創造力の開発に関する研究
 
    いつのまにか、本記事の執筆回数が5202回を終えていました。

 「想えば遠くへ来たもんだ」という歌詞が浮かんできますが、この歌を作った武田鉄矢さんは、映画「幸せの黄色いハンカチ」に登場して、何度も山田洋次監督にやり直しをさせられたそうです。

 しかし、この名(迷)演技が評判となり、それからというものは次々に仕事が舞い込んできたそうです。

 その想いを込めて作詞作曲した歌でしたので、聴き手にも、それが作用しているのではないでしょうか。

 さて、それとやや似た想いが過り始めた、この頃です。

 昨年末から、それまでの数年間の学習の積み重ねを踏まえて、一連の論文を執筆し始めて約半年が過ぎました。

 おかげで、すでに3つの論文を仕上げて、その投稿を済ませることができました。

 これらを振り返ると、徐々に、その執筆速度が増してきていることを認識できるようになりました。

 それらは、すべて14000~15000字の執筆ですので、量は変わらずで、替わりに質の変化が起きているからではないかと思っています。

 いわゆるい、ヘーゲルがいった「量から質への転換」が起きているのかもしれません。

 これは、系統的考察がなされてきたから、あるいは、総合的な分析がなされたからなのでしょうか?

 以前の職場においては、決して解明ができていなかった、いくつもの問題の扉が開いてきて、そこに重要なヒントを得ることができるようになりました。

 たとえば、実践は真理の基準であり、実践的技術教育とは、技術的真理を探究する教育であることを見出しました。

 そこで、実践的技術教育においては、その技術的真理を探究することが最も重要な課題になります。

 そして、高専生が学ぶ実践的創造力については、科学的創造と技術的創造の区別が必要になります。

 このそれぞれの創造には、自ずと、その目的と法則性に関する科学的な相異が存在しますので、その明確な区別が重要になります。

 たとえば、実験においては必ず、その目的があり、それが達成できたかが試されることで成功の可否が決まります。

 また、「ものづくり」においては、その技術的目的が達成されたかどうかが試されます。

 これらのことが、従来の実践的技術教育においては十分に科学的理論として明確にされていませんでした。

 最近になって、高専教育の目標として「実践的・創造的技術教育」ということが示されていますが、これにおいても科学的な考究が不足しているために、非常にあいまいで表面的なものとして理解されています。

 これらについては、順次、その探究をしていく予定です。

 さて、第5200回の記念テーマとして「創造性と技術をつなぐ」を選びました。

 これは、ウォルター・アイザックソンによるスティーブ・ジョブズの伝記「スティーブ・ジョブズⅠ、Ⅱ(講談社(2011)」において採用されていたキー・ワードでした。

 かれにいわせれば、その主人公が天才的に用いていたのが、この言葉でした。

 かれを含めて、歴史上の優れた「ものづくり精神」の持ち主が、どのように、この営為を成し得てきたのか、これが本シリーズの主題です。
 
 また、かれらの「営為」において、どのような特徴があるのか、そして、そこに存在していた共通性とはなにか、これらについても分け入っていくことにしましょう(つづく)。

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紫陽花(前庭)