Mコメント(7)
Mさんから熱心なコメントが、ほぼ毎日寄せられてくるようになりました。
いずれも、非常に重要な内容を有していますので、丁寧な対応を行うことにして、本記事での回答を示すことにしています。
以下、最近寄せられたMさんのコメント(青字)です。
ケチをつけるわけではありません。
質問ですが、「海水マイクロバブルの発生(江田島湾)」の写真ですが、見事に白濁した様子が素晴らしいのですが、白濁ということはミリバブルということではありませんか?
マイクロバブルならこのように白濁しないのではありませんか。
光マイクロバブル発生器は1~65µmの範囲内で気泡を発生させるので、その規格からすれば、65µm以下のマイクロバブルの筈ですが。
淡水光マイクロバブルと海水光マイクロバブル
上記のような疑問を持たれたことは無理からぬことといえます。
この疑問に答えるために、少し整理を行っておきましょう。
その第1は、淡水光マイクロバブルと海水光マイクロバブルの比較を正しく行う必要があることです。
すでに何度か述べてきたように、淡水と海水では、光マイクロバブル(マイクロバブル)の発生状況が大きく異なります。
前者において、光マイクロバブルは、その毎分1ℓ(リットル)の発生が可能ですが、その様子は「白濁化」しません。
これに対して、後者の場合、その外見において「白濁化」状態を呈します。
Mさんが指摘された光マイクロバブルの発生状況は、この場合に相当します。
念のために、その問題の画像を再録しておきましょう。
海水光マイクロバブルの発生(江田島湾)
このように、淡水においては、光マイクロバブルは白濁化せず、逆に海水においては、その白濁化が観察可能になります。
また、淡水(水道水)における光マイクロバブルの発生の様子も示しておきましょう。
この比較で明らかなように、光マイクロバブルの発生は、液体の種類によって大きく異なります。
上掲の海水光マイクロバブルの発生は、実際の海における水中写真ですが、これを容器内で発生させれば、その容器内は白濁された光マイクロバブルで充満されます。
なぜ、このような相異が生まれるのか
なぜ、淡水と海水で、このように光マイクロバブルの発生状況が違うのか、これは、光マイクロバブル研究の当初から見出されていた小さくない疑問でした。
しかし、この疑問を探究する前に、もう一つの問題がありました。
その第2は、同じ淡水であっても、上記の写真のように白濁化しない場合と白濁化して奥行きがまったく見えなくなる場合が存在していたことです。
この白濁化しないマイクロバブル(光マイクロバブル)と白濁化するマイクロバブルの両方が存在していました。
この区別が明確になされていないと、上記のようなMさんの疑問が湧いてしまうのです。
同じ淡水においても、非白濁化と白濁化の2つの現象が存在していたのです。
なぜ、このような違いが生まれた」のでしょうか?
その答えは、マイクロバブルの発生方式の違いによるものでした。
その方式の違いを整理して示しておきましょう。
①非白濁化現象をもたらしたのは、超高速旋回式発生装置(私どもが開発した装置であり、後に光マイクロバブル発生装置といわれるようになりました)でした。
②逆に、白濁化現象をもたらしたのは、「加圧溶解式マイクロバブル発生装置」でした。
これらの技術の形成を歴史的に観ると、②の方が先で、①は後発でした。
②の技術については、もっとも卑近な例は、ビールです。
その栓を抜くと、すぐさま泡が大量に出てきます。
これは紛れもない「白濁泡」ということができます。
ビールにおいては泡は付き物であり、泡なしにビールを味わうことはできません。
開栓すると、なぜ泡が大量に発生するのか?
栓を抜くと、ビールの器のなかの圧力が急に低下します。
すると、予め加圧されて封じ込められていた炭酸ガスが、その圧力低下によって泡の元の小さな気泡がすっと膨らみ、それが泡として現れてくるのです。
すなわち加圧されて溶解していた気体成分が膨らんで泡として発生するのが加圧溶解式のマイクロバブルの発生方法なのです。
したがって、この泡は、気泡核と呼ばれる非常に小さな気体成分が急に膨張して大きくなっていく、いわゆる膨張気体の泡なのです。
したがって、この泡が形成され始めると、そのサイズを制御することはできません。
つまり、この泡は、コントロールすることができない泡なのです。
これらを踏まえ、上記のMさんの質問に対して、次のように回答します。
上記の江田島湾における海水マイクロバブルのほとんどは、ミリバブルではなく、マイクロサイズの気泡です。
海水において光マイクロバブルを発生させると、このように白濁化します。
光マイクロバブル(マイクロバブル)は、海水において白濁化し、淡水においては白濁化しない、これが真実です。
ご指摘のように、光マイクロバブルの発生分布は、1~65㎛です。
しかし、このなかで約10㎛以上の気泡であれば、それに光を照射すると光って見ることができます。
こう答えても、おそらく、十分な満足は得られないでしょう。
次回において、そのことをより詳しく解説することにしましょう。
また、この白い泡に関するおもしろいエピソードも紹介することにしましょう(つづく)。
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