70歳が老化の分かれ道(3)

 和田秀樹著の『70歳が老化のかれ道』を読み進めています。

 その第二章「老いを遅らせる70代の生活」なかで語られている次の「70歳論」を考察してみましょう。

 (2)働くことは、老化防止の最高の薬

 働くことは、人間にとって最も大切な行為のひとつであり、これによって社会的な人格形成を可能にします。

 一人では働くことはできず、社会のなかで協力しながら人間らしさを磨き、成長していきます。

 かれは、高齢者にとっても、この働くことが、老化防止のためにも非常に重要であることを強調されています。

 その具体的事例として、日本人の平均寿命の問題を取り上げて考察されています。

 最近の都道府県別ランキングにおいて、男性の場合、長野県がトップを争っていることが注目されています。

 一方、沖縄県の男性の場合は、1985年に第1位になりながら、その後は、1995年に第4位、2005年に第26位、2015年に第36位、そして2022年には第43位にまで急落しています。

 また、沖縄の女性の場合は、1975~2005年までが第1位、2005年が第7位、2022年が第16位と、これも徐々にランキングを下げています。

長寿と就業

 さて、男性の場合、長野県が常にトップを争っているのは、なぜなのでしょうか?

 これに関連して、かれは、長野県の高齢者の就業率が全国1位であることを指摘されています。

 お年寄りになっても、何らかの仕事に就いて元気に働くことが、自分の寿命を延ばすことに結びついていることが、みごとに関係しているのです。

 これに対して、男性の就業率が全国ワーストワンが沖縄県なのです。

 同じく、沖縄県の完全失業率の高さは全国一であり、11%を超えています。

 高齢者の男性が働く職場がほとんどなく、そのことが、平均寿命のランキングを急速に低下させて、今ではワースト5に入るという事態に陥っているのです。

 かつて沖縄は、上記のように日本一の長寿の県でした。

 それが、急激に変化し、その長寿を維持できずに急落させていったのです。

 数年前に、この沖縄の平均寿命の低下現象に関して、沖縄在住の経済学者や親戚の方々と議論したことがありました。

 沖縄は、1972年に復帰しました。

 これに伴って、約10年間の特別措置がなされ、沖縄県民の生活支援がなされました。

 とくに、食料品に関しては、他府県からの輸入品に関しても格安の購入が可能でした。

 私は、1974~1976年まで琉球大学に勤めていましたが、その生活に困ることはなく、給料の約3割(2万円)を親に仕送りしていました。

 今でも思い出しますが、たまに那覇の国際通りのレストランに出かけて食事をすることがありました。

 その際によく注文したのが、サーロインステーキのフルコースでした。

 野菜、スープ、ステーキ、ご飯、デザート付きで1200円程度でした。

 この値段では、学生時代に過ごした山口県宇部市においては、とても食べることができなかった料理でしたので、その美味しさと安さを噛みしめてワクワクしながらいただきました。

 今思えば、このサーロインステーキにも復帰特別措置がかけられていたのでした。

 この時の私の給料は7万2000円であり、家賃が3万円、親への仕送りが2万円、残り2万2000円が生活費でしたが、これで困ることは、あまりありませんでした。

 しかし、今の沖縄では、このような生活をすることができなくなっています。

 とくに、食料自給率6%の沖縄では、食料品が高騰し、たとえば、生鮮野菜は、こちら本土の約3倍が普通になっています。

 レタス100円が沖縄では300円以上しますので、毎日レタスを食べることは難しく、食べるとしても月1回のタコス料理に限られている家庭が少なくないようです。

 それゆえか、沖縄ではタコス料理のチェーン店が人気で、よく繁盛しています。

 野菜が高いから、なかなか買えない、買えないから食べない、レタスよりもビールの方がよい、このような悪循環に陥っているのです。

 実際に、いくつものスーパーに行って、その野菜の様子と値段を調べたことがありました。

 そこでは、野菜の値段が高いだけでなく、誰も買わないままの野菜が、相当に傷んでいました。

 また、県内産の野菜は、約10%に留まっていて、そのほかは、福岡産、熊本産、茨城産など多数の府県からの輸入野菜ばかりでした。

 私の家内の弟さん(沖縄市在中)も、野菜をほとんど食べずに、肉好き、ビール好きのあまり、腸に孔が開いて入院、手術をしたということまでありました。

沖縄の女性

 沖縄の男性の兵器寿命ランクが急落していったのに対し、女性の場合は、未だ16位に留まっています。

 なぜでしょうか?

 食生活においては、アルコールの問題を除けば、男性とあまり変わりはないはずです。

 当然のことながら、沖縄での女性の就業率は、男性よりも低いはずですので、これが平均寿命に影響している要素は、あまり大きくないはずです。

 しかし、より低い就業率にもかかわらず、沖縄の女性は、あらゆるところでよく働いている、この光景をずっと見てきました。

 家事、近所づきあい、助け合い、教育、子守など働き好きなのが沖縄の女性であり、家庭の中で柱になっているのが沖縄の女性たちなのです。

 この実質的労働を行っているということにおいて、沖縄の女性は、男性よりも遥かの上回っていますので、そのことが平均寿命の高さと維持に少なくない寄与をもたらしていると考えることができます。

私の労働と自由

 最後に、私の場合も、少し考察してみることにしましょう。

 それらを年代別に次のように要約してみました。

 1)T高専退職前の5年間 ➡ ㈱ナノプラネット研究所での技術開発支援を行い、就業の準備を行った。

 2)退職後、2013年に大病、68日間の入院、手術を行い、すべてを出直すことになった。

 3)㈱ナノプラネット研究所の研究開発本部長として数々の技術開発補助金(1億円弱)を得て商品開発に従事した。㈱ナノプラネットで商品開発にも従事した。

 4)2019~2023年から新型コロナウイルスの流行に伴い、大成研究所における光マイクロバブルに関する新技術開発に専念するようになった。

 私にとって、4)の研究所活動は、非常に重要な念願でもあったことから、その取り組みを徐々に発展強化させています。
 
 これらに加えて、2、3の共同研究、趣味と健康づくりを兼ねた緑砦館における野菜作り、そして毎日のブログ書き、そして最近は、藤井聡太のタイトル戦、大谷翔平選手の試合観戦などをゆかいに楽しんでいます。

 これらは、観方を変えれば、自由を楽しんでいることでもあり、私がめざしてきた私の最終スタイルと実践なのかもしれません。

 そして私の夢とロマンは、光マイクロバブル研究の成果によって、この世のなかの常識を覆していくことであり、そこに「一隅の灯」を点火していくことにあります。

 これからも、これらの働きを薬にして、老化に挑戦していくことができれば、真に幸いですね(つづく)。

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夕暮れ時の街路樹(国東向陽台から撮影)