「イノベーションの本質(3-1)」

 少々連載を休んでいましたが、本日から、いよいよ、その本番に分け入ることにしましょう。

 その前に、次の二段階の準備を要約しておきましょう。

2つの準備段階
 
 ここに至るまでに、いわば、その準備として、次の2つの段階を踏まえてきました。

 第一段階:光マイクロバブル技術のイノベーションの可能性を探るために、その核心部分といえる光マイクロバブル発生装置の開発過程を丁寧に20の改良の積み重ねにであったことを考察し、それが、光マイクロバブル・イノベーションを生起させる孵卵物であることを明確にしてきました。

 第二段階:マット・リドレー著『人類とイノベーション』を精読することによって、「イノベーションの本質」を考察、検証してきました。

 これらを踏まえて、これから、光マイクロバブル技術に関するイノベーション性を具体的に検証し、同時に、その特徴を明らかにしていこうとおもいます。

光マイクロバブル技術のイノベーション性

 まず、その土台となる次の光マイクロバブルの特性を踏まえておきましょう。

 1)20~30㎛をピークとする、1~65㎛の範囲内の気泡を大量に発生させる。その発生量は毎分約1ℓが最適である。

 2)ほとんどすべての光マイクロバブルが、その発生直後から収縮運動を開始し、気泡内部の温度と圧力を増大させる。

 3)その収縮とともに負電位を増大させ、振動しながら発光を繰り返す。

 4)この高温高圧化によって、約300気圧、500℃の超臨界場が形成され、超臨界反応が生起する。

 5)光マイクロバブル技術の適用可能な分野は広大であり、それぞれの分野において、既存の分野における現場技術としなやかに融合し、発展する。

 6)それらの個別の分野においては、それぞれのイノベーションとして飛躍的発展を遂げていく可能性があることから、その孵卵とイノベーションへの移行準備をしていくことが重要である。

「イノベーションの本質」

 第二段階におけるリドレーによって指摘されている「イノベーションの本質」は、以下の通りです。

 ①イノベーションはゆるやかな連続プロセスである。

 ②多くの命を救う。

 ③必ずしも「偉人」よって引き起こされたものではない。

 ④イノベーションの本当の価値は、コストを抑えて製品を簡素化する人たちによって成し遂げられる。

 ⑤イノベーションはセレンディピティであることが多い。

 ⑥意図しない貢献がなされることもある。

 ⑦イノベーションとは「アイデアの生殖(セックス)」である。

 ⑧イノベーションには試行錯誤が不可欠である。

 ⑨イノベーションは「協力」と「共有」を必要とする。
 
 ⑩イノベーションは予測できない。

 ⑪人々は、イノベーションの技術を短期的には過大評価し、長期的には過小評価する。

 ⑫人々に理解されるまでに「15年」かかる。

 ⑬イノベーションは「帝国」では生まれにくい。

 ⑭イノベーションは「都市」で起きる。

 ⑮「より少ない資源」で「より大きなパフォーマンス」を上げる。
 
一つの小さな分野から

 それでは最初に、ペット業界という一つの小さな分野におけるイノベーションの萌芽を紹介することにしましょう。

 その考察を行う前に、上記の1)~6)を踏まえて、その①~⑮の項目を評価してみましょう。

 やや粗末になりますが、その方が、より効果的ではないかと考えますので、ご理解をよろしくお願いいたします。

 その評価を予め示して、より解説を解りやすく行うという主旨をよくご理解くださると幸いです。

イノベーション評価

 この評価は、次の5段階で行います。

 5:非常によく適っている
 4:よく適っている
 3:普通(適っているのか、そうでないのかが不明)
 2:やや適っていない
 1:非常に適っていない

 この次の評価は、上記の基準に則して、リドレーが示したイノベーションの本質に適っているかどうかで判断しています。

 ①:5(ゆるやかに、そしてじわじわと広がっていて、ゆるやかなプロセスです)

 ②:5(ワンちゃんの健康を改善し、命を救っています)

 ③:5(光マイクロバブル技術は、「偉人」によって開発されたものではありません)

 ④:5(他の装置と比較して比較的安価であり、洗浄などの性能は格段に優れています)

 ⑤:4(国東のトリマーのMさんと知り合ったことが幸運でした)

 ⑥:5(洗浄だけでなくトリートメントに非常に有効だとは予測していませんでした)

 ⑦:5(トリマーと㈱ナノプラネット研究所のアイデアが結びついて発展しました)

 ⑧:3(光マイクロバブルフォームの洗浄理論の究明が遅れていました)

 ⑨:5(トップトリマーや専門家、獣医師との協力、共同が発展しました) 

 ⑩:3(光マイクロバブルフォーム洗浄力が格別に優れていたことは予測不可能でした)

 ⑪:2(既往のマイクロバブル装置は洗浄力がなく、否定されていた状況でした)

 ⑫:4(これまでに約12年の歳月を要し、ようやく萌芽がなされるようになりました)

 ⑬:4(欧米では生まれにくい技術であり、高温多湿の日本で生まれた技術です)

 ⑭:4(山口県の徳山市(当時)の高専で生まれた技術です)

 ⑮:5(他の製品より安く、洗浄力、トリートメントに格別に優れ、客が増えています)

 これらの評価の結果は、光マイクロバブルフォーム技術が、イノベーション性を有している可能性を示しています。

 次回は、これらの考察に、より深く、おもしろく分け入ることにしましょう(つづく)。

wan-111
光マイクロバブルフォーム洗浄中のワンちゃん