マイクロバブルフォーム水をかけ流していると、ワンちゃんの被毛が重たくなったように感じます。
これは、いったい、どういうことなのでしょうか。
これは、マイクロバブルフォーム水を含んだ時に感じる重さです。
ですから、厳密には、この重さの正体は、被毛、マイクロバブルフォーム、お湯の重量といます。
それでは、これらを、なぜ、重いと感じるのでしょうか。
指でゴシゴシして作ったマクロバブルの場合と比較してみましょう。
このマクロバブルは、被毛間の隙間の奥まで入っていきません。
それに対し、マイクロバブルフォームは、液体と一緒になって奥までどんどん侵入していきます。
前者においては、マクロバブルがある場合と無い場合においてムラができ、その全体は軽くなります。
これに対し、マイクロバブルフォーム水は、どこまでもムラなく被毛間に侵入していきますので、その全体は、はるかに重くなります。
そして、マイクロバブルフォームが被毛の汚れに付着すると、汚れの水分が増加します。
これも被毛が重くなる原因の一つといえます。
同時に、被毛に付着した汚れの容積が増加(膨潤)し、マイクロバブルフォーム水が通過しにくくなり、それだけ液体部分が滞りやすくなります。
これも重くなる要因です。
さらに、注目すべき要因が考えられます。
それは、マイクロバブルフォーム水における液体成分が、被毛のキューティクルを通過して浸入している可能性が大いにありうることです。
私どもは、以前にヒトの髪の毛を用いた浸潤実験を行ったことがあります。
マイクロバブル水に、そのヒトの髪の毛を約1時間浸潤させた後に、それを電子顕微鏡で観察しました。
そしてら、その髪の毛のキューティクルがかなりきれいに開いていました。
ここで「キューティクルが開く」というと美容師さんやトリマーさんは、すぐに「悪い事例」と勘違いされますが、これはそうではありません。
物理的に強い力を加えると「キューティクルが開き」、髪を傷めることになりますので、誰も、それを行ってはいけないと教わります。
しかし、この場合の「キューティクルが開く」は、よい事例ですので、これまでの常識に囚われてはいけません。
この現象は、ワンちゃんの場合においても同じように発生しているといえます。
すなわち、マイクロバブルフォーム水の液体部分が、ワンちゃんの被毛の「キューティクルが開いて」、そこから水分が浸透していくことによって、その分だけ、被毛が重くなったのだと推察可能になります。
じつは、この水分の被毛への浸入が、ワンちゃんの被毛の仕上がりの良さに深く関係していますので、ここが、非常に重要な問題といえます。
この問題については、後で詳しく考察することにしましょう。
以上のように、マイクロバブルフォーム洗浄時に被毛が重いと感じる現象には、次のような要因が存在しているのではないかと思います。
①マイクロバブルフォーム水が被毛の間の隅々まで侵入することによって重くなる。
②マイクロバブルフォーム水が汚れのなかに侵入することによって汚れが膨潤し重くなる。
③被毛間にマイクロバブルフォーム水が充満することによって、マイクロバブルフォーム水の流下通水能が低下し、マイクロバブルフォーム水の停滞が発生することによって重くなる。
④被毛のキューティクルが開いて、マイクロバブルフォーム水の水分が浸透しやすくなることによって被毛自体が重くなる。
この現象は、トリマーさんにとって、わかりやすい、直に実感できることから、マイクロバブルフォーム洗浄法を、その洗浄中に実感できる現象として、非常に注目されています。
真に、手ごたえを感じることができる「重さを感じる被毛現象」といえるでしょう(つづく)。
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