報告(2)
第49回「ナノプラネットゼミ」の報告の続きです。
<プログラム>
10:30~11:00 話題提供② 木村大知 「光マイクロバブルフォームの実験結果」
11:20~12:00 講演 大成博文 「界面活性作用と光マイクロバブル技術(1)」
12:00~13:00 総合討論・昼食
話題提供②
約1か月前から、話題提供者のK君との共同研究が始まりました。
このきっかけは、先日来訪された若い社長さんらとの協議の結果、光マイクロバブル技術に関する研究を発展させることで、基本的理解が得られ、その際にK君の支援を受けることが了承されたことにありました。
その共同研究の最初のテーマが、光マイクロバブル・フォーム技術に関することであり、その基礎実験を行うことになりました。
折しも、㈱ナノプラネット研究所の方に界面活性剤のサンプルが5つ届いていましたので、それらを使用しての光マイクロバブル・フォームの発生実験を行うことが最初の取り組みになりました。
本話題提供は、その初期段階における実験結果に関するものでした。
この5つのサンプルとは、犬の洗浄用シャンプーでした。
周知のように犬の洗浄は、ヒトよりも難しく、さまざまな改良と工夫がなされてきた歴史を有しています。
なぜなら、犬の被毛は、ヒトの髪の毛よりも3倍小さいにもかかわらず、3倍多く、しかも、皮膚が弱い、油質の汚れが出やすいなどの問題を抱えていることから、簡単に汚れを落としてきれいにすることができないのです。
そこで、さまざまに成分の配合に工夫がなされたシャンプーサンプルによる光マイクロバブル・フォーム実験がなされました。
その結果、次の特徴が明らかになったことが報告されました。
①いずれのサンプルにおいても、光マイクロバブル発生装置を用いて光マイクロバブル・フォームを発生させると、微細なフォーム(泡)を大量に発生することができた。
②しかし、そのフォームの性状と発生量については、それぞれ微妙に、あるいはかなりの有意差で異なっていることが明らかになった。
➂これらの結果を踏まえて、各光マイクロバブル・フォームの優劣を決めることができた。
以上の結果を踏まえて、この光マイクロバブル・フォームの物理化学的特性をより深く究明していくことが重要であることが示されました。
K君の発表スライドは、かなり工夫されていて、解りやすいものでした。
また、このような発表は初めての経験だったようで、かなり勉強になったようでした。
講演
上記のような契機もあって、今一度、界面活性剤の科学的基礎に関する勉強を開始しましたので、その一部を発表しました。
いつもそうですが、まずは、その科学的基礎を学習し、そこにおいて、光マイクロバブルと光マイクロバブル・フォームの関係を科学的に丁寧に探究していくことが大切であることを再認識することができます。
犬の被毛の洗浄は、上記の理由で、ヒトの髪の毛の場合よりはるかに難しく、そこにトリマーとしての専門家職業が成り立つ根拠があります。
その洗浄に関しては、次の3つの問題が存在しています。
①動物としての犬の被毛問題、細くて多い、油質の汚れがひどく、臭いを発生させている。
②犬の飼い主は、トリマーに犬のきれいな洗浄と匂い落とし、長期間の臭い発生防止、健康維持などのケアを要望する。
➂トリマーは、短時間により高い洗浄力を有する洗浄技術を適用して、飼い主の信頼と評判を高めたい。
このように、トリマーにとって、いかに優れた洗浄技術を身につけるかは、そのビジネスにおける死活問題になるともいってよいことから、光マイクロバブル・フォーム技術が、その要請にいかに応えるかが、非需要に重要な鍵になっていったのです。
この要請に照らして、光マイクロバブル・フォームによる高度で独創的な洗浄技術をどう開発し、発達させるか、これが非常に重要であるという認識を踏まえて、その基礎となる光マイクロバブル・フォームの科学的基礎の探究を開始した、これが、本共同研究の改めての契機となりました。
実際の講演では、界面活性剤とは何かという初歩からの解説がなされました。
また、界面活性剤を用いての洗浄において、「可溶化」、「乳化」、「分散」の各作用が重要であり、それぞれの定義と解説もなされました。
本図にもあるように、これらの3つの作用が、光マイクロバブル・フォームの形成とどう関係するのか、また、その関係に、どのような利点が生まれるのかについて、それぞれについての考察が明らかにされ、その議論がなされました。
従来の洗浄理論においては、この光マイクロバブル・フォームの介在がなく、ここに新たな独創的洗浄方法の開発の可能性が指摘されました。
また、その課題を探究するために、光マイクロバブル・フォームの物理化学的特性と機能性を詳しく究明する必要があることが明らかにされました。
これらの探究問題は、未だ、その入り口段階に到達した程度であり、今後の究明が重要であることも示されました。
以上で、第49回ナノプラネットゼミの報告を終わりますが、今回もかなり充実した報告と議論になりました。
次回は、第50回記念となりますので、それにふさわしい企画を考えることにしましょう(つづく)。
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