国土のほとんどが新型コロナウイルスによってすっかり覆われているなかで、穏やかな春が到来しはじめています。
寒さが和らぎ、桜や菜の花が華やかに咲いても、あまり心が湧きたたないのは、新型コロナウイルス感染災禍に加えて未曾有の世界恐慌が起こり始めているからでしょうか。
昨夜は、新型コロナウイルスに関する専門家会議のみなさんの会見があり、その内容が今朝のメディアで報じられていました。
それによれば、まず、
「やはり、そうか。日本の特異なやり方が科学的にも社会的にも限界を迎えていることが、より鮮やかに明らかになってきた」
という感想を抱きました。
旋回の記事において、日本の政府と専門家会議における新型コロナウイルス対応は、第2のダイアモンド・プリンセス号のクルーズ船において発生したことが日本列島全体で起ころうとしているのではないか。
この可能性をますます深く認識するようになりました。
そのなかで、最も注目したことは、東京や大阪をはじめとする大都市において「オーバーシュート」する可能性があるという指摘でした。
この場合、「オーバーシュート」とは「感染爆発」のことであり、より具体的には、新たな感染者数が飛躍的に増加することを意味しています。
「よく持ちこたえている」、すなわち、感染者数の爆発的な増加は起こっていないが、「大都市においてオーバーシュート」が起こる可能性があるという見解を同時に示さざるをえなかったことは、専門家会議のなかでも、両方の意見が相当に厳しく対立したことを示唆しているのではないかと思います。
また、この専門家会議以外の専門家や医者は、その席で示された感染者に関するデータに関して、小さくない疑問を投げかけています。
その理由は、肺炎の疑いのある感染者のみをPCR調査し、そのデータのみから、そのオーバーシュートを含めた感染予測を行っていることから、それは科学的でない、信頼できないデータと分析であるというものでした。
これは最もなことであり、そのことをより詳しく考察するために、スライドを示すことにしましょう。
感染者および非感染者の関係
①は、PCR検査を行うことで新型コロナウイルスの感染が判明し、病院に入院した感染者のことです(入院後に退院された方も含む)。
②PCR検査を行って、その結果が陰性だった方です。おそらく、①の感染者数の数倍はおられると思います。
①の数は1000人弱ですので、②は数千人と考えてよいでしょう。
③は、感染者ではあるけれども無症状で、新型コロナウイルス感染者としての自覚がない方です。
わが国では、PCR検査が意図的に広く行われていませんので、この数を正確に推測することができません。
ここに、国民の各階層における不安の大元があります。
そこで、お隣の韓国の場合を参考までに考察してみましょう。
本日現在の感染者数は8565人です。これらの方々を含めてPCR検査が行われた方々の数は30万7024人です。
この両者から感染者率が求められ、その比率は2.78%です。
日本において広くPCR検査が行われるようになった場合には、これとほぼ同じ感染率になると思われます。
たとえば、東京都の人口を1000万人としますと、その1割の100万人の方々が、その検査を行った場合には、2.78万人の感染者が出てくることが予想されます。
東京都における現在の感染者数は100名前後だと思われますので、その数は278倍にも達します。
そこで、③の無症状感染者の数を予測しますと、それらの方々は、今の日本では検査されませんので、その韓国の感染者比率から推測することにしましょう。
おそらく、無症状感染者の方が重症感染者よりも圧倒的に多いことから、その割合は、よく日本でもいわれている8割を用いることにしましょう。
そうすると、
2.78×0.8=2.22%
になります。
この比率を基にして、上記の東京都の事例で計算すると、22240人が、無症状感染者として出現することになります。
東京都における100万人において、22240人が無症状感染者になるわけですから、この結果を現在の東京都の総人口1385万人で再計算すると、30万8千人が無症状感染者になる可能性があるということになります。
こうなると、まさに感染爆発そのものが発生することになります。
このような推測は容易に可能ですから、おそらく専門家会議の先生方の脳裏にも、このようなパンデミックの状況が浮かんできていたのだと思います。
それゆえに、「なんとか持ちこたえている、もう少し、それを延期する」程度のことでは済まされず、そのオーバーシュート(感染爆発)の危険性を示さざるを得なかったのでしょう。
さらに深刻な問題は、この新型コロナウイルス感染者が増えて、「パンデミック(大流行)」から「パニック(恐慌)」へと悪化していくことにあります。
すでに、専門家会議の日本感染症学会理事長のT氏が警鐘したように、この感染災禍が春が来ても、夏になっても続くことにあり、それが当然のことながらオリンピック開催に重要な影響を与えています。
皮肉なことに、その開催を前にして、可能なかぎり感染者数を低く見せたいという思惑からピークを回避しようと一斉休校やイベント中止の要請を行ったことで、その感染現象が長く続く方向に導かれています。
ドイツの首相のメルケルは物理学者ですが、彼女は、ドイツ国民の70%が感染する可能性を認め、ドイツ国民に、その心構えを呼び掛けています。
どこかの国の首相は、このような覚悟と見識を示すことができるでしょうか。
この感染問題を契機にして、ますます「政治の貧困さ」がより深く問われることになるでしょう(つづく)。
コメント
コメント一覧
さて、自粛、休校、延期、中止、制限、とウイルス対策はいろいろやってはいますが、一方で、経済への影響ををどうするか?。おまけに日本は五輪をどうするか?議論は尽きないわけです。それぞれのお国の事情や考え方や取り組み方も様々で、更には、WHOやらJOCやらの組織がそれぞれの立場でコメントを出すため、まとまりませんね。
いろいろな専門家やコメンテーターがアーじゃパーじゃ言うのはいいとして、よくわからないのが、感染ルートがハッキリしている人と分からない人がいるというこの状況です。
「感染爆発」の可能性が否定できないのは、そういう事情からなのでしょう。チャイナの言うことは信用しませんが、今一番注目すべきはヨーロッパで特にイタリアがどう推移するかで見えてくるものがあるのではないかと思います。ではでは。