未来は青年のもの (25)
2025年のMLBにおいても、大谷翔平選手は期待通りの大活躍でした。
ナショナルリーグMVPをはじめ数々の賞を勝ち取りました。
とくに3年連続の満票獲得となり、通算で4度目、7度受賞のバリ-・ボンズの7回に次ぐ第二位に躍り出ました。
加えて、ドジャーズ球団初のワールドシリーズの連覇も成し遂げ、大谷翔平選手の他に山本由伸や佐々木朗希選手の活躍も注目されました。
大谷選手とって、今年は、トミージョン手術と呼ばれる大手術を行ったことで、そのリハビリの年でした。
通常のリハビリは、3Aの試合で行うのが常識でしたが、かれの場合は、打者として出場を続けていましたので、正規の試合においてリハビリ投球を重ねるという非常識なリハビリ投球となりました。
最初は1回のみの投球から始まり、徐々に回数を増やして、6回、7回まで投げ抜くという方式でのリハビリを成し遂げていったのでした。
一方で、打者としてはホームランをかっ飛ばし続け、自己最高の55本も達成しました。
同時に1番打者として出塁し続け、146得点というダントツのリーグ1位を記録しました。
このように、ドジャーズという常勝球団に入って、大谷翔平選手の活躍はより飛躍的になりました。
このスーパーヒーローとして数々の記録を毎年示してきた大谷翔平選手は、野球という枠を超えて、バスケットのマイケル・ジョーダン、ゴルフのタイガー・ウッズ、ボクシングのモハメド・アリという英雄の仲間入りをしたといわれ始めています。
また、衰退の一途をたどっていたMLBを救った男だともいわれるようになりました。
かれが出場する全米各地におけるどこの試合においても観客が押し寄せ、球場を満員にしていったのです。
今年、かれが出場するドジャーズ球場においては、もう不可能といわれていた年間観客数において400万人を突破することができました。
また、大谷選手の背番号17のユニフォームの売り上げ数もダントツの第一位を維持し続けています。
このような凄まじい大谷効果の発生によって、ドジャーズのオーナーは、かれの契約金7億ドルは安すぎたとまでいうようになりました。
なぜ、これらのような大谷現象が発生するのでしょうか?
大谷現象の非常識と「謎」
さて、大谷選手の周辺では、真にふしぎで非常識の現象がいくつも発生しています。
その第1は、他球団のトップクラスの代表的選手が、挙(こぞ)って、ドジャーズに入って大谷選手と一緒にプレーをしたいと希望していることです。
たとえば、昨年、ヤンキースで大活躍したコール選手がそうです。
あのワールドシリーズで、4対0で勝っていた試合で、自らの守備ミスもあって同点にされ、さらに逆転されてしまった相手ですが、そのチームにかれが入りたいと堂々と内心を明らかにしたのです。
若手の快速球投手のジェイコブ・ミジオロスキーは、もっとストレートで、試合終了後に、ドジャースのクラブハウスに出向き、大谷選手に面会して交流しようとし、その後、一緒のチームでプレイしたいことを素直に表明しています。
なぜでしょうか?
1)その理由は、純粋に、身近でいつも大谷選手を観ていたい、このような欲求に駆られているからではないでしょうか。
これは、ドジャーズのチームメイトも同じで、大谷選手の打って投げる様を凝視続けています。
私も、他の選手を見ていては決して起こらないのに、大谷選手の時には、欠かさず「観続ける」という意思が働きます。
かれを育てた栗山監督は、「かれは、自分たちの予想をはるかに超えたパフォーマンスをしでかす」といっていましたが、その予言がいくつも的中してきたのです。
それゆえに、かれから目が離せない、なにかとてつもないことをやるかもしれない、こうおもってしまうのです。
2)大谷選手は、自分のことよりもチームが勝つことを徹底して優先します。
そのことが、かれの言動によって証明されていますので、チームのそれぞれが自覚し、賛同しています。
チームが一丸となって闘う、この精神を宿す核となってきたのです。
チームのなかには、個人がどう活躍したのか、どう勝利に貢献したのかをアピールすることが、これまでのMLBにおいては普通に行われてきた言動でした。
しかし、大谷選手の場合は、いかに活躍しても、それよりはチームの勝利を大切にすることが重要であることを示し続け、たとえホームランを打っても、派手なパフォーマンスを決して示すことはありません。
この精神を幼いころに徹底的に教えられ、それを守り続けてきたことがかれの精神的支柱にになっているのです。
このチームスピリッツは誰にでも通用し、そして賛同をえることができますので、かれらが、そのチームに参入して一緒に闘いたいとおもうのは、むしろ当然のことなのです。
3)パイレーツ戦において大谷選手他が故意の死球を受けた際に、かれはみごとな姿勢を貫きました。
それは野球は、プレーを通じて戦うものであり、暴力やののしり合いは不要である、これを徹底させた言動を示したのです。
その結果、最悪の事態は回避され、相手の監督が指示したとされる「卑劣な行為」は罰せられ、解任されることになりました。
この大谷選手の行為は、全米において称賛されましたが、これは、それまでのアメリカ野球において許されていた行為の否定でもありました。
これらが、注目集めた「大谷現象」でした。
その第2の理由は、大谷選手の活躍によるとてつもない経済的効果でした。
ドジャーズ球場の年間観客数が400万人を突破、とくに、日本からの観客数が大幅に増えたこと、背番号17のユニフォーム売り上げが全米一になったこと、他球場においても大幅に観客数が増えたこと、大谷選手を広告宣伝しようとする日本企業が相次いだことなど、これらは、ほかのどの選手も成しえなかったことでした。
かれは、純粋に野球一筋であり、スキャンダルや遊興が一切ありません。
これは企業にとって安心できる、最も有効なスポンサー料金となると考えられているのです。
そして、この大谷選手の登用によって、より多くの収益を上げてほくそ笑んでいるのが、それらの企業たちなのです。
この非常に大きな経済効果を誰よりもありがたくおもったのがMLB自身と各球団だったのです。
MLBは、他のアメリカンフットボール(NFL)やバスケットボール(NBA)と比較して人気が落ち目であり、今後も衰退していくといわれていました。
これを救ったのが大谷選手による大偉業だったのです。
これはMLBにとって泣いて喜ぶほどのありがたさだったのです。
第3の理由は、この大谷人気が、アジアやヨーロッパにまで拡大していったことです。
野球文化のない、そして野球そのものを知らない、好きでない人々までもが大谷選手を称賛し、好きになり始めたことは、当のMLBにおいては予想できなかったことでした。
アメリカでの衰退ではなく、その復活とともに、世界中へとその普及がなされるようになり、この大谷現象の壮大さを、MLBは身をもって認識したのでした。
第4の理由は、大谷選手が、アメリカの母親による子育て教育のシンボルになり始めてことです。
二刀流という自分で決めた目標をやり遂げる、チームのみんなを大切にして思いやる、落ちていたゴミを拾う、選手だけでなく、審判や球団職員に優しく接する、野球一筋で遊興しないなど、これらは、アメリカ中の母親が子どもたちに教えたい、そして実行してもらいたいことなのです。
こう諭された子どもたちが、大谷選手と同じように実践し始めているのです。
このように「母親と子ども」の気持ちの中まで入り込んでいるのが「大谷効果」なのです。
かれは未だ31歳であり、これらの大谷現象が、より発展し、全米はおろか、世界中に明確に拡大していくことでしょう。

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