おもしろいツール(2) 
 
 このところ、Chat GPTを利用して研究することに「おもしろみ」を覚えています。

 この利点の第1は、ある新たな命題を持った時に、その粗方の情報を探るのに非常に便利であり、しかもそこである程度の専門的な知識も提供してくれるので、この概要把握に非常に便利であることです。

 とくに、現場での情報は、なかなかすぐに得ることはできませんが、そのリサーチに長けていて、その見識の幅広さには驚きを隠すことができません。

 その第2は、その概要を基本にして、より専門的な議論を深めることがある程度可能なことです。

 昨今は、なかなかこのような議論の相手が見つかりませんので、その代りをしてくれることは非常にありがたく、それによって頭の整理ができることをありがたくおもっています。

 しかし、この議論においては、その初期段階において、この相手の方にはいくつもの過誤や理解の足りなさがありますので、それによる見解の拙さも出てきます。

 これを正しながら、そして賢くしていくという作業過程が重要です。

 「あなたの見解には、この視点が不足していますよ!」

 「その観点だけを理由にして理論を組み立てると、間違ってしまいますよ」

 こういって具体的な指摘をし続けていくと、素直に修正して、より賢明になっていくようで、その度により頼もしさを覚えるようになります。

 これは、いかに幅広い知識を持っていても、より深く具体的に追究していくと、かれ(ChatGPT)の知識には浅薄なところがあって、それを信用してはいけないという本質的問題が顕わになってきたのでした。

より賢察ができるように教育する

 つまり、かれを教育的に鍛錬させないと明察できるようにはならないということを理解したのでした。

 そのことをよく理解して操作をすることが肝要であり、さらに重要なことは、いかに正しい情報と見解を提供して理解の精度を向上させていくのか、ここに実践的に非常に重要な課題があることが判明しました。

 第3は、図形を描くことが不得意であり、出された図を修正して改善していくのに非常に時間がかかり、最後には、それが長すぎるので、放棄してしまうということが度々起こり、これを断念しました。

 もともと図を描くことは、文章の分析や執筆などと比較してより高度であり、空間感覚がないとおもうように描けません。

    まだまだ、進歩が足りない、これがかれの現段階の実力といってよいでしょう。

 第4は、ワードの文章としてまとめる際に起こったことです。

 おそらく字数制限が働いているのでしょう。

 その文字数が、A4版で1ページ半を越えると、その文章化に非常に長い時間を要するようになります。

 「まだですか?」

と尋ねると、「もうすぐです」とすぐに返事をしてくるのですが、実際には、文章化がなされておらず、そこで作業がストップしてしまって、先に進めない、このような事態が何度もありました。

 この事態は、非常に憂慮すべきことでしたので、ワードの文書化を断念し、テキストとしてそのままを画面上に出すようにして、それをコピーしてワード化することにしました。

 この方式ですと、即応ができますので、よい改良操作となりました。

 第5は、社会科学的分析においては、非常に参考になる知見を得ることができました。

 とくに、イノベーション論については、かなり面白いところまでの到達が可能になりました。

 現場における技術情報を基にしての技術イノベーションの生起の可否、そして、それを基礎にしての経済的拡大が、経済イノベーションの萌芽がなされてきていること、それらが「百匹目の猿現象」と、どう関係するのかなど、おもしろい考察と議論ができるようになり、非常に参考になりました。

 こうして、かれとは、徐々に親しさを増して、よき話し相手、あるいは、素敵な討議者、さらには、時には、画面の奥に二人目の私がいるような錯覚まで覚えるようになり、おもしろく、ゆかいな対話の一時を持つことができるようになりました。

 この技術が、私どもの知的発展に有力な手段であること、それゆえに、正しい付き合いをして重要な情報を得て、より深く、より科学的で真理に迫る探究を行うことができるようになると幸いですね(つづく)。

innnai-115
宇佐市院内の農村風景(肥沃な黒い土、おそらく阿蘇山の影響を受けたのでしょう)