「イノベーションの本質(1-13)」

Mコメント(3)

 さらに、Mさんから寄せられたコメントに対する回答を続けましょう。

 今回は、下記の青字の疑問について検討します。

 昨日の「ナノバブルは泡ではない」という記事で疑問が湧いてきました。
 ナノバブルが底に沈むことが観察されたそうですが、ナノバブルの中にある気体は窒素80%+酸素20%の混合気体でしょうか、それとも窒素バブルと酸素バブルと極く僅かのCO2バブルが別々に存在するのでしょうか?
 溶存酸素が増えることは大船渡で観察されていますが、溶存窒素も溶存CO2も増加することは観察されているのでしょうか?
 N2O2CO2はそれぞれ密度が違いますが、それにより分離が起きるということでしょうか?
ナノサイズの非ガス粒子の正体は何か?(2)

 先の九州大学ほかの報告は、おそらく、ナノバブルは、ナノサイズのなかに気体が内在された気泡のことだと推察しています。

 その気体が空気であれば、窒素と酸素が4対1で構成され、わずかなCO2も含まれていたと考えられるでしょう。

 この場合、それらが混合気体としてナノバブルに内在していたと考えるのが自然のことです。

 それぞれ、単一気体としてナノバブルが形成されるには、それぞれの単一気体の挿入技術が必要になります。

 窒素と酸素、CO2の気体特性を考慮すると、窒素は非常に水に溶けにくく、酸素は、やや溶けにくく、CO2は非常に溶けやすいという性質を有しています。

 これらの性質を利用して、古くから、空気を用いて、その酸素分をエアレーションして、溶存酸素成分を下水等の分野で利用するという技術が発達してきました。

 また、炭酸ガスの溶存化は、炭酸飲料として広く用いられてきました。

 さらには、ほとんどの飲料水においては窒素も注入されていて、それによって酸素を追い出し、腐敗しにくくしているのです。

 この無酸素飲料水を大量に飲めば、当然のことながら身体に悪影響を及ぼしますが、飲む量が限られていまうので、ほとんど問題がないとみなされています。

 これらが一般的な気体の溶存化技術における見解ですが、これが光マイクロバブルの場合には、非常に重要な問題が生まれてきます。

窒素溶解の非常識

 すなわち、光マイクロバブルの場合には、窒素も酸素の場合と同じように溶存化するという非常識なことが起こります。

 これは非常に重要な発見であり、実用的にも大変意味のあることでした。

 何人もの化学者に尋ねてみましたが、

 「窒素が簡単に水に溶けることはありえない。

 そのような結果をあなたが提示しても、私は、それを信用しません」

 ほとんどの方々が、このように異口同音にいっておられました。

 それだけ、専門家にとっても非常識なことでしたので、多くの方々にとっても信じられないことだったのです。

 しかし、この非常識を常識化していくプロセスこそが、イノベーションの道標なのです。

 さて、上記のMさんの質問に戻ることにしましょう。

 実際の大船渡湾の現場において、CO2の溶存特性はどうであったかという問題ですが、この計測は行っていません。

 なぜなら、CO2は海水中に大量に溶存していますので、その量に対して、光マイクロバブルによる、その溶存量は微々たるものですので、それを計測しても有意差が出てこないと判断していたからです。

 また、窒素、酸素、CO2は、たしかに密度の違いがありますが、実際には、光マイクロバブルのなかでは混合気体として、各種の化学反応が起きることで、それらの溶存化がなされますので、この反応の方が重要だといえます。

 以上が、Mさんへの回答です。ありがとうございました(つづく)。

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