Mコメント(7-2)
Mさんからのコメントについての回答の続きです。
念のため、そのコメント(青字)と回答の前半(緑字)を示しておきます。
質問ですが、「海水マイクロバブルの発生(江田島湾)」の写真ですが、見事に白濁した様子が素晴らしいのですが、白濁ということはミリバブルということではありませんか?
マイクロバブルならこのように白濁しないのではありませんか。
光マイクロバブル発生器は1~65µmの範囲内で気泡を発生させるので、その規格からすれば、65µm以下のマイクロバブルの筈ですが。
回答(後半)
①上記の江田島湾における海水マイクロバブルのほとんどは、ミリバブルではなく、マイクロサイズの気泡です。
自然海水において光マイクロバブルを発生させると、このように白濁化された現象が生起されます。
この理由を調べてみると、淡水光マイクロバブルと海水光マイクロバブルの発生頻度分布は、ほとんど変わらないのに、その発生量が、その後者において著しく多いことが明らかになりました。
その発生量の差は、数倍に及びました。
江田島湾での実測値では約5倍の差がありました。
②海水において光マイクロバブルを発生させると白濁化します。
上記のように、海水光マイクロバブルの場合には、淡水光マイクロバブルの発生量よりも数倍多いために、光マイクロバブル(直径1~65㎛)であっても、白濁化して見えるのです。
この原因は、海水の元素成分には依存しません。
同じ成分の生理食塩水中で光マイクロバブルを発生させても、このような白濁化は起こりません。
これを踏まえると、その白濁化の原因は、自然海水中に含まれている各種の有機物の存在によって、海水の実質的な表面張力が低下したことによって光マイクロバブルの発生量が増え、その結果として白濁化が起こったといえるでしょう。
すなわち、汚れた海水ほど光マイクロバブルの発生量は多く、白濁化が促進されることになります。
➂光マイクロバブル(マイクロバブル)は、海水において白濁化し、淡水においては白濁化しない、これが科学的事実です。
白濁化する、しないという問題は、1995年以来、よく質問を受けたことでした。
「白い泡」、「泡は白い」という固定概念を持っている方が多くおられ、「泡が出ていない」、「白濁化していないじゃないか」といって来られることもよくありました。
その方々の多くが、実際の目視によって判断されていましたので、よく次のようにいって納得していただきました。
「ヒトの目だけでは、あやふやなですので、懐中電灯で水槽内を照らしてみてください。その光に輝いて見えているのが光マイクロバブルです。
光マイクロバブルは発生後に小さくなっていきますので、徐々に見えなくなってしまいます。
ヒトの目視による限界は、約10㎛です。それ以上小さくなると、目視では見えなくなります」
④ご指摘のように、光マイクロバブルの発生分布は、1~65㎛です。
直径1~10㎛の気泡:淡水では目視で見えず、マイクロスコープを用いて400~800倍に拡大してようやく観察することができました。
直径10~65㎛の気泡:光を照射すると目視でも観察可能です。白濁化して見えるかどうかは、光マイクロバブルの量の違いによって決まります。
⑤しかし、このなかで約10㎛以上の気泡であれば、それに光を照射すると光って見ることができます。
上記のコメントのように、ミリバブルが高密度で発生すると白濁化したように見えますが、その上昇速度が大きいために、そのミリバブルは、すぐに消えてなくなります。
淡水マイクロバブルにおいて発生する白濁化は、それよりもサイズの小さな泡で起こる現象です。
まず、その淡水マイクロバブルによる白濁化現象の一例を示しておきましょう。
白い泡(加圧溶解式で発生させたマイクロバブル)
この白い泡(白濁泡)は、大手ガス会社傘下の企業から持ち込まれた加圧溶解式のマイクロバブル発生装置によって発生させられたものです。
この企業は、この白い泡がヒトにおける生理活性作用があるかどうか、すなわち末梢血管における血流促進が起こるかどうかを知りたくて、本装置を持ち込んできました。
しかし、この白濁泡には、少しの生理活性作用は存在せず、すなわち血流促進は起こらず、かれらを落胆させたのでした。
「これは単に白いだけで、この白濁泡によって血流が促進されることはありません。
この結果をお認めになりますか?」
こういうと、かれらは、しぶしぶ、こういっておられました。
「この加圧溶解方式で発生した白い泡は、見た目の癒し系の泡としてアピールしていくしかありませんね!」
「そうですね。それしかありませんね。それは、賢い選択です」
白濁泡の正体
これが、白い泡(白濁泡)の科学的正体でした。
この時、マイクロスコープを用いて、この白い泡のサイズを調べました。
そのほとんどが直径50~60㎛であり、これらが多く発生することによって白濁して見えることも明らかになりました。
しかも、この白い泡は、小さな気泡核が膨張して発生しており、そのほとんどが収縮しない泡であることも判明しました。
この膨張は、周囲の水圧環境に等しくなるまで続きますので、そこで安定して白濁化現象を呈しているのです。
したがって、白濁化する泡は、その直径が50~100㎛程度のサイズを有し、しかも動的には、収縮しない泡であることが明らかになったのでした。
因みに、この白濁化した泡に、ありもしない期待を込めて技術開発を行おうとしたこと、あるいは商品化を行って失敗してしまったことなど、小さくない横道に反れてしまった現象も発生しました。
白い泡に、翻弄され、騙され、そして白い泡と化して消えていったことが、歴史の一コマとしてあったことは、よい教訓であったといってもよいでしょう。
Mさん、光マイクロバブルの最大の特徴は、そのピークが20~30㎛であり、そのほとんどが自己運動して収縮して高温高圧化を遂げていくことにあります。
この機能は、白濁泡にはない、これが私が突きとめた重要な科学的真実でした。
そのご理解とご賢察をよろしくお願いします。
次回は、そのおもしろいエピソードについても紹介することにしましょう(つづく)。
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