「一隅の灯」は宝になるか(7)

 D君との実験的研究の第一次分がほぼ終了しました。

 この第一次とは、いわゆる「見究め実験」であり、その目的は、文字通り、主題に関する科学的全体像を朧気(おぼろげ)でもよいから明らかにしようとしたものでした。

 この全体像とは、溶液中に界面活性剤を極少量入れた場合に、どのような光マイクロバブルと光マイクロバブル水に変化が起こるかを見究めることでした。

 その結果としては、かなりのことが明確になってきましたので、そられを踏まえて、次の第二次分に進むことができるようになりました。

 そして、すでに、それが開始されていることが今の状況です。

 その第一次分において、非常に重要な成果のひとつは、界面活性剤を含む溶液のなかで光マイクロバブルを発生した場合において、その光マイクロバブルの特徴が明らかになったことでした。

 また、その光マイクロバブルを新たに定義する必要性が生じたことです。

 これらは、界面活性剤をわずかに含む溶液中において光マイクロバブルを発生させた場合に、通常の純粋な淡水中において光マイクロバブルと比較すると、その基本的には同一の特性を有しながらも、微妙には、それと異なる現象を有していることを見出したからでした。

 それゆえに、これらの区別をした方がよいという見解に至りました。

 周知のように、界面活性剤の特徴は、親水基と疎水基の両方を有することにあります。

 これらの特徴を換言すれば、親水基とは疎気基のことでもあります。

 また、その疎水基は、疎気基でもあり、気体は、水にも界面活性剤にも馴染めないという性質を有しています。

 すなわち、水と界面活性剤は互いによく馴染みますが、逆に気体は、いずれにも馴染まない、すなわち、それらは、気体との関係において互いに遠ざける状態だったのです。

光マイクロバブルと光マイクロバブルフォームの定義

 ここで、今一歩、科学的本質に踏み込んでいくには、改めて淡水中の光マイクロバブルと界面活性剤を含む溶液において発生した光マイクロバブルを新たに定義することが重要だという認識に至ったのでした。

 それらを以下のように定義します。

 光マイクロバブル:その発生時において直径1~65㎛の自己収縮運動を行う気泡である。

 光マイクロバブルフォーム:その発生時において直径1~65㎛の自己収縮運動を行う、界面において界面活性剤を含む(あるいは覆われた)気泡である。

 この定義からも明らかなように、その違いは、その界面において界面活性剤成分を含まないか、あるいは含むかにあります。

 そして、非常に重要なことは、いずれも、その発生において非常に小さく、直径20~30㎛の気泡を最頻値として形成され、その発生直後から一斉に自己収縮運動を生起させることにあります。

 さらに重要なことは、この自己収縮運動によって、その内部が高温高圧化していく過程で、固有の物理科学的特性と生物的機能性を発揮させるようになることです。

 それらの運動や特性、そして機能性の発揮を正しく、そして詳しく解説するには、その原点として、この光マイクロバブルと光マイクロバブルフォームの定義が基本となったのです。

 私見ですが、これらの定義こそが、「一隅を照らす一灯」になるのではないかと思われます。

 次回は、この基本を踏まえた次の問題を考察していくことにしましょう(つづく)。

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シュンギクの苗
水と油を混ぜると油滴が多数形

成されてチェリー界面が広がるチェリーセージ