『80歳の壁』(1)

 和田秀樹著の『80歳の壁』が、2022年度のベストセラー賞をいただいたそうです。

 すでに『70歳が老化の別れ道』を読了し、次は、この本を読んでみようと思っていました。

 この著書の特徴は、非常に平易な文章で表し、しかも、医療に関する非常に重要なことをわかりやすく解説していることにあります。

 まず、冒頭において、今日の高齢化社会における健康問題の基本が述べられています。

健康寿命と平均寿命

 それは、「健康寿命」と「平均寿命」の問題です。

 前者は、何も病気をしない、元気な生活をおくることができる年齢のことであり、男性の場合は72歳、女性の場合は75歳といわれています。

 これらの年齢を過ぎると、何らかの病気を患って病院通いや入院をすることになります。

 病院に行けば、少なくないご高齢の方々を見かけるのは、この健康年齢を過ぎた方々です。

 一方、後者の年齢は、別名「死亡年齢」といってもよい、これが和田先生のお考えです。

 わが国の場合、男性は81.64歳、女性は87.74歳とされていて、これを過ぎると平均的には生存が危うくなる年齢です。

 それでは、この健康寿命と平均寿命の差は、どう考えたらよいのでしょうか?

 この差は、男性の場合に9年、女性の場合に12年となります。

 これらは、何らかの病気で病院通いをするか、あるいは入院してベッドで過ごすかの年月といえます。

 こう考えると、その健康寿命から平均寿命の間における過ごし方が、高齢者にとっては非常に重要な期間となります。

 ある人は、健康に努めて免疫力をアップさせて過ごされるでしょうし、またある方は、病院通いをして、病気の改善を図ろうとするでしょう。

 さらにある方は、入院中のベッドのなかで、どう生きていくのかを深く考えるようになるでしょう。

 人生100年時代を迎え、この健康寿命から平均寿命まで、そして、それを超えての70歳代、80歳代以降の過ごし方が、本格的に問われるようになってきました。

 また、新たに75歳以上は、「後期高齢者」と呼ばれるようになり、その当事者たちは、その後期を、どう高貴な生き方をめざすのかが真剣に試されるようになりました。

 私も、その当事者の一人となり、その同士となる家内と一緒に、その高貴な時代をどう生き抜き、どうゆかいに過ごすかをよく論じ、より深く考究する日々を過ごしています。

幸せな晩年と不満足な晩年、どちらを選ぶか?

 「80歳の壁」をどう突破していくのか?

 本書では、この選択が、その最初に投げかけられています。

 もちろん少ない方々が、前者を選ぶでしょう。

 著者は、この境目として、「老いを受け入れ、できることを大切にする」ことがあると指摘されています。

 老いは、時間の経過とともに必ずやって来るものであり、そのなかには、70歳代の鬱病(うつびょう)、80歳代の認知症になる比率の高まりによって、それらを患う方々もでてくるでしょう。

 しかし、それらを自分で受け入れて、できることを大切にして活動することが重要です。

 たとえば、推理小説作家の巨人であった森村誠一さんは、これらの病気を患いながらも、「老いの覚悟」を深めながら「老いの正体」を探究され続けました。

 そのなかで、自らの老いを受け入れ、自分としてできることとして、「何が書けるか?」、「どう書くか?」を大事に探し求めたのです。

 これこそが、かれの晩年における「人間の証明」だっったといえるのではないでしょうか。

 幸いなことに、これらの作家が示されてきた「高貴な志と実践」を参考にしながら、これからやってくる「80歳の生老病死の壁」を突破していく、私オリジナルな作戦を練り上げていくことにしましょう。

 その最も身近な足場は、光マイクロバブル研究です。

 この新たな研究と体系化、この事業を押し進めていく、これを「私の人生の証明」にすることができると幸いですね(つづく)。


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              ミニ植物工場(下松市)