とうとう、新型コロナウイルス感染のパンデミック扉が大きく開き始めました。

 その素因は、無症状感染者が都市のあちこちで感染を拡大していることにあります。

 おそらく、接触あるいは非接触にしろ、数㎛(マイクロメートル)から数百nm(ナノメートル)の水分を含む粒子に新型コロナウイルスが付着したまま、空気中に漂い、流動していることが主要な経路になっているのでしょう。

 この流動の実態を理解し、それに対する有効な対策を得ることができないかぎり、ますます猛威を示すことになります。

 そのひとつの有効策として、換気によって新型コロナウイルスが充満した空気を屋外に放出することの重要性が指摘されています。

 1マイクロメートル前後のサイズの水粒子に多数の新型コロナウイルスが付着して空気中を漂う現象が起きていることが指摘されています。

 この様子を実際に可視化することができるとよいのですが、それは小さすぎて簡単には可視化することができません。

 しかし、私たちが出会う日常の出来事によって、それを容易に想像することができます。

 たとえば、一番わかりやすいのは臭いの問題です。

 私が住む団地では、北の方から流れてくる異臭が問題になっています。

 これは、豚舎を起源とする腐敗臭が風によって流れてくる現象ですが、この臭いの素は腐敗菌が付着した水の粒子です。

 この腐敗菌を含む水の粒子は、数㎛前後ですので、わずかな弱い風でも、それに乗って臭いを運びます。

 しかも、周囲の空気よりもやや重いので地を這うように運ばれてきます。

 海の臭いの正体も同じで、塩水が微粒子になって臭いが遠くまで運ばれます。

 また、霧の発生、お風呂において水蒸気が充満する、これらも数㎛前後の湯気が正体です。

 このように日常生活のなかでいくつも類似の現象が発生していますので、新型コロナウイルスも咳やくしゃみ、息をするだけで、そのマイクロメートルサイズの水粒子に吸着されて放出され、空中を漂っているのです。

 この科学的認識を正しく理解することが大切であり、この認識を深めることによって正しい対策を考えることができるのではないでしょうか。

 新型コロナウイルスの感染力が強い、ということをよく耳にしますが、この感染力の強さは、このマイクロサイズの飛沫、水粒子の挙動と深く関係していることをよく理解することが重要と思われます。

 厄介なことに、ヒトが動き回り、息を吸い、咳やくしゃみをする、大声を出すなどの行為によって新型コロナウイルスが伝染し、ヒトに吸着していくことで感染力を強める、この科学的な検証を行うことが非常に重要な課題といえるでしょう。

 次回は、新型コロナウイルス自身のクラスター化(集団化)について検討しましょう(つづく)。

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