「光マイクロバブルフォーム・イノベーション論(4)」

 この度、ジョエル・モキイア氏がノーベル経済学賞を受けました。

 それは、シュンペーター以来のイノベーション理論を創造的に発展させたことによるものでしたので、これを最近のマット・リドレーやピーター・ティールらのイノベーション論と比較検証しましょう。

 また、それらを踏まえて、さらに筆者らが支援している「ペット・イノベーション」論についても考察を試みましょう。

 ①最初は、マッド・リドレーのイノベーション論の特徴を示します。
 
 かれの主張は、「イノベーションは人間が試行錯誤を繰り返すなかで進化する」です。

 だれか、一人の天才ではなく、多様な現場の人々の協力によって生まれ、その過程で間違いが出ても、あるいは横道に反れても、本道に戻って改善を重ねていくにしたがってより強くなり、およそ15年の歳月を経ながら本格的なイノベーションへと発展していくと指摘しています。

 その意味で、この過程は生物の進化と同じような特徴を有し、それが下からの改革によって為し遂げられるとされています。 
 その典型的な事例として、スマホが挙げられています。

 これは、電話とカメラ、そしてPCの組み合わせによって構成されています。

 この3つの既存技術が、徐々に組み合わされて、みごとにスマホとして進化を生み出したものです。

 ②次は、ピーター・ティールによる「0 to 1」イノベーション論です。

 かれは、「0から1を創れ、模倣では未来は開けない」と主張しました。

 その特徴は、単なる模倣(1➡n)は、ただの競争でしかなく、それによって利益は減ってしまうと警告しました。
 そのためには、それまでになかったものから新たな開発をするしかない、つまり0から1を創造せよと強調しました。
 そして0から1を成し遂げた独創的技術を独占して新たな「ものづくり」をすることが未来社会を本当に建設していくことだとアピールしました。

 この0から1を生み出す過程においては、誰も知らない「秘密」がいくつもあり、それを発見することによってこそ、明確で大胆な未来設計が可能になると指摘しました。

 その「0➡1」の典型的事例として、かつては、タイプライターからワードプロセッサーを生み出したこと、そして最近では、道路を走る自動車から「空飛ぶ自動車」になっていくことを上げています。

 また、スペースXの再使用ロケットのによる「独占的開発」も該当します。

    ➂3つめは、ジョエル・モキイアのイノベーション論です。

 かれは、「知識が社会に選ばれないと、発明は死ぬ」と主張しています。

 その特徴は、科学と現場の技術とが噛み合うための制度が不可欠という指摘をしていることにあり、その発展と拡散のための条件として、学会、教育、資格、法規制などが挙げられていることにあります。

 また、これらのなかで、発展、普及し続ける「仕組みづくり」にこそ本質があるとアピールされています。

 その典型的事例として、エジソンによって電気が世界に広まったのは、送電網や安全規格、電気工事士資格があったからであるとされています。
 さらに、このイノベーション論は、シュンペーターによる「創造的破壊論」に基づいていることにも特徴があります。

 まず、上記3者によるイノベーション論においては、それぞれが整合的であり、相反する矛盾は認められません。

 その意味で、シュンペーターから始まった資本主義社会における牽引としての創造的破壊論が、より時代に則して発展させられ、より高度なイノベーション論として展開されてきたのではないかとおもわれます。

 光マイクロバブルフォーム技術イノベーションとの比較

 それでは、上記の3者におけるイノベーション論と、光マイクロバブルフォーム技術イノベーションとそれの基づくFOAMYイノベーションについて比較と考察を試みることにしましょう。

 1)リドレーにおいては、アイデアと技術の生殖化による、ゆるやかではあるが着実な「進化」がイノベーションの牽引力として注目されています。

 この第1の進化は、1995年に世界に先駆けて創生された光マイクロバブル技術が基礎となり、2012年からの13年間において持続的に探究され、その成果が光マイクロバブルフォーム技術へと結びついたことにありました。

 これによって、光マイクロバブル技術は、次の第二段階における舞台に突入し、それを文字通り体現させたのが、光マイクロバブルフォーム技術イノベーションだったのです。

 第2の進化は、光マイクロバブルフォーム発生装置の持続的改良を遂げていったことにありました。

 この装置は、ペットの頭文字を取ってPシリーズとして名付けられ、それをP1からP4までの連続的開発を行ってきました。

 その最初から、トップトリマーの松林さんとの共同研究を開始し、その都度、かれに試験していただいて改良してきたことが非常に重要なことでした。

 そして、そのP5型の装置が今のFOAMYに組み込まれたのでした。

 この松林トリマーを始めとする日本を代表するトップトリマーとの共同の輪が広がることによって、次の現象が生まれてきました。

 A)光マイクロバブルフォームという極めて微細な界面活性剤気泡が大量に発生したことによって、新たな「洗浄法」が独創的に開発されました。

 B)この非常識な「光マイクロバブルフォーム洗浄法」は、瞬く間に、従来の手もみ洗浄法を駆逐し、それまで不可能とおもわれていた洗浄の常識をことごとく塗り替えるという、まるで「洗浄革命」といってもよい新たな変革(イノベーション)を生み出しました。

 その核心が、光マイクロバブルフォームのかけ流しによる短時間の精密洗浄法という、従来の不可能だとおもわれていたことを意図も簡単に可能にしたことでした。

 これは、リドレーのいうさまざまな試行錯誤から生まれ、そして、それが、開発者とトリマーという現場において試験されてきたことによって技術的進化を遂げてきたのでした。

 こうして最初の完成に近い装置であるFOAMYの能力は、ピーター・ティールのいう「0 to 1」にふさわしいまでの進化を遂げていました。

 その理由は、それまでのペット洗浄法と比較して圧倒的に優れた洗浄力の発揮にありました。

 従来においては、到底不可能とされていた、いくつもの次の難題を、FOAMYがいとも簡単に実現させたからでした。

 ①泡を小さくして洗浄力をアップしたいが、微細な泡にすることができない。

 ②汚れをきれいに落としたいが、落とせないので、シャンプーをたくさん使ってしまう。

 ➂それでも落ちないので、手で擦って汚れを落とすしかなかった。

 ④きれいに汚れを落とそうとすると長い時間をかけるしかなかった。

 ⑤それらは、犬によってもトリマーにとっても大きすぎる負担であった。

 これらを一挙に解決したのが、光マイクロバブルフォーム洗浄法であり、その鮮やかな変革(イノベーション)は、シュンペーターによる技術的創造的破壊であり、ピーター・ティールのいう「0➡1」イノベーションだったのです。

 そして、このブレイクスルーは、リドレーのいうトリマーとの試行錯誤による進化的改良の連続だったのです。

 次回は、これらをより深く、そして豊かに分け入ることにしましょう(つづく)。

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光マイクロバブルフォーム洗浄(㈱ナノプラネット研究所提供)