脳の老化を防ぐのは、生活のなかの「変化」
和田秀樹著の『70歳が老化の分かれ道』の第二章における4つ目の重要と思われる命題です。
70歳代の高齢者にとって、脳の老化は、非常に重要な問題です。
著者は、この脳の働きは、前頭葉(大脳の前方部分)に関係しており、思考や創造、意欲、理性などに関わっていて、より高度で人間的な、好奇心や感動、共感やときめきといった微妙な感情をも担っていると指摘されています。
逆にいえば、この脳の働きが弱ってくると、考えることを止め、意欲を失い、理性的な人間的判断ができなくなる、好奇心が薄れ、物事に感動しなくなり、ときめかなくなる、このような精神状態に陥ってしまうのではないでしょうか。
このような脳の老化は、すでに40歳代から始まっているのだそうで、それが高齢化とともに進み、70歳代になると一気に進行するようです。
何事もやる気がなくなり、これまでやっていたこともやらなくなり、家に閉じこもりがちになるのだそうです。
ここで、だいぶ前のことですが、Y県のKさんが、自分が使っている光マイクロバブル入浴装置をある方に貸し出したそうです。
わざわざ、自分が使用していたわけですから、Kさんは非常に奇特で思いやりに溢れた方でした。
その貸出先は、元教員の方であり、教員を止めた後から家に閉じこもるようになり、丸6年間、一歩も家の外に出ることはなかったそうです。
その元教員の方に面会し、自分が使っていた光マイクロバブル入浴装置を貸し出すことを申し入れたところ、かれはそれを快く引き受けられました。
それから、数か月が過ぎて、町内会の行事が開催された折に、そのかれが自転車に乗ってみなさんの周りをぐるぐると周っておられました。
そのみなさんは、口々に吃驚されて、かれを見たことを珍しがっていました。
そのなかで、Kさんは、一人密かに「やった!」とほくそ笑まれたとのことでした。
「Kさん、やりましたね!きっと、光マイクロバブルがかれの前頭葉を刺激し、セロトニンの発生を促したのでしょう。すばらしい、快挙です」
こういうと、Kさんは、本当に喜ばれていました。
これは、日本人としての鏡のような「思いやり」だったのではないでしょうか。
前頭葉の老化を防ぎ、意欲を維持する
そのために、毎日決まったことをするのではなく、「変化のある生活」を行うことが推奨されています。
この生活を実現するために、まず自分の生活を再点検して、どう変化させるかを工夫するのがよいのだそうです。
散歩であれば、歩くコースを変えてみる、読書であれば、ジャンルを変えて読む、料理をする、新たな野菜を育てる、コーヒーの淹れ方を変えて、より美味しいコーヒーを飲めるようにする、友に手紙を書く、新たな研究課題を見つけて、それに取り組むなど、いろいろなことが考えられますね。
私の場合には、本ブログにおいて新たな連載テーマを考え、執筆することも重要な変化といえそうです。
これについては、そのテーマがかなり広がってしまい、時々後悔することもありましたが、この変化の重要性を知り、むしろ、この課題を前向きに受け留めていこうと思うようになりました。
老いてなお、一歩一歩の変化を書き綴る、これは、私の前頭葉のためにも大切なことのように思われます。
同じ一歩でも、桁違いに偉大なものは、大谷翔平選手の一歩であり、本日はさらに変化し、44-43へと進みました。
チームの勝利のために、平然と、そして悠々と突き進むなかに、かれの凄さが垣間見えますね(つづく)。
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