三部作

 また、記念シリーズを開始する日がやってきました。

 今回で第5150回になりました。

 幼いころから、何をやっても長く続けることができなかった私ですが、真にふしぎなことです。

 この執筆においては、それが、こんなにも長く続いているのですから、自分でもびっくりしています。

 この記念シリーズ物は、それを新たに始める時はゆかいなことですが、それを持続しながら話を展開していくとなると、そんなに簡単なことではなく、そのテーマによって浮き沈みがあります。

 これは、ある意味で仕方がないことですが、それは、実際に書き進めてみないと判明しないことでもあります。

 そのテーマが時代に則していて、話題が豊富、手持ちの材料が枯渇しない、私の指向によく合っている、このような要素を持つと、その執筆がどんどん進み、いつまで経っても終わらなくなります。

 これは、ある意味で好ましいことでもありますので、おそらく、時代というものが、そうさせているのでしょう。

 さて、その第5150回を開始することにしましょう。

 先日、ネット上において鈴木宣弘(東大教授)さんの番組を拝見しました。

 そこでは、近著『世界で最初に飢えるのは日本』が紹介されていて、その解説を聞いて吃驚しました。

 その書籍の帯には、次のように書かれていました。

 「日本人の6割が餓死する この国家的危機を防ぐには 何が必要なのか?」

 かねてより、この鈴木教授の書かれた新聞記事やネット番組を拝見していましたので、

 「とうとう、ここまで来たのか! これは容易ならざる事態にまで追い込まれてきている」

と感じ、この本も含めて、次の三部作を手に入れて、その真意を学んでみようと思いました。

 ①『世界で最初に飢えるのは日本』講談社+α新書、2022~2023年

 ②『食の戦争』文春新書、2013~2022年

 ③『農業消滅』平凡社新書、2021~2022年

 いずれもよく売れているようで、8刷り、9刷りがなされていてます。

 「なぜ、そんなに、よく読まれているのか?」

 これも気になりましたので、早速、上記の①から読み始めました。

 この開始によって、これらの本が、なぜ、よく読まれているのかという理由が解りました。

 それらを列挙しておきましょう。

 ①まず、文章自体が非常に平易で読みやすいことでした。

 学者にありがちな、難しい専門用語を一切用いないで、解りやすく、読者の視点から文章を書いていることが注目されました。

 ②これは単に文体だけの問題ではなく、余分なことは書かない、すなわち非常に重要で本質的なことをのみを認めるということに徹した書きぶりになっていました。

 ③日本の食糧問題を世界的視点に基づいて分析されており、その結果を踏めて、どう克服していけばよいのかについても解りやすい方法が示されています。

 これだけ、平易で、解りやすく、そして本質を突き、グローバルな視点から考え、その改善方法を解説している本は、今まであまり見たことがありませんでした。

 それゆえに、読みやすく、解りやすいことが素晴らしく、これは一つのよい見本、教科書になりうる本だと思いました。

 
現場をよく知っている

 鈴木宣弘さんは、九州大学を卒業された後に農林水産省に入られ、国際部国際企画課において仕事をなされていましたので、世界の食糧事情、農業事情の現場に明るい方でした。

 また、その後、九州大学、東京大学へと転身され、専門の農業経済学の研究をなされてきました。

 現在も、農林水産省をはじめてとしていくつもの省において審議会員を勤められており、日本の行政関係の事情にも詳しい方です。

 そして、日本の食糧危機を防ぎ、農業を再建していくことが、本当の国を守る安全保障であるという立場から、問題を解明し、その改善案を堂々と示されていますので、それらを学び、参考にしながら、この記念シリーズの記事を書いていこうと思いました。

 次回は、なぜ日本人の6割が餓死するようになるのか、それは、どのようにして起こるのか?について分け入っていくことにしましょう(つづく)。

ro-1
マリーローズ(前庭)