忍び寄る経済・政治・食糧危機

 新型コロナウイルスの第8波と共に、食料危機の嵐がやってこようとしています。

 周知のように、日本の食糧自給率はわずかに38%です。

 世界の先進国を見渡しても、こんなに低い、危うい国はありません。

 それゆえ、地球規模の食糧危機がやってくると、真っ先に大きな影響を受けるのが日本と多くの難民を抱える国々なのです。

 その襲来を跳ね返し、国の根幹を立て直すことができるのは農業であり、せめて、その自給率を50%まで回復していくことです。

 しかし、歴代政府は、この回復に後ろ向きであり、その自給率における長期低落の傾向は、より進んでいます。

 この問題がより深刻なのは、それを担う農家が高齢化してしまって、その担い手がほとんどいなくなっていることです。

 なぜでしょうか?

 それは、農業よりも工業を重視し、なかば農業を犠牲にして物を外国に売って儲けることを優先させ続けたからです。

 食は、国を支える基本であるにもかかわらず、工業製品を売り込みたいことが優先され、その外国の農作物を輸入し続け、そのために国内の農業が犠牲を払う、という構図が定着してきたのです。

 しかも、強欲な商人たちは、それでも物足りなくなり、「ものづくり」では素早く儲けることができないと見限って、今度は物ではなく「金で金を稼ぐ」ようになったのです。

 これで、農業に復興による食料自給率の低下防止、再生は、ますますみすぼらしくなってしまい、置いてきぼりにされてしまったのです。

 金だけがあれば何でもできる、こうおもって、お金を溢れるほどに刷って金をゲームのように使って儲けることに明け暮れる、これが世の中を支配して好き勝手に徘徊するようになりました。

 しかし、物事には必ず限度というものがあり、ここにきて、この徘徊が少し窮屈になってきました。

 その象徴的な出来事が、GAFAMと呼ばれる巨大産業がの勢いが弱まり、しだいに、それらの株価が下がり始めてきて、事態は、かれらにとって、より深刻な方向に動き始めてきたのです。

 やはり、因果応報なのでしょうか。

 金を刷って溢れさせ、「何を行うにも、金を借りて投じればよい」という悪習慣が普通になり、「金がすべて」という「マネタリズム」で世界を覆い尽くし、謳歌してきたのではないでしょうか。

 その数十年の金(かね)崇拝の結果がもたらしたものは、赤字の借金だらけ、物価高、不景気のなかのインフレーションであり、それを食い止めないと大変なことになると、世界をリードしてきた世界一の赤字国が、相当な危機感を抱き始めたのです。

 おまけに、新型コロナウイルスの7度にわたる襲来と蔓延、そして、すでにその次の8波の感染拡大の予兆が見え始めています。

 さらには、地球規模の大干ばつ、大洪水、大火事によって被害を受けた方々は、途方もない数に達しています。

 そしてウクライナにおける戦争は、その困難をさらに押し広げました。

 とうとう、ウクライナからの難民は1000万人を越えたといわれるまでになりました。

 また、この冬を越すことができるのか、これはウクライナだけでなく、ヨーロッパ全体にまで広がり、エネルギー関連の商品や燃料、電気代の高騰によって、さらにインフレが加速し、社会、経済、そして政治までが混迷し始めています。

 今朝の報道によれば、フランスの物価は、昨年同月と比較して12.4%の上昇、燃料や小麦、バターなどは14~15%以上にもなっています。

 イギリス、ドイツも深刻で、戦争なんかやっておれない、これが国民のみなさんの本音ではないでしょうか。

 そして、この物価の高騰は、世界規模での食糧危機の、そう遅くない時期の襲来を予感させています。

 そんななかで、わが国の中央銀行の「クロさん」は、来年になったら、この物価高騰は治まる、心配ないといいながら、頑迷固陋にゼロ金利政策に固執し続けています。

 これは、今の円安高騰を是認していることを意味し、それによって多くのみなさんが苦労し、彷徨っていることには目を向けない、関知しないという恥ずかしい姿勢を示し続けているのです。

 さらにおかしいことは、この円安が続く中で、政府による為替介入が開始されたことです。

 その第一回目のドル売り、円買いの総額は2兆8000億円だったそうで、つい2日前の介入は5兆円という莫大な額だったそうです。

 これで1ドル151円が一挙に146円にまで円高に向かいましたが、それはほんの数時間のことであり、本日は1ドル149円半ばまで反騰しています。

 この介入は、どうやらアメリカへの事前連絡なしに行ったようで、早くもアメリカの反応が現れており、近いうちに首根っこを押さえられて身動きできないようになるのではないでしょうか。

 手持ちのドルを売って円を買うことは、アメリカのドル高政策に反することなので、アメリカの機嫌を損ねてしまうことから、早速、そのシグナルが報じられています。

 おそらく、「私ども(アメリカ)の許可なくドル売りを行うことは止めよ!」といわれたのではないでしょうか?

 かつて、このドル売りを敢行しようとして首が飛んだ日本の首相がいましたが、今のトップは大丈夫でしょうか?

 このように世界規模で進んでいる経済の激変の流れは、これまでの「金だけ、今だけ、自分だけ」の世界から、「金の重みを考えなさい、もっと先のことを見据えて動きなさい、みんなのこと、地域のこと、そして世界のために役立つことを見つけなさい」への変化を告げようとしているのではないでしょうか。

 さて、忍び寄ってくる経済・政治・食糧危機に、私たちは、どのように対処していけばよいのでしょうか?

 これらの危機のなかで、私たちは何を考え、行動していけばよいのか、それらが問われる世になかになってきたようですね。

 私は、これまで培ってきた光マイクロバブル技術を有効な武器として、この問題に対峙し、それがどこまで可能か、そのことが問われるようになってきたようにおもわれます(つづく)。

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