円安の行方?
昨日は、一日で一挙に2円の円安となりました。
「円安」という名称は日本独特ですが、外国では「円弱(Weaker Yen)」と称されています。
英文字通り、円がますます弱まり、その危機を迎えている、これが、今の現局面ではないでしょうか。
アメリカのFRB(連邦準備理事会)を始め、世界の政府系銀行が軒並み長期金利の値上げをし始め、あるいは予告を行うなかで、日本の日銀だけが、その利上げをできないままに、おかしな対策にもならない「愚策」を続けています。
それが、「指し値オペ」と称する「円安対策」です。
これは、長期国債の金利を0.25%に固定して、無制限に国債を買い入れる方策ですが、これが有効に働かず、急激な円弱を食い止めることができていません。
それは、至極明らかなことであり、今や、日米の金利差は拡大し、約12倍にも達しています。
しかも、そのアメリカの金利アップは、5月4日という直近に迫っていることから、もはや1ドル130円ではなく135~140円の壁に到達し始めています。
さらにFRBの6月の金利上昇は0.75%アップ、7月では、再び0.5%上昇という専門家の80%近い予想値まで示されています。
この予想の通りであれば、7月には4.55%の金利になり、日本が、0.25%のままですと、じつに18倍の金利差にまで拡大していくことになります。
日本経済の深刻さ、対アメリカのみで、このような大幅な金利差が生まれているのではなく、欧州などの世界25か国の基軸通貨のに対してほとんどに対して弱くなっていることにあります。
これは、円の危機であり、それを起因としての「日本の没落」における象徴的な出来事といってよいでしょう。
物価の暴騰
4月に入って、商品物価の暴騰が続いています。
帝国データバンクの企業アンケートによると、64,7%の企業が主要商品やサービスの値上げを実施済み、あるいは実施予定だと回答しています。また、食品主要105社を対象にした調査では4月14日までに累計6167品目で値上げが計画・実施されたようです。
この物価高騰は「もろくて弱い」日本経済の構造的弱点を浮き彫りにしています。
今回の物価高騰は食料品をはじめ、ガス・石油など日常生活に欠くことのできない必需品を中心としていることが特徴です。
先日ネット番組で、主婦が電気ガス料金が、3月で2万円だったのに、4月の請求分を見て、その額が4万円になっていたことに吃驚したという話が紹介されていましたが、笑うに笑えない話です。
今や、どこの家庭においても同じで、その生活必需品の値上げは低所得者層ほど強烈な痛みを押し付けています。
円弱による電気、ガス、石油・石炭などの輸入物価の高騰が、国内の商品物価の暴騰を誘発させており、これで、円滑な生活ができるわけがありません。
ここで、より深刻な経済苦が生まれているのは、この円危機の進行が「日本危機」を誘発しかねない要素が増えていることです。
経済学者の野口悠紀雄氏は、平成の30年間において円安という麻薬に酔いしれて、日本の産業が衰退してしまったことを強調されています。
その最大の問題は、日本の生産性が低下してお隣の韓国にまで抜かれてしまい、もはや先進国ではなくなったことです。
円安は、なぜ大企業にとって麻薬なのか?
次回は、その原因について深く分け入ることにしましょう(つづく)。
セロリの先端(GFH-1B)
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