報告(3)
第50回記念の「ナノプラネットゼミ」の報告の続きです。
<プログラム>
13:30~15:30 講演2 大成博文「光マイクロバブルフォームの科学的特性」
講演2-2
今回の参加者の多くが、界面活性剤を用いた光マイクロバブル洗浄について深い関心を持たれていましたので、そのことに関する基礎と最近数カ月にわたる研究成果の一端を紹介することにしました。
水のなかに、わずかに界面活性剤を含ませると、どうなるのか?
この課題については、これまで現場において様々に適用、検討されてきたことでしたが、じつは、あまり深く科学的な究明がなされてこなかった、いわば未知の問題がいくつも存在していました。
光マイクロバブルの科学は奥深い、少し条件が変化すると、また新たな世界の入口が観えてくる、このような思いを改めて抱き直しています。
さて、前回の解説では、もともとの基本となる「界面活性剤とは何か」を明らかにしました。
もともと、界面活性剤が親水性と親油性に優れていることから、それが油汚れの洗浄において盛んに利用されてきたわけですが、それは、同時に疎気性でもあることから、その両者の間に気体が入り込む技術的余地はありませんでした。
周知のように、界面活性剤や脂を空気中に放置すると、それらが気体と混じり合うことはありません。
この性質は、水も同じであり、当然のことながら親気性はありません。
そこで、これらの関係を下記にまとめて示してみましょう。
これからも明らかなように、従来技術においては赤矢印の相関があり、そこにおいて各種の洗浄技術が成立してきました。
この黒矢印は、それぞれの関係において疎遠であったことを示しています。
ところが、光マイクロバブル技術の誕生によって、水と空気の一体化がほぼ完全に近いほどに実現されたことから(緑の矢印)、それによって、空気とシャンプー(界面活性剤)および油との新たなおもしろい関係が成り立つようになったのです。
すなわち、仲良しの水、シャンプー、油の三者関係のなかに、新たに光マイクロバブルが加わることによって、驚くほどに、そして予想さえできなかった仲良しの四者関係が成立するようになったことが小さくない注目を集めることになりました。
これは、「ブレイクスルー(突破、打破)」といってもよい現象です。
そこで問題は、この三者関係(空気、水、シャンプー)と四者関係(空気、水、シャンプー、油)が、なぜ、成立するのか、そして、どのように優れた関係であるのか、が重要な問題になりました。
それは、前者の関係が仮に成立するとしても、そこに重要でかつ卓越した優秀性が認められなければイノベーション性の萌芽はないといえるからです。
すなわち、いかに優れた油洗浄能が発揮されるようになるのか、これが最大の問題と考えられたからでした。
この問題における核心のひとつは、すでに、非常に低いシャンプー濃度においても大量の光マイクロバブルを発生させることを簡単に可能にしているという技術的事実に関係しており、それが、どのような役割を果たしているかを明らかにすることにありました。
そこで、この問題を解く鍵は、光マイクロバブルの発生機構にまで遡って考究する必要があるという観点から、その考察と解説を進めていきました。
そして、そこに極めて巧妙なメカニズムが存在していることを突きとめました。
討論においては、この問題を中心に質疑応答が熱心になされました。
そして、界面活性剤を含む液体において発生した光マイクロバブルの特徴をより科学的に究明していくことの重要性が明らかになりました。
全体を通じて、第50回記念にふさわしいナノプラネットゼミとなりました(この稿おわり)。
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