高貴高齢者とは(2)

 高貴高齢者とは、後期高齢者がより高貴なことを為す人のことではないか、このように思うことにしました。

 世間の常識では、後期高齢者になると、自分で行うことを無くしてしまって、テレビの前に座って過ごす、あるいは、SNSを視聴する、さらには、酒を飲む回数が増えるなどに明け暮れがちになるのではないでしょうか?

 一昔前は、定年退職後は「晴耕雨読」でのんびりと過ごす、という慣習語が使用されることが多かったように思われますが、今では、それがすっかり廃れてしまいました。

 なぜなら、60歳や65歳で定年退職しても、それから20年、30年と生きていかねばならず、悠長に、その期間を畑を耕し、読書することのみで過ごすには、かなり長すぎるようになってしまいました。

 人は、社会的諸関係のなかで生きていくという本性を有していますので、それを遂行していくには、定年後の20年、30年を再度生き抜いていくために志を立て直し、そのための具体的な目標を定める必要があります。

 はたして、それは可能か?

 その目標が明らかになったとしても、それを達成する実行はできるのか?

 そんなことを考えて、後期高齢者になって、それはもう無理ではないか、どうやって実行せよというのか、このようなことが頭を過ることもあるでしょう。

 しかし、後期高齢者なりの置かれた状況をよく観察してみると、かえって不利なことばかりではないのではないか、むしろ、その不利を有利に変えることができるのではないか、こう考えていくと、そこには、重要な何かが観えてくるような気がしています。

 そう思って、自らを振り返ってみました。

 私は、63歳でT高専を定年退職し、すでに設立されていたVBの株式会社ナノプラネット研究所と株式会社ナノプラネットに参加することになりました。

 ここで最初の10年は、光マイクロバブル技術を用いた技術開発・商品開発に勤しんできました。

 これによって、世の中が求める光マイクロバブル技術を用いた商品とは何かに関する勉強をすることができました。

 途中、高専時代の無理が祟って一挙に噴き出してきて大病を患うという経験もしました。

 しかし、それは私に対して生まれ変わりをより強く要求していたようで、その後の身の振り方を考え直すよい機会を得ることができました。

 その後、株式会社ナノプラネット研究所の方は、新たな協力者も現れて、主としてペット部門において技術開発と商品開発がより進展するようになり、これに関しては、側面的支援に徹することにしました。

 一方、この支援は、私自身が定年前の数年において念願していた大成研究所を設立することに結びつき、株式会社ナノプラネットは、それを担うことを主とすることにしました。

 幸いなことに、株式会社ナノプラネット研究所の方は、熱心な協力者の参加によって事業が徐々に発展し、小さな光マイクロバブル・イノベーションの卵が形成されつつある状況に至っています。

 そこで、後期高齢者に至る少し前から、私の活動は、大成研究所を中心にして、ずっと温めてきた、そして念願の光マイクロバブル技術に関する新たな開発に挑戦することができるようになりました。

2つの土台づくり

 さて、この決して小さくない挑戦を行うにあたり、2つの心身に関する土台づくりが重要であると認識しています。

 このことは、すでに前記事において指摘しておきましたので、それらを簡潔に述べておきましょう。

 ①健康を維持し、そのために常時、免疫力をアップしながら、日々を過ごす。

 ②緑砦館における野菜づくりに勤しみ、心身を洗練させ、ロハスの生活を持続させる。

 この①と②は有機的に連携しており、それぞれが高貴なことに属していますが、これらを相乗的に維持発展させることが重要であり、そのことに生きがいを覚えてもよい年齢と境遇に達しているように思われます。

 そこで、大成研究所という足場づくりを行い、長い間温めてきた新たな研究課題に取り組むさまざまな準備を行ってきました。

 それは、1)当面の短期的課題と2)中長期的課題の2本柱に区別されていました。

 1)に関しては、その都度舞い込んでくる研究課題であり、そのなかには、いくつかの共同研究も存在していました。

 昨年は、この共同研究のうちの2つにおいて予想以上の発展がもたらされ、これらが、1)から2)へと移行するという普遍的で持続的な課題へと変化していくという事例も発生しました。

 そのうちの一つが、すでに「OIだより」において、その概要を示した「光マイクロバブルフォーム」に関する科学的究明の成果でした。

 これは、これまでの光マイクロバブルフォームに関する概念を根本的に考え直す必要があることを明らかにし、そこから、次の新たな指向を生み出しました。 

より高貴をめざす研究

 その第1は、光マイクロバブルフォームの実体を科学的に究明したことにあり、それに基づいて光マイクロバブルフォームの定義を新たに行ったことでした。

 これによって、光マイクロバブルフォームと光マイクロバブルの相互関係を明らかにしていく必要性が生まれ、それぞれの特徴が徐々に比較検討され始めています。

 この新たな定義に基づく科学的認識を得たことは、そこから、その物理化学的特性や生物学的機能性を探究していくというより新たな科学的道筋を浮上させました。

 これらの創造的探究は、未知の世界に分け入ることを意味していますので、よりおもしろく、時にゆかいさを覚えるものであり、この行為は、「より高貴な」探索といってもいのではないでしょうか。

 第2は、これらの究明が、技術的にも非常に重要な問題と密接に関係しており(とくに洗浄技術ほかの分野において)、その現実の分野においても有用であり、小さくない進歩性が認められることにあります。

 本年初においては、その科学的および技術的究明の両方から、早速、その探究が開始される予定です。

 この現実社会においても、小さくないインパクトを与え続けるのではないか、これが可能であれば、これも、より高貴をめざす試み、そしてアプローチになっていくはずです。

 幸いにも、この共同研究においては、若いD君の支援があり、その実態は、教育的共同といってもよく、今年は、さらに豊かな共同の花が咲くことでしょう。

 若い方を共同によって支援する、これももしかしたら「高貴をめざす」ことに結びついていくのかもしれませんね。

 本年は、もう一つの共同研究ほか、さらには、上記2)の研究も含めて、その新たな地平が実践的に拓かれることを願い、それらの成果が「誉生」を形成することに結びついていくとよいですね(つづく)。

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家内の活花(大成研究所セミナー室)