シラン

 約11年前に、周南市から移転した時に、庭に咲いていたシランの株を持ってきました。

 私は、ずっと官舎住まいでしたので、二番目の官舎の庭に、このシランが咲いていました。

 私の母は、庭の草花を育て愛でるのが好きでした。

 あるとき、庭にどんな植物がありますかと尋ねると、その数十種類を全部覚えていて、丁寧に教えていただきました。

 その一つがシランでした。

 これには赤紫と白の二種類があります。

 今年も、これらが豊かに咲いている様子を観ることができました。

 親父は、どういうわけか、60歳を過ぎたころから働かなくなり、家計は母の内職で支えられるようになりました。

 その内職の稼ぎで、大学生、大学院生になった私への仕送りがなされました。

 洋裁に優れていて、小学校の先生たちがやってきて、母に服を頼んでいました。

 そして、母の夢は、一番年下の私たち夫婦と同居して孫たちと一緒に遊ぶことでした。

 その夢が叶えられ、孫たちと庭で遊ぶ母は嬉しそうでした。

 このシランを観ると、毎年、その母のことを思い出します(つづく)。

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紅白のシラン(前庭)