小鯵 
  
 お隣のMさんが、小鯵(この辺りでは「ぜんご」と呼んでいる)を持ってきてくださいました。

 別府湾で獲れた新鮮そのものでした。

 今回は、かなりサイズが小さかったので、刺身は無理かなと思って女房に尋ねてみると、それでも、

 「刺身にしましょうか?」

いっていましたが、

 「このサイズでは無理だよ、大変だから、唐揚げにしたらどうかな?」

というと、すんなりその提案が受け入れられました。

 早速、夕飯に、その小鯵の唐揚げが食卓に出てきました。

 旨そうなエキストラバージンオイルの香りがしていました。

 からっと揚げられた小鯵を口の中に入れると、さらに香ばしい匂いが広がりました。

 骨と一緒にぼりぼりと食べることができ、噛むほどに、新鮮な小鯵の旨さを感じました。

 夕食時には、いつもワインを半グラスいただきます。

 この日は、偶々5つの金賞をいただいたフランスの赤ワインでしたが、これが、この唐揚げによく合っていました。

 「この唐揚げは、ワインによく合うね!」

 思わず、2個、3個と箸が進みました。

 別府湾には、北上してきた豊後水道の潮の流れが、丁度、佐賀関の狭い海峡を過ぎたところで、西に曲がり、別府湾へと、豊かに生成されたプランクトンを含む潮流が流れ込んでいきます。

 この流れに育まれて小魚が多数生まれ、その小魚を追って大魚もやってきます。

 絶えず、この新たな潮の流入によって、現在もなお、この別府湾と国東沖の漁が豊かに成り立っています。

 一方、国東半島からは、その森で涵養された大量の水が流出し、それが豊かな海の形成に重要な役割を果たしています。

 この豊後水道と国東半島のおかげで、今なお豊漁が実現されているのです。

 かつては、これと同じ豊穣の海だった瀬戸内海は、年々漁獲量が減って、おそらく今では20年前の20分の1以下になってなっているのではないでしょうか。

 その意味で、国東半島を覆う森と北上してくる豊後水道の潮流は、貴重な自然資源といえます。

 小鯵といえども、そのおいしさは、この両自然によって支えられているのです。

 伊方原発で福島のような事故が起こると、その豊かな自然が壊されてしまう可能性があります。

 この原発は、危険な断層の近くに設置されていて、これも怖い話です。

 パンケーキが好きなどこかの首相さんは、広島に行って、「原爆」の二文字を「原発」と読み間違いをしました。

 頭のなかには、「原発」しかなかったのでしょうか?

 その「原発」は、経済的にも、その意味がなくなりました。

 もうすぐそこに、原発よりも再生エネルギーの方が安いという時代がやってきています。

 これから、逐次「原発」を無くしていき、パンケーキさんの脳のなかにも、その文字が無くなっていくようにしましょう。

 これが時に流れ、人の賢さの証明でもあるのです。

 みな賢くなって、もう、「原爆」を「原発」と読み違えて慌てることは無しにしましょう。

 こう思いながら、またひとつ、おいしい小鯵の唐揚げに箸が伸びていきました(つづく)。

DSCN4398 (2)
小鯵