「一隅の灯」は宝になるか(8)
D君との実験的研究が、第二次段階へと進み始めました。
第一次段階において、光マイクロバブルフォームに関するさまざまな「見究め」がなされたことで、今度は、その結果を確証するためのデータ取りを行うことめざすことになりました。
科学的に信頼されるデータには、1)その実験方法が確かなものであること、2)十分に客観的な判断が可能なデータ数を有すること、3)そのデータが示す結果に間違いがないことなどが必要となります。
そして、その結果が、予想外で、あるいは常識外のことであればあるほど、その科学的確証を可能にすることが重要になります。
じつは、人の予想や予見とは、ほとんど当てにならないものであり、そのことが、新たな実験を行う度に覆され、そこではたと困ってしまうことが少なくありません。
自らの浅はかな予見や見込みが、まったく外れてしまって困ってしまうからであり、そこで、どのように対応するかが問われることになります。
その非常識の結果を謙虚に信じようとするのか、それとも、非常識ゆえに、それを最初から信用できないと排斥してしまうのか、これらが鋭く問われるようになります。
今回のD君との共同実験では、次のような非常識問題が繰り返し、浮上してきました。
実験の方法、実験の勘所をD君に教え、実際の実験は、かれに任せてやっていただくことにしました。
この実験とは、水槽で光マイクロバブルフォーム(前記事において新たな定義を示している)を発生させて、それを素早く吸い込み、顕微鏡で観察して写真撮影を行うという方法でした。
すでに、前の見究め実験の際に、この方法で、光マイクロバブルフォームを撮影可能と判断していましたので、これを素早く捜査してより短時間のうちに撮影できるのかが重要な技能になりました。
また、その撮影に際にマイクロスケール(最小単位10㎛)の目盛りが入ったガラス状に光マイクロバブルフォームを含む溶液を注出して、その目盛りと同時に光マイクロバブルフォームを撮影することも指示しました。
D君は、この実験を始めた当初は、なかなか上手くいかないといっていましたが、徐々に慣れてきたようでもありました。
「光マイクロバブルフォームの読み取りデータ数は最低でも500個、可能であれば1000個取れるとよいですね」
これは、1枚の撮影画像に、光マイクロバブルフォームが10個写っておれば50枚の画像、あるいは100枚の画像が必要になりますので、根気の要る実験でした。
光マイクロバブルフォームの正体
かれの実験が円滑に進み始めたようでしたので、その最初のデータについての検討会を行いました。
そこでは、まず光マイクロバブルフォームの平均値と頻度分布が示されました。
これを見て、おやっと思いました。
その値が思いのほかやや大きく、頻度分布の形状も奇妙でした。
「このデータを読み取った画像を見せてください!」
すぐに、その画像を見て、その平均値と頻度分布の特異性が明らかになりました。
「読み取った気泡のデータは、これらの大きな気泡のみですかね?」
こう尋ねると、D君は、その通りだと答えました。
「この画像には、非常に小さな気泡がたくさん写っていますが、これらについては読み取っていませんね。そうですね?」
この指摘の通りで、D君は、その画像における比較的大きな気泡のみを意識して読み取っていたのでした。
問題は、光マイクロバブルフォームの実体が不明な状況で、撮影した画像から、どの気泡を読み取ればよいのかを判断することにありました。
すなわち、D君も私も、光マイクロバブルフォームの正体を知らなかったことから、それを見定めることが最も重要なことでした。
すなわち、D君も私も、光マイクロバブルフォームの正体を知らなかったことから、それを見定めることが最も重要なことでした。
「かなり大きな気泡だけを読み取れば、その数が少なくても平均値は大きくなります。また、頻度分布を観れば、その大きな気泡の数が少ないことも明らかです」
たしかに、D君が顕微鏡で覗いて、これが光マイクロバブルフォームだと判断して写真撮影したものは、そこによく写っていました。
しかし私が注目したのは、それではない別のものでした。
「D君、あなたが注目した光マイクロバブルフォームとは、この大きく写っている泡のことですね。この数は、そんなに多くありませんね」
「そうです」
私が指摘した通りの返事でした。
「しかし、これは水面に浮き上がってきた泡のようで、水中の光マイクロバブルフォームではないのではないでしょうか? むしろ、こちらの方が、光マイクロバブルフォームといえる泡ではないでしょうか!」
こういいながら、薄く写し出されていた小さな泡を指し、この種の泡がかなりたくさん発生している様子に注目しました。
「こちらが、本物の光マイクロバブルフォームだと思いますよ! これからは、この大きな泡に騙されないようにしましょう!」
かれも私も、このたくさんのかなり小さい光マイクロバブルフォームのことをほとんど認識していませんでしたので、この検証が非常に役立ちました。
これから、このような画像が得られるように実験を重ねていきましょう。
こうして、非常に小さい、直径10㎛(マイクロメートル)前後の光マイクロバブルフォームに注目しての実験と画像撮影、読み取りが粘り強く続けられていきました。
「こんなに小さくてたくさんの光マイクロバブルフォームが存在していたのか!これはすごいことだ!
こうして、非常に小さい、直径10㎛(マイクロメートル)前後の光マイクロバブルフォームに注目しての実験と画像撮影、読み取りが粘り強く続けられていきました。
「こんなに小さくてたくさんの光マイクロバブルフォームが存在していたのか!これはすごいことだ!
これまでの考え方を根本から改めなければならない」
この思いが、より強く理解され始めていました(つづく)。
この思いが、より強く理解され始めていました(つづく)。
光マイクロバブルフォームの顕微鏡写真画像の一例(㈱ナノプラネット研究所提供)てが多数形
成されてチェリー界面が広がるチェリーセージ
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