荒野を進む若者たち(藤井聡太の場合(5))
一昨日、昨日と、久しぶりに将棋の名人戦を楽しくネット観戦することができました。
このところ2週間、論文書きに没頭していたことから、ブログの執筆も滞ってしまいました。
読者のみんさまには、大変申し訳ありませんでした。
しかし、その執筆も最後の推敲段階に入ることができましたので、やや安堵も生まれてきて、正常な体調へと調節を開始したところです。
そして、何よりも、この疲労回復を手助けしてくれたのが、この名人戦でした。
藤井6冠が、渡辺名人の4連覇を阻むのか、それとも渡辺名人が意地を見せるのか、まことに興味深い第一戦となりました。
挑戦者の藤井六冠は、渡辺名人との相性がよく、これまでの勝敗は13勝3敗という驚愕の勝率を誇っています。
しかも、最近の棋王戦における1敗は、最後御最後で九分九厘藤井六冠が勝っていながら、最後にミスをして勝ちを譲ってしまったものでした。
この負けがなければ、圧倒的な連勝で快進撃を続けていたのですが、秒読みになってからの緊張と迷いで魔が差したのでしょうか。
真に悔やまれる負けでした。
さて、名人戦の第一局は、渡辺名人の先手で始まりました。
これまでの角換わり戦法を回避して、得意の雁木型の新戦法に持ち込もうとしていました。
これに対して、藤井六冠はう王将を動かさず、あたかも信玄と景虎の闘いの様のようでした。
この動きに対して、藤井六冠は少しも慌てず、しっかりした後手の対応を行い、反撃を窺っていました、
名人は、右手の2筋、3筋を攻め、六冠は、左の7筋からの攻めを行おうとしていました。
すでに、この時には、未知の指し手に生っていましたので、いかに創造性を発揮して活路を見出していくのかという攻め合いのための読みを行っていました。
ここで六冠は、1時間48分という大長考を行い、その攻めを開始します。
ここで六冠は、1時間48分という大長考を行い、その攻めを開始します。
この時点で、六冠は、名人よりも約1時間多く消費していました。
持ち時間において有利になった名人は、六冠の指し手に応じてやや時間を多く費やしながら適切な指し手を運んでいました。
しかし、それから約2時間が経過すると、両者の持ち時間が同じに縮まり、その後は、六冠の攻めが続くなかで、今度は名人の方が多く時間を費やすようになりました。
そして最終盤においては、名人が数分の持ち時間、六冠がそれよりも30数分多いという状況になり、最後には名人の方が秒読みに追い込まれてしまいました。
この様子を観戦していて、六冠の1時間48分という大長考のなかで、その粗筋が組み立てられ、そのことが、それからの時間経過のなかで、その都度生かされ、展開していくという、ある意味で読みの通りに動いていったのではないかとおもわれました。
一方で、名人の方は、序盤の新戦法によって互角に戦いを進めていましたが、その六冠の大長考の後からは、六冠の指し手に対応するために、その都度時間を要していたという印象を覚えました。
これを読みの深さの違いというのでしょうか?
一方で、名人の方は、序盤の新戦法によって互角に戦いを進めていましたが、その六冠の大長考の後からは、六冠の指し手に対応するために、その都度時間を要していたという印象を覚えました。
これを読みの深さの違いというのでしょうか?
しかし、戦況がやや不利のなかでも、その総合力を発揮しての攻めを敢行して勝利を得ることが名人の得意技ですので、少しも迷わずに六冠を攻め切ろうとしました。
それが、香車を取っての1・1角成であり、ここから桂馬と金取り、3・3歩成と続かせようとしていました。
ここで藤井六冠が、守っていた角で反撃を行い、それを飛車で防ぐと、今度は、攻めていた銀を取って守りに転じ、それから、二枚の銀を使って名人の角攻めを完全に防御したのでした。
それが、香車を取っての1・1角成であり、ここから桂馬と金取り、3・3歩成と続かせようとしていました。
ここで藤井六冠が、守っていた角で反撃を行い、それを飛車で防ぐと、今度は、攻めていた銀を取って守りに転じ、それから、二枚の銀を使って名人の角攻めを完全に防御したのでした。
攻めだけでなく、防御しっかりさせて、相手の攻撃を完膚なまでに防御するという攻守には、六冠としての風格を感じた終盤の攻防でした。
そして最後は、龍と角で攻められ、渡辺名人が投了されました。
この堂々の闘いに、すごさと風格を感じました。
五冠から六冠へ、そして七冠を目指して勝利する、この熾烈な戦いの中で、藤井聡太という若者の素晴らしさ、爽快さを感じました。
後三勝で
これで弾みが付きましたので、次の第二戦は、藤井六冠の先手番です。
この先手においては、ほとんど和種部名人には負けていませんし、先日のNHK杯の優勝で史上最年少において29連勝という新記録を成し遂げました。
そして、この第二戦を含めて三回勝てば、羽生と並ぶ七冠を達成することになります。
もちろん、その七冠達成は、最年少記録にもなります。
もちろん、その七冠達成は、最年少記録にもなります。
さて、もうひとつの六冠の爽やかさは、非常に謙虚な姿勢を貫いていることです。
今回も、その勝ちが決まってからの感想戦に入ったときに、かれは、自分から先に話しかけることはせずに黙ったままで名人が話しかけてくるのをじっと待っておられました。
負けた相手のことを気遣い、その戦いが終われば、先輩、後輩の関係を大切にするという気配りがなされていたのでした。
この謙虚さが、限界をも超えさせていく強さになっているのではないでしょうか。
まだまだ、この強さは拡大していき、この若者の時代が続いていくことでしょう。
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