今は、本当に「感染漸増段階」か?

 東京は、先日の国会で児玉龍彦先生が予言したように、「大変なことになる」から「目を覆うようなる」の事態へと移行し始めました。

 慌てて政府の分科会が開催されましたが、この結果は、予想通りのお粗末なものしか出てきませんでした。


 その典型が、次の4段階の感染状況における段階設定でした。

 第1段階:感染ゼロ散発段階
 第2段階:感染漸増段階
 第3段階:感染急増段階
 第4段階:感染爆発段階

 驚いたのは、現在の状況は、この第2段階にあるという認識が示されたことです。

 この基本認識に基づいて、新規感染者、高齢の患者、重症者の数などを注視していくのだそうです。

 こんな程度の現状認識ですから、打つ手がすべて後手後手になってしまうのも無理ありませんね。

 さて辞書を紐解くと、「漸増(ぜんぞう)」とは、「だんだんに増える」、「少しずつ増える」という意味です。


 しかし、現状はどうでしょうか?

 東京の新型コロナウイルス感染者464名を始め、全国の大都市や県において過去最高の感染者数が出現しています。

 しかもそれらの増加は急激であり、とても「漸増」という傾向にはありません。

 この状況は、第3段階の「感染急増段階」から第4段階の「感染爆発段階」へと急接近していることを示していると思います。

 なぜ、かれらは、このように「甘くて虚ろな現状認識」しか示せないのでしょうか?

 そのことが、メディアから次のように指摘されています。

 分科会のみなさんは、さすがに、この4段階設定だけを示すのでは不十分と考え、それぞれに数値を入れようとしたのですが、それを官邸がさせなかったことが報道されています。

 それ故に、お粗末で、ほとんど何の意味もない、さらには、その認識がピント外れという、ボロボロ状態に至ったのでしょう。

 専門家の足を引っ張る官邸、官邸の意向に逆らうことができない分科会の会長、これが、いかに正常ではないかを、よく考えてみる必要があります。

 これらの混乱とは別にして、新型コロナウイルス感染は自然現象でもありますので、今のようなほとんど有効策がなされないままであれば、児玉先生が指摘されたように、どんどん、感染爆発段階に接近、突入していくことになるでしょう。

 今の様子では、自治体の首長の方が先に、より鋭く危機感を感じて、独自の「緊急事態宣言」を次々に出していくことになるでしょう。

  東京エピセンターから日本エピセンターへの拡大

 そこで、東京都における感染者数の推移を見てみましょう。

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感染者についての私の単純予測(再録)

 これに、昨日の感染者数464名の数値を黄緑印で書き入れました。

 これからも明らかなようにように、新型コロナウイルス感染者の数は、赤字の予測曲線に沿って増えています。

 この曲線に基づいて来週を予測すると、その数は500~600名にまで至るでしょう。

 ここで重要なことは、6月の初めから感染者数が増えてきて2か月が経過しても、その勢いが衰えず、「どこまで伸びていくのか」を予測できないことです。

 イタリアやニューヨークにおける感染者数の推移を見ると、感染者の増加開始からピークまでの期間は約1か月です。

 これらの現象に対し、この東京の感染者の増加傾向の特徴は、約2か月を経ても、そのピークが見えていないことであり、これがどこまで増加していくのかが不明なことです。

 
全国的な感染者数は、昨日で約1500名以上にもなり、これも過去最高を記録しています。

 このなかで大阪、愛知で200名前後の感染者数が出現し、東京とほぼ同じ感染拡大が進行し、大阪市や名古屋市でエピセンター化が拡大しています。

 とくに、深刻なのは沖縄であり、米兵が200名前後感染したほかに、一昨日41名、昨日は71名もの感染者が出現しています。

 ご周知のように沖縄は小さな島であり、人々が密集して棲んでおられます。

 知事も苦渋の決断を迫られ、昨日の「緊急事態」の宣言に至りました。

 観光客の訪問を核としたサービス産業や小売りで成り立っている島であり、ここで自粛と観光客の乗り入れ制限が起こると、沖縄経済は一気に冷え込んでいます。

 また、最近では、コロナショックで不動産価格が急落しており、沖縄経済にますます不安な要因を形成させています。


 加えて医療事情も深刻で、今後の感染者の急増に備えて医療対応が可能か、世いう問題もあります。

 さらに、石垣島など離島における感染も報じられており、ここではさらに医療事情が悪く、心配しています。


 このように、日本全体がエピセンター化へとひた走っている今、どうすれば、この緊急事態を解決できるのか、ここで大いに参考になるのが、ニューヨークの事例であり、ここでは一にも検査、二にも検査、そして追跡と隔離、これらの方策を徹底して行ない、その克服を成し遂げました。

         ニューヨークと世田谷に学べ

 この主役が州知事であり、かれの最近の強調点は「対策は数学だ」ともいっています。毎日の検査数、追跡数、隔離数、隊員数をきちんと明らかにし、その対策を行ってきたことが、その裏付けになっています。

 だれでも、どこでも、無料でPCR検査を受けることができ、その結果がすぐに知らされます。

 なぜ、このようなことが日本や東京都で行われないのかと思っていたら、東京の世田谷区で、その先進的な試みが始まっています。

 世田谷区長と児玉龍彦先生の協力で進められているようであり、これこそ、暗闇のなかの一隅を照らす一灯といえます。

 この一灯は、周囲が暗いほどよく輝きますので、その輝きが、全国の隅々にまでやがて到達し、今度は、そこの一隅を照らす一灯として増えていくことでしょう。

 一灯が千灯へと進み、日本中のあちこちを明るく輝かせることができるようにしなければなりませんね。

 私も、その一灯探しをするために、一昨日は、この半年間、継続して共同研究を行ってきた専門家と、次の段階における共同研究を開始しましょうという話をして、その了解を得るることができました。

 こんな時代ですから、互いに励まし合い、前を向いて互いの目標に向かって実際に行動を起こすことが大切です。

 この11か月間、コツコツと、そして粘り強く行ってきた共同研究ですから、そのホップ、ステップ、ジャンプの三段階を超えていく必要があります。

 現在は、その第一段階を終え、次に進むための研究開発資金の申請を終えたところです。

 幸運にも、それらが採択された暁には、第二段階において力強い支援をうけることになるでしょう。


(つづく)

kusahatra
草原(宇佐市国道10号線の傍、右から左に小川が流れているようだった)