未来は青年のもの (13)
  
 本日は、何気なくテレビ番組を見渡していると、将棋の王座戦が始まっているのを見つけ、「今日は、これを楽しく視聴できる」と思ってうれしくなりました。

 これは、藤井聡太王座に対して、永瀬拓矢九段が挑戦する戦いでした。

 周知のように、先の王座戦では、藤井七冠に挑戦された永瀬王座が、九分九厘勝ちそうになっていたところで1分将棋になり、大逆転をされてしまうという対戦がいくつもありました。

 その悔しさのあまり、永瀬王座は、自分の頭の毛を掻きむしっていました。

 それだけ悔しかったのでしょう、さすが勝負師であり、同時に若さのあまりに思わず出た仕草だったのでしょう。

 以来、約1年、激戦を制して再び挑戦者になった永瀬九段の表情には、辛酸を重ねてきた成長の姿がありました。

 一方の藤井王座七冠の方は、叡王戦で八冠のひとつを失ったのも関わらず、その後の棋聖戦、王将戦、名人戦、そして今回の王位戦と、その連勝記録を伸ばし、ますますの強さと本領に磨きをかけてきました。

 さて、この王座戦の第1局は、先手が永瀬九段、序盤は、かれの方がややリードしていました。

 しかし、中盤からは、得意の角打ちが徐々に功を奏し、逆の藤井王座やや有利に変わっていきました。

 終盤になっても、藤井王座の攻めは続きましたが、ここで巧妙な手が射されました。

 なにせ相手は、永瀬九段ですので、守りを固めながら、好機を窺うことに長けていますので、油断はできませんでした。

 そして最終盤で、このままでは攻め切ることができないと判断した藤井王座は、相手への攻めと自陣の防御を兼ねた角打ちを決め、それがみごとに当たって、相手の飛車取りに成功しました。

 これで、永瀬陣営は、一挙に攻めの駒を無くし、ここで大きくAI評価も藤井王位側に触れていきました。

 結果的に、攻めの無理をせずに、自陣の安全さを読み切って、後詰を読み切って、永瀬九段を投了させたのでした。

 こうして、藤井王座の強さが目立った対局になり、最近の好調さを裏付ける一戦となりました。

 次の対局は、藤井王座が先手になります。

 この場合は圧倒的な戦績を修めていますので、より強さを発揮できるのではないでしょうか。

 これに対して、永瀬九段の知恵と工夫が期待されます。

44-46

 もう一方の雄である大谷翔平選手は、残り20数試合をとなって、激しさを増す戦いを繰り広げられています。

 同リーグ第二位のダイアモンドバックスとの試合に、ドジャーズは3勝1敗と理想的な勝ち越しを決めました。

 このなかで、44(本塁打)-46(盗塁)という前人未到の記録を更新し続けています。

 この大記録に、さすがのアメリカ国民も驚きのようであり、さまざまな話題が沸騰しています。

 そして、誰も到達したことがない、50-50という大記録が目の前に迫ってきていることを多くの人々が口にし始めました。

 この大記録までは、ホームランで6本、盗塁で4つ、これらが課題となっています。

 最近の大谷選手の打撃では、3試合に一本の割合でホームラン、盗塁数も2~3個となっていますので、多くのファンが期待し、応援をしています。

 しかも、リハビリ選手としては、投球練習まで披露されており、その雄姿は、多くのアメリカ国民を驚嘆させています。

 そして、この大谷選手の実践は、これまでのメジャーリーグの野球を破壊し始めているともいわれています。

 また、ある学者が試算した大谷翔平選手の経済効果は890億円余といわれています。

 これは、あの阪神タイガースが優勝した時の経済効果をはるかに上回っています。

 タイガースの選手70余名によって為し遂げられた経済効果を大谷一人で遥かに超えてしまったのです。

 さて、この藤井棋士、大谷選手は、これから、将棋界、野球界の未来を、どのように創っていくのでしょうか。

 この未来形成には、かれらに憧れ、かれらのようになろうという青年や子供たちが含まれています。

 ここには、裏金やおねだり、パワハラという幼稚で目先のことしか考えない収賄性や幼児性は少しも入り込む余地がありません。

 正義と志の尊さが、かれら二人の清らかで、潔い実践を通じて浮き彫りになっているように思われます(つづく)。

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百日紅(前庭)