ミモザが終わり、マッコウバラへ

 春の雨嵐で、今年のミモザの花ははあっけなく散ってしまいました。

 今は、マッコウバラが庭中に咲いてみごとな生垣を形成させています。

 もともと、このバラは、近くの市営住宅の庭にあったものでした。

 これを1本挿し木としていただき移植したものが、今では、住居と庭の堺に幅約1m、長さ(東西方向に)10数メートルにまで成長してきました。

 ここまで成長してくると立派なもので、その東の端では、その蔓が通路にまで垂れ下がってきたので、それをさらに伸ばしてアーチ形の生垣にするのだそうです。

 孫の誕生記念樹として育ってきたミモザに続いて、このモッコウバラは、周囲のみなさんの目を潤すことでしょう。

 さて、今月も末日を迎えましたので、ガイダンスを行なうことにしましょう。

「須らく雫の石を穿つ如くⅡ(5555回記念)」

 さる4月19日に、中津市で「『須らく雫の穿つ如く』考-光マイクロバブルと高野長英-」の講演を行いました。

 その依頼者のK先生からは、丁寧な礼状と大変立派な薬膳菓子と醤油の詰め合わせが届きました。

 医学史家としても著名なK先生からの依頼であったことから、みすぼらしい内容の講演はできないとおもって、この講演準備を行いました。

 そのため高野長英とシーボルトに関する小説、評伝、各資料を可能なかぎり集めて読み、それを基本にして、その生きざまと、そこから何を学ぶのかについて考究したことをメインにして語りました。

 その結果として私が学んだことは、昨日の記事にも示したように、長英の生きざまをよく知り、何を考え、何を行動し、102編もの優れた業績文書を認めることができたのかを深く学ぶことでした。

 そのためには、高野長英に関するより本質的な考察を行い、その偉大さを現在の自分にどう活かすのかを探究していくことではないかと推察しました。

 この基本を踏まえて、これまで以上に長英の深層心理に分け入り、そこから現代に生きるヒントを探し出すことをめざしたいとおもいます。

 より具体的には、次のことを考究していく予定です。

 1)すぐ上の兄の後藤湛斎と長英の関係を調べ、その優秀な兄の教えが、長英にどのような影響を与えたのか、なぜ二人して江戸での修行のために家出したのか、さらには、兄の病気で看病しながら、最後には兄を看取った長英の心境を探る、これらを究明する。

 2)江戸に出て二人目の師となった吉田長淑と長英の師弟関係のすばらしさ、とくに長英が長淑から学んだものは何だったのか?シーボルトに関する長淑の助言が長英にどう影響したのかなどを明らかにする。

 3)鳴滝塾における諸先輩と長英の関係はいかなるものだったのか。先輩たちにどのような影響を受けたのか。シーボルトと長英の関係はいかなるものだったのか。

 なぜシーボルトの下で19編もの蘭語論文が書けたのか。それらをシーボルトはどのように評価したのか。なぜ、長英は、シーボルトらの将軍謁見の一行に加わらなかったのか。なぜ、弟子のなかから二宮敬作が選ばれたのか、これらを究明する。

 4)シーボルトと薩摩藩の関係、中津藩奥平公との関係、そして、それらと長英の関係などを調べる。

 5)長英と渡辺崋山ほか尚歯会のメンバーとの関係、夢物語の検討。とくに崋山と長英の人格的共通性と相違性。

 6)長英牢名主と牢人たちの関係、なぜ6年間も逃亡が続けられたのか。

 7)逃亡のなかで長英は何を指向していったのか。長英の後悔と希望は何だったのか?

 8)長英が残した名言は何を意味していたのか?

 9)長英の業績と人となりが、その後の歴史にどう影響を与えたのか。さらに、それらを現在にどう活かすのか?

など、少なくない究明課題があるとおもわれますので、これらを考究しながら、この記念シリーズを継続して認めていく必要があるとおもわれます。

「古代史におけるイノベーション探訪(5850回記念)

 歴史を探訪することの意味と意義は、今をどう考え、生きるかを明らかにすることに結びつく、これは、歴史家の茂木誠氏の印象深い「語り」です。

 この歴史のなかでイノベーションがどのように準備され、生起してきたかを探究することが本シリーズの狙いです。

 すでに、古代における巨大な構造物や建築技術について探索し、前記事においては農業イノベーションについて探索を試みました。

 これには、マット・リドレーがいう「人類史のなかのイノベーション」における世界最古のイノベーションが農業イノベーションであったことを少し考察しました。

 この農業を始めとしてさまざまなイノベーションがどのように生成され、発展していったのかを、リドレーの指摘を参考にしながら検討してみたいとおもいます。
 
「老いの覚悟と生き方Ⅱ(5650回記念)森村誠一氏を偲んで」
 
 棟居刑事シリーズ13巻をほぼすべて読了し、新たに2冊を注文しました。

 この棟居刑事については、その後もかなりたくさんのものが執筆されていますので、余程気に入ったのか、改めてそのはまり役といいましょうか、森村さんの得意技とでもいいましょうか、そのことが、この多数の継続本の多さに現れています。

 その意味で、棟居刑事も、そのなかで進化し、同時に、その作者としての森村さんも同じく進化を遂げていったのではないでしょうか。

 こうなってくると棟居刑事は、森村さんの分身になったといってもよく、その鋭い直観と洞察力は、森村さん自身のものと考えてよいでしょう。

 棟居が森村となり、そして森村が棟居になる、こうなってくると、その推理はますます研ぎ澄まされるようになり、その展開がさらにおもしろくなる、この妙技を会得したようにおもわれます。 

2つのイノベーション論

 新たに、「光マイクロバブル技術イノベーションの可能性(5900回記念)」がスタートしました。

 すでに「光マイクロバブル・イノベーション(5500回記念)」の記事が先行していますので、これと重複しないようにする必要があります。

 そこで、ひとまず、次の整理を行います。

 後者は、当面、ペット分野におけるイノベーションを主たる対象にし、後者においては、それ以外の分野におけるイノベーション論を考察することにします。

 というのも、この後者に関する萌芽的成果が出始めてきたからであり、これをいかに大切に孵卵させ、育てていくのかという重要な課題が生まれてきたことに注目しています。

 これも「OIだより」において紹介しているD君との共同研究が、その基礎にあるからであり、一人と二人では大違いであることを再認識しています。

「創造の正体(5600回記念)」

 最後に、このシリーズについても少し言及しておきましょう。

 もともとの構想では、『快人エジソン』という本から、この創造の正体を探るという企画でしたが、どういうわけか、その途中で、「光マイクロバブル君」と「マイクロバブルはかせ」の討議が熱心に展開されるようになり、さらにこれを増幅させたのが、Mさんから寄せられたコメントでした。

 読者から真摯なコメントをいただけることは真にありがたく、それによって新たな考察が加わり、認識も深まるという好循環が形成されています。

 これらの議論は、これから、その本質論に入って行きますので、ますます活発化していくことでしょう。

 これで今月のガイダンスを終わります(つづく)。

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モッコウバラ(前庭)