第42回の「ナノプラネットゼミ」が下記のプログラムにおいて開催されましたので、以下、前記事の続きです。
10:40~11:30 講演① 大成由音 「界面活性剤の洗浄と皮膚改善問題」
11:30~12:30 講演② 大成博文 「七島イによる産業再生について」
12:30~13:00 総合討論
講演①
講演①については、K社のS研究員の研究結果について紹介がなされました。
「泡で汚れは落とせない」、「泡は洗浄剤の演出でしかない」、これが界面活性剤の世界においては長年の常識だったそうです。
これを聴いて、「そんな常識があったのか?」と少々驚きました。
なぜなら、光マイクロバブルでワンちゃんや半導体などさまざまな洗浄が可能で、かなり優れた実績が示されてきましたので、その私どもの常識とは大きく異なっていることが意外でした。
ところが、かれの常識が、かれ自身の研究によって、わずか2年前に覆させられたとのことだそうで、それがどのようになされたのかに興味を覚えました。
それは、「フワフワな泡」、「クリーミーな泡」、「長持ちする泡」という泡を形成させて、それぞれの洗浄力が調べられ、上記の「泡で汚れが落とせない」という長い間の常識が塗り替えられた、どうも、そういうことのようでした。
この詳細が、「科学の常識を塗り替える新事実」だとしてホームページ上で明らかにされていました。
この報告を聞いて、いくつかの疑問が湧いてきましたので、それを討議のなかで深めることができました。
長い間常識化されていた「泡で汚れが落とせない」の「泡」はミリバブルのことではないか、とおもいました。
正確に泡のサイズを示して考察がなされていませんので、これは私の推測ですが、ミリバブルであれば、洗浄力がほとんどないといってよいでしょう。
それは、表面張力が小さく、その電位も相当に低いことから、汚れを吸着する能力に欠けているからです。
その意味で、「泡で汚れが落とせない」という、かれの「常識」は誤りではないといってもよいでしょう。
その常識をかれなりに覆したかったのでしょうか、それが、上記の「フワフワな泡」、「クリーミーな泡」、「長持ちする泡」という印象の「泡」を形成させ、その洗浄力を試されたのでしょう。
最初の単なる「泡」と、次の「フワフワな泡」、「クリーミーな泡」、「長持ちする泡」というふうに表現された泡には、どのような違いがあるのでしょうか?
非常に抽象的で非科学的な表現ですので、これも推測するしかないのですが、おそらく、次のような違いがあるのではないでしょうか。
「泡」 ➡ ミリバブル
「フワフワな泡」 ➡ やわらかな泡のことのようですが、その実体は推測不可能
「クリーミーな泡」 ➡ これは泡のサイズがかなり小さくなった泡のことであり、光マイクロバブルの泡、すなわち「光マイクロバブルフォーム」、あるいは「マイクロバブルフォーム」の泡は、「クリーミーな泡」に見えます。
因みに、光マイクロバブルフォームの泡の平均径は、約60㎛です。
「長持ちする泡」 ➡ 長持ちするか、しないか、すなわち、泡の寿命が長いか、短いかは、ます、液体の液体の粘性に依存します。
泡の膜の流動性によって泡の厚さや形状が変形することによって泡は弾けますので、液体の粘性が高いと、その流動に伴う変形が小さくなり、壊れにくくなります。
界面活性剤は、その粘性を低下させることによって、物を洗浄しようとしていますので、基本的には長持ちしない、不安定な泡を作ってしまうのです。
この不安定性に逆らって、寿命の長い泡を形成させるには、泡のサイズを小さくするしかないので、このような泡を抽象的に、あるいは非科学的に表現しようとすれば、「クリーミーな泡」といってもよいようにおもわれます。
そして、これらの泡が、かれの常識を覆し、洗浄力をアップさせて、「泡で汚れが落とせない」から「泡で汚れを落とすことができた」に変わっていったのです。
すなわち、泡で汚れを落とすという数々の市販品の「常識」に、かれに常識が接近していったのでした。
振り返れば、私たちの常識は、「マイクロバブル(後に「光マイクロバブル」と呼称)は汚れをみごとに落とす」であり、その見解を有したのは、1990年代の終わりごろでした。
以来20数年間も、この相反する常識が共に存在してきたようです。
さて、この報告において、次に議論になったことは、S氏が問題にしていた「洗浄力と肌へのやさしさの両立」についてでした。
洗浄力を高めるには、界面活性剤の量を増やすしかなく、そうする肌を傷つけてしまうことから、この料率は不可能、その相反は解消されない、という問題でした。
逆にいえば、肌にやさしいことを優先すれば、界面活性剤の濃度を下げるしかない、そうすると洗浄力が低下して汚れを落とせない、という相反に陥ってしまうのです。
どうやら、これは永遠の課題だといわれてきたそうです。
この課題をいとも簡単に解決したのが光マイクロバブルフォーム技術であり、それについては、ここで述べると長くなるので、別稿で解説することにしましょう。
講演②
次の講演②においては、全国で唯一の生産がなされている「七島イ」に関する、これまでの研究成果が示され、その復活と産業再生の問題が報告されました。
この問題解決には、新たな栽培法の開発、産業化のための安定した生産方式の確立、着実な販売を行なうための新たな商品づくりが重要であり、それらに関する提案がなされました。
七島イ栽培の現状は、かなり厳しく、いくつもの問題があるようであり、それらをブレイクスルーできるような新技術の発明が、非常に重要であることが検討されました。
両講演ともおもしろい内容であり、有益な議論が展開されました。
次の第43回ナノプラネットゼミは、10月13日(木)10時から開催されることになりました(つづく)。
コメント