「一隅の灯」は宝になるか(2)
昨日の記事の続きです。
先日は、若手の社長さんらとかなり突っ込んだ光マイクロバブル技術論議を重ねました。
その内容の柱は、次の3つでした。
赤字の部分が、前記事と本文に関することです。
①光マイクロバブル技術による動物洗浄商品に関する販売動向と評判、問題点と課題
②光マイクロバブル技術の重点課題と今後の可能性
➂光マイクロバブルに関する当面の研究課題と実験について
もともとは、光マイクロバブル技術を、どのようにして巧みに動物洗浄に適用するか、この問題が問われました。
たとえば、犬の場合、全身が毛で覆われています。
この被毛は防寒のためです。
ヒトは寒さを防ぐために衣服を着、布団の下で寝ることができますが、犬はそれができません。
どんなに寒くても犬小屋で寝ることを余儀なくされています。
その際、犬の被毛が防寒着の代わりを担っていますので、これによって効率よく身体の体温を保つ必要があります。
そのために犬の被毛は、寒さ対策として被毛のサイズを小さくし、さらにその量を多くしています。
ヒトと比較すると、犬の被毛は約3倍小さく、そして約3倍多いのです。
逆に、ヒトの髪は、犬よりも約3倍大きく、約3倍少ないといえます。
どちらが、洗いやすいでしょうか?
この答えは、すぐに解りますね。
ヒトは、お風呂に入って、自分でシャンプーを髪に注いで泡だてて洗うことができます。
犬の場合は、そうはいきません。
ヒトに洗ってもらわないと、自分では身体を洗浄することができません。
しかも、その洗浄には、3倍のかずの被毛と3倍の被毛の小ささが、その洗浄のしやすさに影響を与えますので、普通の飼い主さんでは上手く犬を洗浄してきれいにすることが難しいのです。
ここに、トリマーという専門家階層が誕生してきた背景がありました。
トリマーの仕事は、いかに汚れた犬の被毛をきれいに洗浄するのか、しかも、可能な限り短時間において、その洗浄を熟し、さらには、犬の体調のケアをどう行うか、これらに苦心するようになりました。
この一階層としてのトリマーの出現は、互いに競い合いながら顧客を得て、その飼い主さんにいかに喜ばれるのか、これも問われるようになりました。
これらが、トリマーとしての営業にも深く関係しますので、優れた短時間の巧妙な洗浄とワンちゃんの体調や被毛のケアを他のトリマーよりも巧みに行うことが、その競争に勝つための必要条件でした。
そこで、トリマーの専門技術として、次の課題が深く探究されるようになりました。
光マイクロバブル・トリミング技術の特徴(1)
その成果は、実際の動物洗浄の現場において実証されていくようになり、徐々に、その利用規模が拡大していきました。
あちこちで、トリマーのみなさんの間で評判になり、それが口コミで広がっていったからでした。
最初は、日本の代表として世界で競い合うトップトリマーを中心にして、そのお弟子さんや関係者のなかで浸透していきました。
次は、トリミングを専門とする比較的規模の大きいトリミング専門店へと進み、さらには、個人で経営しているトリミングサロンへと普及していきました。
そして現在は、その利用規模が拡大して、個人や小規模なトリミングサロンにおいても拡大しつつあります。
これらの拡大と普及の原動力となったのは、その抜群の洗浄力でした。
それでは、この「抜群の洗浄力」の発揮は、どのようにして実現されたのでしょうか?
光マイクロバブル技術は、それを具体的に、どう達成させたのでしょうか?
その核心的技術こそが、光マイクロバブルフォーム(あるいはマイクロバブルフォーム)だったのです。
フォーム(foam)とは、泡のことです。
すなわち、光マイクロバブルフォームとは、光マイクロバブルが作り出した泡のことです。
これは、水やお湯のなかにシャンプー(界面活性剤)を少量入れることによって形成可能になります。
水のなかで光マイクロバブルを発生させた場合には、毎分約1リットルの光マイクロバブルを発生させることができます。
ここに、シャンプー液をほんのわずか注入すると、マイクロバブルのサイズよりはわずかに大きいサイズの光マイクロバブルフォームが大量に生成されます。
このシャンプー液と水、そして空気によって大量に形成された光マイクロバブルフォームが、ワンちゃんの汚れた被毛をたちどころにきれいにしてしまったのです。
なぜでしょうか?
その理由は、光マイクロバブルフォームの優れた洗浄力の発揮にありました。
この洗浄力の大小を決定づけるのは、泡の大きさです。
大きい泡よりも小さい泡の方が、その表面張力が大きく、より大きな表面張力を有する泡ほど、汚れた油脂成分に浸透し、被毛からの油脂成分の剥離をよりしやすくして被毛をきれいにすることができるのです。
そこで、まず、光マイクロバブルと光マイクロバブルフォームを比較してみましょう。
前者の最頻値のサイズは27㎛、後者は60㎛であり、その比率は、約0.34倍です。
また、それらの表面張力においては、前者に対して後者の比率は、約3倍です。
しかし、光マイクロバブルフォームの場合には、その液体中にシャンプー液がわずかに入っていますので、その分だけ、その表面張力は低下傾向にあります。
この低下傾向は、洗浄力の低下と結びつきますので、このことだけを取り上げると好ましいことではありません。
しかし、その表面張力の低下によって、光マイクロバブルフォームの生成量が大幅に増すという新たな現象が生まれるのです。
たとえば、水10リットルのなかにシャンプー液を1㏄入れた場合とシャンプー液なしの場合の光マイクロバブルおよび光マイクロバブルフォームの発生量を比較しますと、おそらく5~10倍以上に達するのではないかと推察しています。
このことを踏まえますと、光マイクロバブルフォームのサイズが80㎛とやや大きくなって表面張力が約3倍小さくなっても、その不利を十分に補う光マイクロバブルフォームの発生量が得られることから、格別に優れた洗浄力が発揮されているように思われます。
この推察を裏打ちするように、トリミングサロンにおける光マイクロバブルフォーム洗浄力が抜群に優れていることが、実際に少なくないトリマ-のみなさんに実証、確認されているのです。
この優れた洗浄力の発揮は、それだけに留まらない、いくつもの利点を生み出すことになりました。
次回は、それらの利点ついて分け入っていくことにしましょう(つづく)。
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