超異常円安(2)

 超異常な円安は、4月29日に1ドル160円を突破するというところまで進行しました。

 これが、なぜ超異常かといえば、わずか3日間において5円も円安になったことにありました。

 しかも、その円安は、4月26日の日銀による金融政策会合が行われた直後からの3日間において進行したという異常なものでした。

 ロイターは、この結果を次のように報じています。

 「これまでのセロ金利政策を維持する。

 また、国債買い入れも、これまでとおおむね同程度の金額で長期国債の買い入れを継続する。

 消費者物価指数は、2024年度で2.8%、25年度は1.9%とそれぞれ月時点より引き上げた。

 さらに、基調的な物価上昇率について、需給ギャップの改善に加え、賃金と物価の好循環が引き続き強まり中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくとしながら、見通し期間後半には物価目標とおおむね整合的な水準で推移する」
 
 これは支離滅裂であるという批判が、各方面から寄せられています。

 もともとゼロ金利政策は、デフレから脱却するために施行されたものでした。

 これまでの消費者物価指数は、ずっと2%を超えていますので、デフレではなくインフレが進行していますので、「インフレ下でデフレ政策を継続している」という、本末転倒の政策が堂々と遂行され続けているのです。

 さらに、賃金と物価の好循環が起こっているかといえば、この認識に関しても、重大な誤りを犯しています。

 なぜなら、実質賃金は低下し続けているなかで物価の方は上がり続けていることから、好循環どころか悪循環が進行しているので、インフレ下の不景気、すなわちスタグフレーションが始まっているという指摘がなされるに至っています。

日本売りが進む
 
 超円安は、上記の売国だけであなく、国そのものを衰退させていくという大変憂慮すべき事態が進行しています。

 さて、上述の日銀による金融政策会合の直後から、急激に円安が進行して3日間で5円安の1ドル160円までの急減が起こりました。

 ここで、政府と日銀は慌てて8兆円規模のドル国債売りを行って為替介入を図りました。

 その結果、円は一ドル151円にまで下がりましたが、それも束の間の効果でしかなく、約半月あまりで1ドル157円にまで再進行しています。

 経済学者によれば、上述の3日間における急激な円安は、海外の投機筋が、日銀の政策を見透かして、円売りを行って円安を誘導し、その介入を待って急騰した円を買ってしこたま儲けるというマネタリングを繰り返していることが指摘されています。

 この日本売りに対して、政府や日銀は何もできずに、いいようにあしらわれて、のたうち回っている姿が露呈されています。

 同時に、日本国債の10年物の長期金利が1%を上回るようになり、これがより進行していくと手持ちの大量の日本国債の大暴落が起こりかねない状況にあります。

 さらには、株価も低下傾向にあり、円安、長期金利の高騰、株安というトリプル問題が出現する可能性を高めています。

 経済学者のK氏は、6月中旬に開催される日銀の金融政策会合を狙って、再び海外投資家たちが、円売りを仕掛けてくるのではないかと警鐘しています。

 なぜ、このように海外投資家たちに蹂躙されるほどに弱い日本経済になってしまったのでしょうか?

 この日本売りをさせていることを明らかにして、その歯止めをかけなければなりません。

 今や、子民一人当たりのGDP(国民総生産)値は、世界で33位にまで落ちてきました。

 これをかつてのように1位にしていくことが重要であり、それを支える産業づくりと人づくりを、再度、どう創造していくのか、これが問われているように思われます(つづく)。

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              クローバーの花(中庭)