超異常円安(5)

 このところ、超異常な円安状態が続いています。

 直近では、それは、日本国債におけるゼロ金利政策を止めたことで金利が上がっていたにもかかわらず、急激な円安が進んだことでした。

 とくに、4月末の日銀政策会合の直後に起こったことは、わずか3日間で円が5円も安くなって1ドル160円を突破という超異常現象が起こりました。

 この事態を迎えて政府は為替介入を行い、合計で9.7兆円と大規模な「ドル売り、円買い」を行いました。

 これによって、円は急激に1ドル151円にまで高くなりました。

 しかし、この介入もわずか1週間で逆戻りし、すぐに1ドル155円になりました。

 そして、その後も、じりじりと円安が進み、現在は、1ドル159.5円までに至り、すぐにでも1ドル160円を突破する勢いを見せています。

 その道の専門家によれば、もはや1ドル160円は軽く突破して162円にまで円安が進むのではないかとさえ予想されています。

 日銀は、先の14日における金融政策決定会合において、日本株の購入額を減少させることを決定しました。

 しかし、その削減額はわずかであろうし、しかも、その開始は9月になるとのことで、まだまだ先のことです。

 それを見透かしたように、日本国債を安く買っては売り、代わりに金利の高いアメリカ国債を買って、しこたま儲けるという操作が安心して繰り返されています。

 財務大臣や財務省の担当者は、その動きを厳しく監視し、緊張感を持って対処するといいながら、それが海外の投資家たちにみごとに見透かされています。

   もはや、日本の為替介入の規模は、海外投資家を中心とする金融操作に対しては、まさに焼け石に水の無力に近い状態になっています。

 さて今年になって、この急激な円安が始まったころから、これまでの常識とは異なる国債金利と株価の関係が示されるようになりました。

 周知のように、円高になると株価は下がる傾向にあり、その逆だと、すなわち円安は、株価の高騰と連動していました。

 より詳しくいえば、日本国債の金利は、ゼロ金利政策を止めたことによって現在は1%前後になっていて、以前よりは円高傾向を示していて、そうであれば、株安に傾向になっているはずですが、そうではなくて株高を維持しているのです。

 この金利操作によって、その分だけ国債の値段は下がっていきますので、従来の傾向に従えば、株価は下がるはずです。

 しかし、今の株価の様相は、3~3.8万円前後を維持していて高止まり状態になっています。

 それは、日銀が何としても株価の低下を防ぐために、大量の株を実質的に購入しているからであり、そのことを投資家たちに見透かされ、利用されているからでもあります。

 午前中において、株価が低下すれば、その日の午後には、その低下分をせっせと買っていて、そのことによって必死に株価の暴落を防いでいるのです。

 株価の日経平均が示されるのは一部の大企業ばかりであり、その低下分を買い支えて株価を上げる行為は、その大企業の支援を行っていることを意味しています。

 その日経株価に反映されている企業は、ほんの一部の企業であり、そのほかの大半の企業の株価に対しては、何も支援がなされていません。

インフレ大不況

 多くの商品の物価高騰に示されるように、根強いインフレーションが進行しています。

 同時に、実質賃金は、25カ月連続て低下し、多額の貿易赤字を出し続けるという不況が進展しています。

 このなかで、庶民は、商品を買うことを控え、若い人は結婚をしても、子作りを抑えるようになり、首都東京において、出生率が0.99という極めて深刻な少子化指標が示されました。

 この値が2.0を越えないと人口は増えないことから、これは、首都東京が率先して少子化を実践していることを意味しています。

 円安は歯止めがかからず、1ドル160円を超えていくことで、ますます物価を高騰させ、中小企業の不振と倒産を増やし、この今の不況をますます深刻にして、インフレ大不況、すなわち、深刻なスタグフレーションへとまっしぐらに突っ込んでいこうとしています。

 このスタグフレーションの桎梏のなかで、日銀は、日々の株の買い取り額を減らし、円安の進行とともに、手持ちのアメリカ国債売り(ドル売り)を大規模に行うことで、手持ちの金を使い果たそうとしています。

 このような深刻な経済状況のなかで、日本国債の金利が、今の約1%から2%へと上昇した場合の問題が、少なくない経済学者から指摘されるようになってきました。

 この国債の金利が2%に上昇すると国債価格の価格が暴落し始めようとします。

 借金を重ねた状態で運営してきた中小企業は、その返済における利子が2倍になることを意味しますので、その利子返済で、たとえば1億円だったのが2億円になりますので、それが返せない、すなわちゾンビ企業と呼ばれる企業が急増し、今以上に倒産が相次ぐようになります。

 ある経済アナリストは、この2%上昇で「経済地獄」が始まるといい、ある経済学者は、「日銀バブル循環」といい、「民敗れて、資本あり」と述べられています。

 真に恐ろしいことは、そのインフレ大不況(深刻なスタグフレーション)が、異常な長円安を引き金として、すぐ近い時期に起ころうとしていることです。

 裏金政治とこのインフレ大不況の大改革が、大多数の人々によって為し遂げられていくことが重要になってきているように思われます(つづく)。

ajisai
 紫陽花(前庭)