Mコメント(8)
 
 先日のMさんへの回答に関する感想とコメントが、次のように寄せられています。

 Mコメント(72)難し過ぎて理解できません。

 光MBが海水中で発生量が数倍に増加するというのは偉大な発見ですが、それが塩分のためでなく、各種有機物のためであるということは重要な発見です。

 養殖場は江田島湾の赤潮(植物プランクトンの死骸)や大船渡湾のヘドロなどに満ちており、「汚れた海水ほど光MBの発生量は多く、白濁化が促進される」という発見は世界の養殖業者にとって聖書の中の言葉のような喜ばしい知らせ(福音)です。

 浄土真宗の「善人なおもて救われる」かも知れません。

やはり、そうだったか!

 M(7-2)の回答を執筆しながら、この理解はかなり大変ではないか、と思っていました。

 やや複雑な「白濁化論」となったことが、その原因でした。

 もっとわかりやすく、簡素に記述した方がよかったですね。

 そのことを考慮して、次のようのまとめておきましょう。


 ①海水光マイクロバブルは簡単に白濁化する、それは自然海水中に有機物が含まれていることから、表面張力が低下して起こることに起因し、その発生量が淡水と比較して数倍多いことによるものである。

 ②淡水における白濁化は、加圧溶解式装置によって発生する。これは、小さな気泡の核が減圧によって膨張することによって発生し、その直径は50~80㎛程度であり、その比較的な大きさによって白濁して見える。

 ➂筆者が開発した超高速旋回式発生装置においては、淡水において、その白濁化は起こらない。同時に、この光マイクロバブルは、その発生直後から収縮し、10㎛前後から目視困難となり、最後には消失していくように見える。

 ④ミニリバブルとマイクロバブルの白濁化は、そのサイズと見え方が異なっている。

 Mさん、これでよいでしょうか?

 さて、上記において指摘されているように、海水において光マイクロバブルが、なぜ白濁化するのか、この原因は当初不明のままでした。

 もしかしたら、海水中の分子成分が関係しているのかもしれないと思って、そうであれば、大変重要な問題になるかもしれないと色めき立ったのですが、じつは、そうではなく、海水の分子成分とその白濁化は関係していないことが判明しました。

 まず、海水と同じ成分を有する生理食塩水を用いて光マイクロバブルの発生実験を行ったところ、その白濁化はまったく起こりませんでした。

 次に、白濁化が起こる液体を探して実験を行いました。

 それらは、アルコール水、界面活性剤入り淡水などであり、いずれも表面張力、あるいは界面張力が低い液体でした。

 これらの結果から、海水光マイクロバブルの白濁化は、そのなかに含まれる有機物などの汚れによって表面張力が低下することによって、その白濁化が起こることが判明しました。

沿岸部における水産養殖

 沿岸部においては、そこに流れ込む栄養によって大量のプランクトンが発生し、それを餌とする魚や植物の生育が可能になります。

 ご指摘のように、この環境の下で人類は長年にわたって水産業に勤しんできました。

 豊かな海が豊かな海の幸を生み出してきたのです。

 しかし、その沿岸部が汚れすぎると富栄養化によって海が死んでしまうことも経験してきました。

 この海の富栄養化に待ったをかけて、水産養殖の改善に尽力してきたのが光マイクロバブル技術でした。

 この利点は、次の3つにありました。

 ①海がやや汚れて海水中に有機物類などが増えると、海水光マイクロバブルの発生量はますます増加するようになり、その効果を向上させる。

 ②海水光マイクロバブルの発生量は、その海水温度が低いほど多くなるので、南方よりも北の海に適用すると、その効果が出やすい。

 ➂単に海水中の溶存酸素濃度を増やすだけでなく、その光マイクロバブル海水には生理活性作用があり、それは光マイクロバブルが消失しても維持され、周囲に拡散していく。

 ④この物理化学的特性と生物活性機能は、時間と共に衰えることはなく、長時間にわたって持続する。

 Mさん、これらは非常に重要な特徴といえるのではないでしょうか。

 これらを踏まえて、改めて海水光マイクロバブルと海水光マイクロバブル水に関してより深い探究が非常に重要であることを再認識しています(つづく)。

asahi
江田島湾において発生した光マイクロバブル(朝日新聞小林裕幸カメラマン撮影)