泡を、よりたくさん作るかが技能的課題になっていたのです。

 世界的なトップトリマーのJさんは、若い修行時代に、師匠から徹底して、この泡づくりの極意を教え込まれました。

 少ないシャンプーでいかにして素早く指を動かして揉みながら、いかに小さな泡を作るかを叩きこまれたのでした。

 しかし、いかに多くのシャンプーを注いでも、そしていかに指を素早く動かしても、おもったほどの小さな泡づくりはできなかったのです。

  それはなぜでしょうか?

泡づくりは表面張力との闘い

 周知のように、泡は表面張力で成り立っています。

 これは、できるだけ、その表面積を小さくしようとする力のことであり、泡が小さくなればなるほど、この表面張力は大きくなるのです。

 それゆえ、より小さい泡を作ろうとすれば、それに打ち勝つ指の力が必要であり、それには限界があったのです。

 加えて、シャンプー濃度は低いほど表面張力は低下しますので、その限りにおいて泡づくりは容易になるのですが、それが、脂汚れを落とすことに関してはより不向きになりますので、シャンプー濃度を極端に低くすることができないという問題もありました。

 しかし、脂汚れのひどいワンちゃんを上手く洗いには、シャンプーを比較的多くして手もみで巧みに泡づくりする方法しかなく、これをトリマー修行の第一関門とされていたのでした。

 これによって、女性のトリマーによる「手荒れ」が必然的に発生し、それの苦しむという事態を頻繁に招いていました。

 これらの問題を何とかして、少しでも改善したい、これはトリマーにとって最も重要な悲願だったのです。

 ここに、突如として登場してきたのが、FOAMY洗浄であり、これがトリマーにとっての「新たな到達点」になったのでした。

 次回は、その過程について深く分け入ることにしましょう(つづく)。

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光マイクロバブルフォーム洗浄(㈱ナノプラネット研究所提供)