常識と非常識(7)
光マイクロバブル君との熱い討議が続いています。
「私は光マイクロバブル。私の身体は、窒素と酸素、そしてわずかに二酸化炭素で構成されています。
私は、マイクロバブル博士の開発によって製作された大型装置によって、水深30mのダム貯水池の底質付近で大量に発生させられています」
「そうでしたね。これまでの記事を精読して、あなたの正体のことはかなり理解できるようになりました」
「そうですか、それはありがたいですね。私の正体をよく理解してくださる方が、あまり多くないことを少し気にしていました。
さて、私は、水深30mのダム貯水池の底近くにいます。
さすがに、約0.3メガパスカルという高い圧力(3気圧)を受けていますので、すぐに押しつぶされてしまいそうで、真に短い寿命に晒されています」
「それは大変ですね。あなたが生きているうちに、大切な質問をして、あなたの正体を見究めておかねばなりませんね」
「そうですよ。私の命は、短くてはかないものですよ。
なにせ、ものすごい水圧に押しつぶされてしまうのですから、消えてなくなる前に、どうぞ、その大切な質問とやらをお出しください」
「それでは遠慮なく、手短にお尋ねします。
あなたの身体は、約20%の酸素と約80%の窒素、そしてわずかに0.4%の二酸化炭素が混合されていると聞いていますが、それらは、ダムの底近くで、どうなってしまうのですか?
その貯水池の水表面には、あなたは少しも浮かんできていませんので、その底近くで消えてしまったのでしょうか?」

光マイクロバブルの発生
「消えて無くなる」とは
「重要な質問ですね。結論から先にいいますと、『消えて無くなった』といってよいでしょう」
「やはり、『消えて無くなる』、そうですか。『はい、それまでよ!』ということのようですが、消えて無くなった後は、何か残るのですか?」
「私の身体は、ご指摘のように、酸素と窒素で成り立っていますので、それらの気体が無くなって消えてしまうのです」
「それは、どういうことでしょうか。溶けて無くなるということでしょうか?」
溶ける、溶解する、とは何か?
「『溶ける』、『溶解する』という用語の学会での定説はないようですが、その気体成分が無くなり、何かが、そこに生まれる、という意味で使用しています」
「それでは、まず、酸素はどうなるのですか?」
「これについては、実際の観測データがありますので、溶存酸素の増加に寄与しています。
これは、間違いありませんが、その一部は、別の寄与を果たしているかもしれません」
「それは、どういうことですか?酸素成分を溶かす以外に何か特別なことが起こるのですか?」
「はい、非常識なことが起こりますので、それを『特別なこと』といってもよいでしょう」
「それは、どのような特別のこと、非常識なことですか?」
高温高圧化とは
「そのことをわかりやすく解説するには、次の『キー・ワード』の理解が必要です。
それは、『高温高圧化』と『窒素溶解』の2つです」
「まず、『高温高圧化』というのは、光マイクロバブルのことですよね。
光マイクロバブルが小さくなることで、その気泡のなかの温度と圧力が高くなるという現象のことですか?」
「そうです。光マイクロバブルの界面においては強力な表面張力が働いています。
表面張力は、単位長さあたりの力で表されますので、その径が小さいほど大きくなるという性質を有しています。
光マイクロバブルが生まれた直後は、数十マイクロメートルであったものが、収縮して小さくなっていきますので、それが30~20、10~数マイクロメートルとなるにしたがって、それぞれの表面張力は、どんどん大きくなっていきます。
これは、光マイクロバブル内部の気体を圧縮させようとする力が働くことを意味していますので、その内部の圧力と温度が高くなっていきます」
「真に非常識の難しい問題になってきました。
私にもわかるように、解説してくださいね」
「もちろんです。私こと光マイクロバブルは、生まれてからすぐに収縮を開始し、小さくなっていく度に、内部の圧力と温度を高めていきます」
空気のうちの約20%が酸素ですので、その高温高圧化によって、すぐに周囲の水に溶解しようとします」
窒素溶解とは?
「ちょっと待ってください。それでは、残りの約80%の窒素は、どうなるのですか?
窒素は、非常に安定した物質ですので何も変化しない、とよくいわれていますが、それでよいのですか?」
「そこですよ、そこが難しいところなんです。
じつは、約80%の窒素も溶けてしまいます」
「ウソでしょう、そんなことは考えられません。窒素は、酸素よりも溶けにくいのではないですか?」
「その通りです。窒素が、酸素と同じように溶けてしまったら、大変なことが起こります」
「そうですよね。ところで、その大変なこととは、どんなことですか?」
「窒素の容積は、酸素のそれの4倍もあります。これが全部溶けてしまうと、酸素が溶存したものから軽く酸素を奪ってしまいます。
そうなると永久的に、ダム貯水池の無酸素水域は解消されなくなってしまいます。
そうではありませんか?」
「たしかに、そうですよね。もしそうだとしたら、空気光マイクロバブルを発生させることは無駄になってしまいますね!」
「しかし、安心してください。そんなことは起こっていません。なぜでしょうか?
これまでの学問的常識に従えば、窒素は何も変化しない、窒素は水に溶けない、窒素の反応、すなわち窒素固定は起こらない、と考えられてきました。
ついでにいえば、その窒素固定ができるのはマメ科の植物に寄生する微生物のみであるといわれてきました」
「たしかに、そうですよね。それが常識というか、窒素が、そう簡単に固定されてしまうはずがありません」
非常識の光マイクロバブル
「窒素分子は、NとNの三重結合によって構成されていますので、この結合を切断してしまうことができなければ、窒素が反応することはないのです。
この窒素が安定して、この世に存在し続けていることから、私たちは、その恩恵を受けています。
ところが、私(光マイクロバブル)は、その三重結合を切断してしまうという、非常識中の非常識を創造してしまったのです」
ここまでくると、かなり難しい話になってきましたが、この常識、非常識をよく理解していただかないと、光マイクロバブルのことが解ったということにはなりません。
まだ議論は途中ですが、この後については、次回の記事において分け入ることにしましょう(つづく)。
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大成博士の1995年のマイクロバブル発生装置の発明も天然に存在しないマイクロバブルの発見も③産業上の利用可能性が見出せねば偉大な発明と評価されません。カミオカンデです。これが1998年以来の水産養殖への利用と高温高圧を用いない窒素固定という展開により、いよいよ21世紀の偉大なイノベーションとして花開こうとしています。私はその偉大な発明、発見を世界に発信しようとしています。それにより短期的には多くの開発資金が大成博士の下に集まるでしょう。そして、その研究の多角的、学際的な発展の結果、農業や養殖業、医学などへの貢献および将来の人類の福利に対する偉大な貢献となるでしょう。