ロハスとは

 ロハスとは、
「Lifestyles Of Health And Sustainability」の略称のことです。

 この導きの書となった福岡伸一著『ロハスの思考』を読み返しました。

 「よい本」とは、読後に再び読みたくなる「本」のことであり、本書は、その条件を備えています。

 本日は、著者の「水について考える」の内容を紹介しましょう。


          水について考える

 「水は、体内の70%を構成している」、「脳に至っては80%が水であり、脳は水の中に浮かんでいる」といってよく、生物にとっては、不可欠の物質が水であると強調されています。

 その水に関する著者の重要な指摘を、まず紹介しましょう。

 「1)この(水、筆者挿入)の流れこそが生命を支えているのである。2)自然現象は、すべてエントロピーが増大する方向へ、すなわち乱雑が大きくなる方向へ進む。

 3)そのなかにあって一人生命体だけが細胞を組織化し、エネルギーを生み出し、酸化されたものを還元し、傷ついたDNAを修復できる。4)つまりエントロピーの増大に抗して秩序を構築できる。

 5)それは、流れる水が身体の内部に発生するエントロピー=乱雑さを常に体外に排出してくれているからだ。6)それゆえに、私たちが健康でいるためには、この流れを絶やさないこと、すなわち水をたくさん接種することが何も増して重要となる(番号は筆者が挿入)」


    水と生命の関係について、これほど的確で重要な認識が示されている解説に出会ったことはありません。

 真に、名文、名解説といえます。

 それゆえに、番号に沿って私なりの考察を加えてみましょう。

 1)では、水の引用から排泄までの過程を「流れ」として認識されている鋭い洞察が注目されます。

 川の水は、重力によって上から下へと流れ、絶えず変化していきます。

 その動的な変化を「流れ」として認識することに重要な意味があります。

 2)では、2つの重要なキーワードである「エントロピー増大」と「乱雑さの拡大」が指摘されています。

 この世の運動にはエネルギー保存則が貫かれています。

 たとえば、水が滝から落ちることを考えますと、水が有する位置エネルギーが、落ちるという運動のエネルギーに変換されて下に落ちていきます。

 この場合の、位置エネルギーと運動エネルギーの総和が一定であるという理のことを「エネルギー保存則」というのです。

 わかりやすくいえば、このエネルギー保存則に基づいて、さまざまなエネルギーを費やしながら運動を行うことで乱雑さを増やしていくことを「エントロピーを増大させる」というのです。

 息を吸って酸素を取り込み、それを血液のなかに送り込み、消費して排泄する、あるいは二酸化炭素を吐き出す、これらの運動もエントロピー増大現象ということができます。

 3)は、非常に重要な「件(くだり)」の部分ですので、より詳しく考察します。

 生命体による「細胞の組織化」、「エネルギーの産生」、「酸化されたものを還元する」、「傷ついたDNAの修復」という重要な用語が示されています。

 細胞の組織化とは、細胞を形成させるとともに増殖させることを意味しているのだと思います。

 この活動によって、生命体は成長し、発達を遂げることが可能になります。

 その細胞において生命エネルギーが生み出されます。

 周知のように、細胞のなかにはミトコンドリアと呼ばれる生命エネルギーを生み出す工場があり、これを動かすのが「生物モーター」です。

 このモーターを稼働させるためには水素イオンが必要であり、それを取り込むことによって酸化された細胞を還元することが可能になります。

 生命エネルギーを産生させ、酸化された細胞を還元させて生命力をより発揮させるようになるのですから、それは、傷ついたDNAの修復も可能にさせるのではないかと思います。

       エントロピー増大に抗して

 このように考えますと、4)に示されているように、エントロピーの増大に抗して、秩序を構築できるようにすることが、いかに大切であるか、そのことがよくお解りになるでしょう。

 それでは、
「細胞の組織化」➡「エネルギーの産生」➡「酸化されたものを還元する」➡「傷ついたDNAの修復」、すなわち、このような「エントロピー増大に抗する」ことは可能なのでしょうか。

 そして、単に抗するだけではなく、その抗進は、どのようにして得られるのでしょうか。

 真に興味深い、そして重大な命題だと思われます。

 仮に、そのような離れ業の開発が可能になるようになることは、次のような新たな現象を生み出すことになるはずです。

 ①
「細胞の組織化」➡細胞の蘇生、再生、増殖促進、生命体の成長促進、進化

 ②「エネルギーの産生」➡細胞の活性、活動の向上、パワフルになる➡上記①の促進

 ③「酸化されたものを還元する」➡上記①と②の促進、生命体の蘇生と進化

 ④「傷ついたDNAの修復」➡病気改善、若返り、上記①~③の促進、生命体の蘇生と進化

 5)については、「エントロピーの体外輩出」が重要です。

 この現象の典型は、吐く息や尿排泄です。

 酸化されたものを体内に蓄積させず、その都度体外に排泄できるようなシステムを形成できていることが生命体の優れた機能性です。

 そのために、この飲用から排泄までの優れた機能性を維持・発展させるために、水の摂取は不可欠であり、水で身体を潤わせ続けることが大切です。

 それは、高齢者ほど水不足になるので、最近においても「よく水を飲んでください」ということがよく講演において呼びかけられています。

 今年の猛暑のような時こそ、水の補給が求められています。

 以上を踏まえると、上記の①~④を実現することができる「水とは何か」、その水を「どのようにして製造するのか」、そして「そのような水の機能性を、どのように検証していくのか」が重要な問題になります。

 次回は、その問題により詳しく分け入ることにしましょう。

 (つづく)

yuri-15
高砂百合