マスクをして食事?
新型コロナウイルスが、日本列島を完全に覆うようになりました。
毎日の全国の新規感染者数は2000人を超えはじめ、日々最高数を更新しています。
すでに、この感染拡大は、かなり前から予想されていたことですが、ここに至るまでに、さまざまな対策がなされているべきだったのですが、不幸にも、事態が深刻にならないと動き出さないという習性は変わっていないようです。
そのことは、次の政府や自治体の関係者の発言に象徴的に現れています。
その第1は、首相が感染拡大の最中に「飲食の際も会話の時にはマスクを着用を」と述べたことです。
これには、マスクなしで食べながら会話をしてはいけないということであり、そんなことを一国の代表者である首相がいうべきことなのか、と驚き、そして呆れ返りました。
日本医師会の尾崎会長は、「『マスク会食』しか言えない国でよいのか」と警鐘を発せられています。
この首相のことを元経済官僚だったKさんは、「あの方は知性がない」といっておられましたが、その信ぴょう性を裏付ける「マスク会食」発言であるといえるのではないでしょうか。
「このようなピンボケの的外れの発言しかできない首相に一体何ができるのか」、これが率直な国民の疑問です。
しかし、新型コロナウイルス感染の現場は真に深刻な状況になっています。
100人前後のメガクラスターがいくつも発生している札幌や旭川の病院や介護老人施設、これは東京や神奈川においても同様で、そららが治まるどころか、日々拡大しているところに問題の大きさと深刻さが認められます。
「神のみぞ知る」担当相
第2は、その担当相が、「今後の感染拡大がどの程度かは神のみぞ知る。今後の感染者数の予測はきわめて難しい」というとんでもない発言をしたことです。
おそらく、自分でもどように感染者が増えていくのかという予測ができなかったゆえの発言と思われますが、そうであればきちんとした科学的予測を専門家にしてもらえばよいわけで、その要請ができていないことに問題の本質があります。
これは、彼自身が予測できないことはもちろん、数々の専門家が集まっている「分科会」の面々も同じようなことをいっているからであって、それらを含めて国として対策を行っている方々のほとんどが手を挙げてしまったことを意味しています。
すでに述べてきたように、我が国には、世界一のコンピュータ「富岳」があるのですから、これにすべてのデータを読み込ませ、今後の予測値を計算させ、それを参考にすることができるはずです。
また、富岳だけに頼るのではなく、多くの情報科学や遺伝子工学の専門家も動員して、その予測をしていただき、その基本動向を明らかにしていくこともできるはずで、なぜそのような科学的アプローチができいないのか、その後進性に驚き呆れるばかりです。
さらに、この担当相は、国の責任を隠して「国の判断よりも各自治体の判断を優先させる」といい続けていることです。
これもおかしな話で、たとえば、以前から問題になっているPCR検査の拡充問題では、その検査費を国と各自治体で半々の割合で出せといって、国が責任をすべて持たないような仕組みを作っていることです。
各自治体の予算は、もともと少なく限界があるにもかかわらず、その比率を国は変えようとしない、つまりは、PCR検査を広げないように予算措置を講じているのです。
予備費が7兆円も残っていながら、その全額を国の負担にしないことに、消極的な姿勢が如実に現れているのではないでしょうか。
そして科学的な対策は何も行わず、出された策は全くの後追いの営業自粛しかなく、都知事に至っては「5つの『子』」をいうことに終始しています。
この都知事は、先の選挙の時に真っ先にいったことは、日本版「iCDC(疾病対策予防センター、アメリカ)」を設立して、積極的なコロナ感染防止を行っていくと大見得を切りました。
このiCDCは、東京の感染状況を科学的に調査し、それを踏まえた有効な対策を講じているのでしょうか?
新宿や渋谷ほかのエピセンターを撲滅させるために、どのような対策を行ったのでしょうか?
そして、今の感染爆発を、夜10時以降の飲食の自粛で防ぐことができるのでしょうか?
真に危うい、不安を覚える話ばかりではないかと思います。
この危機感は、上述の尾崎会長からも切々に語られています。
「政府のGo To トラベルが開始された10月1日から2週間後に、全国的な感染者数が増えていて、その引き金になったことはまちがいない」と、きちんと主張されています。
それゆえに、「Go To トラベルは中断して対応を検討すべきである」と踏み込んだ見解を示されています。
また、東京の重傷者数については、昨日で61人にまで増えていますが、「これが100人を超える」と限界に達するという危機感を顕わにされています。
現場の事情をよく認識されている医師会長の発言ですので、非常に重みのある見解といえます。
このように深刻な状況が深まっていますので、少しは危機感を覚えたのでしょうか、「Go To トラベル」の一部(札幌、大阪)を停止するといい始めましたが、これでは少しも感染爆発は止められないという声が一斉に出されています。
これらの対応は、地滑り的後退といってもよく、今後もずるずると落下し、さらに奈落へと接近していく恐れがあるように思われます。
国東安岐港に水揚げされた鯛
(つづく)
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