「光イノベーションの胎動(1)」

 本シリーズも18回目の記事を認めることになり、その佳境に入り始めたのでしょうか。

 ここで、それらの記事をやや整理をしてみましょう。

 ①イノベーションの本質(1:マイクロバブル発生装置の開発過程)1~9

 ②イノベーションの本質(2:リドレーのイノベーション論に則して)1~2

 ①においては、1980年ごろから始まった筆者による微細気泡発生装置の開発に関する具体的な改良の積み重ねの過程が克明に示されています。

 この段階においては、未だマイクロバブルの発生を可能にする装置開発には至っておらず、既成のエアレーション装置を参考にしながら、悪戦苦闘の先の見えてこない13段階の改良を積み重ねてきました。

 しかし、その到達点においては、当時の世界12か国の特許を取得していたエアレーション装置を技術的に乗り越えたものの、それでも、マイクロバブルのみを大量に発生させる新たな新技術の開発は達成されていませんでした。

 したがって、この技術開発は改良に留まり、イノベーションの域に踏み込むには、これからいくつもの峰を越えていく必要がありました。
 
 このイノベーションに至るまでには、さらに重要なブレイクスルーを為すことが重要でしたので、その説明に今しばらくの連載が必要です。

 ②については、①に関する連載がかなり長く続いてきましたので、それと同時並行的にマットとリドレーによるイノベーション論を直接考察するという2つ目の柱を設けることにして、よりわかりやすくイノベーション論の展開を図ることにしました。

 その理由は、すでに述べたように、①の叙述が、これからもかなりの回数において続くことが予想されることから、それを待つよりも先に、リドレーのイノベーションの本質を直接紹介することによって、より重要な内容の考察を行おうと思ったことにありました。

 すなわち、以上を要約すれば、①において微細気泡発生装置の改良の連続を解説しながら、それが、どのようにして光マイクロバブル発生装置に発展していったのかを明らかにし、その過程が、リドレーのイノベーション論と照らし合わせて、どう適合するのかを論じようとしたのでした。

aji-111
紫陽花(前庭)

 しかし、それで十分か、この問題が、これらの執筆中にも深く問われていました。

 なぜなら、本記事の主題は「光マイクロバブル・イノベーション」であり、これをリアルに、より現実に照らし合わせて複合的に、その探究を試みる方がよく、ダイナミックになるのではないか、このように思い始めていました。

 そこで➂として、次の新たな柱を設けることにしました。

 そのきっかけは、若い経営者と社員の方々3名とかなり突っ込んだ議論を3時間余ほど行ったことにありました。

 それらの詳しい内容については追々紹介していきますが、この議論を通じて、一つの重要な認識を新たにすることができたのではないか、と思うことがありました。

 それは、

 「いよいよ、光マイクロバブル・イノベーションが目に見えて始まったのではないか、これまでの点の状態から、一つの線になり、それが徐々に太くなって生きているのではないか?

 これは、もしかしたら、イノベーションといってもよいのかもしれない」

という思いが湧き始めたからでした。

 そこで、3つ目の柱としての➂を次のように定めました。

 ➂光マイクロバブル・イノベーション論(生成期から発展期への突入)

 すでに何度か述べてきたように、光マイクロバブル技術については、その時代区分において未だ生成期の後期過程にあると見なしてきました。

 この後期過程とは、次の発展期へ接近し、突入していくという時期のことを意味していました。

 溜まった水が溢れて堰を越えることを「堰を切る」といいますが、これと同じような現象が、そのある小さな分野において起こり始めているのではないかと、そのかれらとの議論のなかで認知するようになりました。

 このことは、上記の①と②にどう関係するのか、この疑問が湧いてきます。

 ①に関しては、その記事の執筆がなされている時期は1985~90年の頃ですので、そこから眺めれば、約40年後のことです。

 これは気の遠くなるような年月ですが、それだけ、ゆるやかなイノベーションへの発展という特徴を有しているようで、このことは、リドレーのイノベーション論と少しも矛盾しません。

 ②に関しては、そのイノベーション論において、上記のことも含めて非整合性はないように思われますので、そのことをより具体的に、そしてより深く比較考察を行っていくことが重要であると思います。

 それでは、その光マイクロバブル技術が、これまでの生成期を突破(ブレイクスルー)して、いよいよ発展期へと突入したといえそうな現象は、どこで起こっているのか、それについて披露することにしましょう。

 それは、ある動物の洗浄技術の分野です。

 それは、これまでにも指摘され、存在してきた分野であり、どこに、そのイノベーション性があるのか?

 読者のみなさんは、そう思われることでしょう。

 たしかに、その指摘の通りですが、じつは、そこに新たな萌芽が生まれ、そこにイノベーション性が認められるようになった、そう考えてもよいことになり始めているのです。

 何度か、この突入の可能性を探ってきましたが、今回は、その実現性を帯びてきたのではないか、その思いを強めています。

 次回は、その小さな世界で生起している光マイクロバブル・イノベーション性に分け入ることにしましょう(つづく)。

seichou-1