野菜工場(4)

 Hさんの植物工場の視察を楽しく終えて、次の目的地に向かいました。

 車中で、この植物工場の健闘ぶりを、じっくり振り返ってみました。

新たな「うま味」成分の出現

 今回の視察において、最も重要な知見は、グリーンレタスの収穫サイズの約半分の成長段階において、これまでにはない、認知されていない十分な「うま味」が形成されていたことでした。

 この「うま味」は、光合成が活発になって野菜や果物が成長し熟してくるとグルタミン酸の味に似たものであり、光マイクロバブル水耕栽培固有の味といってもよいでしょう。

 直接、グルタミン酸が合成されるのではなく、それに似た「うま味」として知覚されたことですので、そこを間違わないようによろしくご理解ください。

 この「うま味」は、私どものミニ植物工場において栽培されたセロリの味ともよく類似しています。

 市販の小さな苗を移植して、それが育ち始め、約1か月を過ぎたあたりから、何ともいえないうま味が出現してきます。

 この時のセロリの葉を賞味すると同じグルタミン酸ソーダ系の味がします。

 しかし、茎の方は、もっと爽やかなうま味であり、これはなかなか言葉で表現できないものです。

 ただし、これを実際に食べてみれば、すぐに解り、感激する味なのです。

 おそらく、このような「うま味」における重要な何かが組織内に形成され、それが光合成によって仕上げられていくのではないか、このように推察しています。

 また、これは、非常にすばらしい「新たな『うま味』を有したグリーンレタス」の誕生を意味していますので、これが、生産者のHさんや沖縄の消費者にどのように受容され、評価されていくのか、この問題が出現してきたと考えてよいでしょう。

質の転換 

 レタスは、水分が豊富で、シャキシャキした歯ざわりのよいもの、このように感じ、考えてきた私たちですが、この「うま味」の豊かなグリーンレタスの出現は、これまでのレタスに関する固定された観念を根本から覆すものであり、そのことは、この「うま味」を基本としてレタスの品質が評価されるようになるということでもあります。

 その意味で、この光マイクロバブル水応栽培のレタスは、「先駆けレタス」とも「いえるでしょう。

 先駆けの新グリーンレタスの誕生、これは非常におもしろい、レタスの質の転換に関する出来事のように思われます。

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グリーンレタス栽培の様子(半収穫サイズ、恩納村H植物工場)

新レタス誕生の理由

 この新レタス誕生の理由を探る鍵は、発芽から、この写真のサイズに至るまでの成長促進に光マイクロバブルと光マイクロバブル水が重要な寄与を成しているのではないかと推察していることにあります。

 そのヒントとなる、1枚の写真を示しておきましょう。

 発芽後、苗が急成長し始める過程において、このように上に真っ直ぐ葉を伸ばして、しかもそれらが密集して林立状態になっています。

 この葉の背丈の時の根の長さは、この葉の背丈以上になっていて、そこからの栄養と水分の吸収力がパワーアップしています。

 次回は、その推察に、より分け入ることにしましょう(つづく)。
 
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すべての葉が上に立って伸びているグリーンレタスの様子(H植物工場2024.10.13)