第一報の特徴
第一報の題目は、「21世紀における高専教育改革の展望-実践的技術教育の足場-」でした。
冒頭において、名画「2001年宇宙の旅」の冒頭のシーンを引用し、類人猿が、石碑「モノリス」に触れることによって、何らかの刺激を受け、道具を発明した際の創造性の問題を問いかけることにしました。
これは、技術と人間の基本的関係を考えるという「技術論」の重要な命題であり、そこでの労働手段の開発が、創造性と密接に結束していることを示そうとしたものでした。
また、ホモ・ハビリスのうら若き一女性が、偶然に火を発明し、それが心身や生活様式まで変えていったことを踏まえ、労働手段としての技術を学ぶことは、このような発明に結びついていくことであることを明らかにしました。
しかし、高専における実践的技術教育については、それが、実験実習の時間を増やすことだと安易に考えられてきたことを反省し、そこから脱出し、技術的真理に接近していくことの重要性を指摘しました。
この技術的真理への接近とは何か、これを次のように詳しく考察しました。
「実践は真理の基準である」
この命題に則せば、実践的技術教育とは、技術的真理へと接近していく教育のことであり、
その技術的真理とは、技術が有する目的にたいして、それを達成していくことを意味しています。
それでは、この技術的真理と創造力の関係は、どうなっているのでしょうか?
創造力とは、新たなものや機能をつくりだす能力のことですから、この技術的真理を学ぶ過程において育まれ、発展させていく資質として非常に重要な役割を果たすはずです。
それでは、より具体的に高専生が専門として学ぶものとは、何でしょうか?
それは、自然科学の基礎と工学です。
前者においては、自然科学的法則を学び、後者では、技術に関する科学的法則を学びます。
これらの法則を学ぶことは、ある意味で創造活動の一部ともいえますので、それを学び、新たなものを考え、生み出す行為も創造と考えられます。
そこで、技術的創造の問題を考える際には、科学的創造と技術的創造を正確に区別して考えることが重要になります。
そして、これらの創造が、科学的真理と技術的真理と密接に関係してきます。
すなわち、科学的創造とは、科学的真理に裏打ちされた法則性を学び、考えることであり、技術的創造とは、技術的真理に裏打ちされた法則性を学び、考えることなのです。
しかし、この科学的真理と技術的真理に関しては、両者において科学的法則性を学び、考えることに関しては共通性がありますが、その目的に関しては互いに異なるものがあり、その真理性も大きく違っています。
その目的の違いとは、前者においては自然科学的な法則性を明らかにして学ぶことであるのに対し、後者においては、その技術が保有している目的に叶うかどうか、つまり合目的性が問われるのです。
すなわち、技術には必ず目的があり、それに適合するかどうかで技術的真理かどうかが問われるのであり、その目的を達成することが技術的真理へと接近していくことなのです。
こう整理して考えると、実践的技術教育の足場がしっかり組まれていくことに結びつきます。
これが、実践的技術教育における核心部分であり、その足場づくりの重要性を指摘し、その全面的な発達のための必要条件を次のように示しました。
1)技術的創造の歴史的成立過程
2)高専生の特質と実績
3)産業構造の急激な変化への高専の対応
4)ものづくり精神の蘇生
5)教育成果を技術者の本懐へと結実化させる
これらを踏まえ、41年前に示した高専生の使命の「五原則」を再度示して、これらと一緒に考究していくことを明らかにしました。
次回においては、第二報以降についても、その重要部分に深く分け入っていきましょう(つづく)。

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