沖縄料理(3)
中味汁
手作りの沖縄料理における2つめのメインは「中味汁(なかみじる)」でした。
すでに、新鮮な、そして肉厚のマグロの刺身をかなり多くいただいた後だけに、この具沢山の汁をいただけるかどうか、少し不安になっていました。
しかし、その不安は、この中味汁を一口吸ってみて、すっかり吹き飛んでしまいました。
それは、この汁の美味しさに魅了されたからでした。
もともと、この中味汁は宮廷料理のひとつであり、いまでも正月になると、この汁が沖縄の家庭でよく出されています。
何かめでたい時にも、よく食卓に登場する料理でもあり、上品で高級料理のひとつとしての格式と伝統を持った味なのです。
この中味とは、豚の内臓(もつ)のことです。
そのままでは、かなり強い臭いがありますので、これを何度も沸騰させ、そして、それを取り出しては小麦粉をかけて揉み洗いし、徐々に臭いを取っていきます。
この作業がなかなか大変であり、丁寧に行うことが要求されますので、現代の沖縄の人々にとっては簡単に料理できないものとなっています。
おそらくZ家の奥様(家内の妹)は、祖母(家内の母)から直に、その作り方を教わっていたのでしょう。
その味が再現されていましたので、それは間違いなく祖母の味のような気がしました。
「これは、みごとな味ですね。美味しいですよ!」
まずは、しっかりした鰹出汁をすすり、その味の深さを確かめました。
中味汁
シイタケに細きりコンニャク、そして小ネギが、この汁の定番添え物です。
豚の内臓というこってりしたものであるにもかかわらず、あっさりとした鰹風味のだし汁によってさわやかな味に仕上げられているところに、この汁の真骨頂があります。
それゆえに、すすりやすく食べやすいのです。
しかし、この中身は、見ての通り、大変具沢山でしたので、ゆっくりと、最近の沖縄の話を交えながら、これらを少しずついただくことができました。
久しぶりの、おそらく数十年ぶりの本格的な中味汁でしたので、最後まで美味しく賞味しました。
真に心のこもった沖縄料理をいただいたことに深く感謝いたしました。
食後は、少し気になっていたZさんの長男の方と懇談しました。
かれと本格的な話をするのは初めてのことでしたので、私が38年間、高専というところで教員として働いてきた際に学生たちとどのような付き合いをしてきたのかを紹介しました。
そして彼に対しても、高専の学生たちと同様に「自立への旅立ち」が重要であることを語りました。
かれは非常に素直に、私の話をよく聞かれていました。
こうして、沖縄に2日目の夜はふけていきました。
そして夜遅く、すでにチェックインを済ませていた沖縄市のMホテルに戻りました。
バスで話から沖縄市へ、祖母の墓参り、うるま市の仏壇参り(家内の兄宅で)、Z氏宅での沖縄料理など、真に盛りだくさんの沖縄二日目でした(つづく)。
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