結トマト
先日、私の相棒が、「結トマト」を、その栽培者の本多さんからいただいたとのことで届けてくださいました。
このトマトは、別名「塩トマト」ともいわれており、文字通り、塩分を加えながら糖度を増やすという、特殊な栽培法で育てられたものです。
もともとは、熊本県の八代市において海辺で育っていたトマトが甘くておいしいという評判になり、この農法が確立してきたようです。
よいもの、優れたものは、自然に広がっていきますので、この農法が九州や四国の高地などで流行るようになり、この国東半島においても、塩トマトが盛んに栽培されています。
また、近隣の高校のビジネス園芸科では、塩の代わりに海水を使用して「潮トマト」として東京においても評判になっています。
これは、塩分という、本来はトマトが忌み嫌うものをあえて注入し、そのストレスによってトマトの糖度を高くするという、いわゆる「二律背反の栽培法」です。
そのため、塩分の与え方を微妙に調整しながら育てていくことが非常に重要になります。
この液肥のなかに、塩分を段階的に注入していきますので、それに比例して、トマトの根はストレスを感じ、その成長を鈍化させていきます。
根が弱れば、歯も茎も、そして果実も成長を弱めてしまいます。
そのため、別の成長要素を加えないと、この栽培は上手く行かないことになります。
本多さんの場合には、弥勒(ミロク)という微生物活性剤と光マイクロバブルの両方を活用されています。
これらを活用して、塩分ストレスと、それに逆らう2つの活性要素を加えながら、巧みな制御を行いながら、トマトの糖度を8から9へと上げていくのです。
この糖度向上が可能になるのが、水分自吸が少なくなる冬場であり、その分だけ熟成が増すことによって甘くなります。
その結トマトの写真を示しましょう。
みごとな塩トマトです。
とくに、左下のやや大きいトマトに、その兆候が現れ始めていますが、これがより黄金色に変わっていくそうで、最高級の塩トマトになるそうです。
このトマトを水の中に入れると、それが下に沈んでいきます。それだけ中身が充実していて、空気の隙間が形成されていないからだと思います。
このトマトのおいしさは、非常に甘いことはもちろんですが、それだけでなく、それを口に入れると、格別の噛みごたえと爽快さを覚えることにあります。
通常のトマトの場合は、熟成が進むと柔らかくなり、それとともに歯ごたえがなくなってしまいます。
ところが、この結トマトには、新鮮な歯ごたえとともに、噛むほどに甘さが増してきて、それに食べがいがあり、その見事な味に感激するのです。
このように食べて感激するトマトは他にありません。
まさに、これこそ、プロの職人技の味というのでしょうね。
本多さん、ありがとうございました。
(つづく)
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