本シリーズは人気が高く、みなさまによく読まれているようで、何よりです。

 前回において、非常に小さなマイクロバブルフォーム(光マイクロバブルが造ったシャンプー泡)を発生させることによって「抜群の洗浄力」が発揮されるようになることを詳しく解説しました。

 光マイクロバブルの平均直径とその分布における最頻値(もっとも多い泡のサイズ)は、20~30㎛です。

 これは淡水において光マイクロバブルを発生させたときのサイズですが、この水中にシャンプー液を入れて光マイクロバブルのマイクロバブルフォームを発生させるときの大きさが、50~70㎛なのです。

 これによって、「光マイクロバブルの約2倍がマイクロバブルフォームである」ことが初めて明らかになりました。

 そして、このマイクロバブルフォームの「小ささ」が、表面張力の大きさを誘起させ、結果的に「抜群に優れた洗浄力」を発揮させたのでした。

 ここで、もうひとつ重要なことを述べておきましょう。

 それは、マイクロバブルフォームの発生量の問題です。

 これまでの指を使ってのゴシゴシ揉みによる泡立ての量は、どの程度でしょうか、それを推測して見ましょう。

 1か所にシャンプー液をかけ、時間にして約20秒で、泡の量は200㏄程度ではないかと思います。

 これを毎分に換算しますと600㏄、すなわち0.6ℓになります。

 これに対し、マイクロバブルフォーム法においては、毎分2ℓになりますので、その泡の量の多さは約3.3倍に達します。

 そして、重要なことは、マイクロバブルフォームの場合には、その泡を含むマイクロバブルフォーム水がかけ流しできることにあります。

 ゴシゴシ泡立ての場合は、シャンプー液で泡のみを発生させます。

 しかし、マイクロバブルフォーム法の場合は、毎分10ℓ噴出する液体のなかにマイクロバブルフォームが2ℓ分含まれているのです。

 この100倍が、従来のマクロバブルによる洗浄法における洗浄力とマイクロバブルフォームにおける洗浄力の差なのです。

 そこで、被毛や皮膚に対して、単に泡立てを行った泡と、マイクロバブルフォーム水の泡の作用効果の違いを比較してみましょう。

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 左は、これまでのゴシゴシ揉み泡立てに場合です。

 泡のサイズが大きくて被毛の間に入っていきません。

 したがって、泡が途中でひっかかり、皮膚まで到達できません。

 ですから、泡が付着した被毛の一部や皮膚の一部しか洗浄することができません。

 この方法でいくら丁寧に洗浄しても、泡が十分に行きわたらないのですから、洗浄力不足となり、その結果が仕上がりの悪さや臭い成分が残存することになります。

 しかし、マイクロバブルフォーム水は、容易に被毛間を潜り抜け、その過程で被毛の汚れの部分にマイクロバブルフォームが付着します。

 また、付着しなかったマイクロバブルフォーム水は、皮膚にまで到着し、そこで汚れに付着し、それを剥がして流れ出させます。

 このように比較すると両者における優劣は明らかになりますね。

 マイクロバブルフォーム水を用いた洗浄において、トリマーの方々が口々に仰られていることがありますので、その現象を紹介しましょう。

 それは、マイクロバブルフォーム水を被毛にかけ流しているときに、「被毛が重い」と感じることでした。

 本来被毛は、軽いものですので、それを重いと感じたのは、なぜでしょうか。

 ここで重いと感じたのは、マイクロバブルフォームのみの場合とマイクロバブルフォーム水を含んだ場合の両方においてでした。

 後者の場合は、水をかけている場合との比較においてもより重いということです。

 この話を聞いて、私は、その理由がすぐに解りました。

 それは、マイクロバブルフォーム水をかけ流す際に、その水の液体成分が被毛のなかにかなり浸透したことによって重たくなったのではないかと推察しました。

 これは、いったい、どういうことなのでしょうか?

 次回は、その謎解きを行なうことにしましょう(つづく)。