沖縄5日目、ここは旧盆の文化が残っており、盆入りの日は「ウンケイ」と呼ばれていて、親戚一同のみなさんが集まって食事をなされます。

 また、この時の食事のメニューは、「ジュウシー」と呼ばれる混ぜご飯と汁物が定番とされています。

 この「お参り」には必ず御供え物を持ってくる仕来りがあり、その品物は、米やカツオぶし、サラダオイルなど日用品が多いようです。

 仏壇には、サトウキビ、スイカ(今帰仁スイカ)、緑色のバナナ、マンゴー、リンゴ、桃等が添えられていました。

 合計で20名ほどのみなさんが集まり、食事をしながらにぎやかに談笑する様は、昔なつかしき光景であり、子どものころによく見たものでした。

 この伝統が今なお受け継がれている沖縄のなかに私も溶け込み、その和やかで平和な一時を楽しむことができました。

 さて、このウンケイの最後に極みの出来事がありました。

 それは、「デザート」に出された素敵なチーズケーキでした。

 わざわざ、金武町にまでに買いに行かれたそうで、それは、田芋工房「きん田」の「田芋(ターイモ)チーズケーキ」でした。

 ターイモとは、白灰色のサトイモによく似た形状のイモであり、ふかふかで、噛むほどにほのかな甘みがあっておいしいあることに特徴があります。

 通常の食べ方は、皮をむいて湯がき、1)それを潰してとろとろ状態にして食べる、2)厚さ1m程度に切って油で揚げるのが代表的です。

 その後者の料理を写真で示しておきましょう。

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 ターイモ

 私の相棒は、これが大好きで、道の駅で、このターイモをたくさん買い込んでいました。

 「これを料理してくれるかね?」

 「もちろんだよ!」

 甘辛い醤油に浸けて、フライパンで揚げる、これは、真においしい味で、相棒は感激していました。

 正月やお盆にはよく出される料理ですが、これとは別の料理法があり、それは、この芋を押しつぶしてトロトロ状態にして食べる料理です。

 これも上品な味がして、お気に入りの高級料理でした。

 このターイモを餡の替わりにしてチーズケーキの下部に敷いて出来上がったのがターイモチーズケーキでした。

 このチーズケーキとターイモ餡の部分とでは甘さが異なり、それらが口のなかで噛むほどに混合して絶妙の味になる、これがこのケーキの絶妙な特徴でした。

 前者の部分が甘く、ターイモの方は、その甘さが抑えられ、噛むほどに、芋の味が出てきて、さらに、チーズケーキの風味が加わるという複雑な味の構成がすばらしく、これは沖縄におけるトップクラスの名物ケーキになると直感しました。

 ケーキについては、ジミーの「ジャーマンケーキ」が最高だと思ってきましたが、このチーズケーキは、それといい勝負をすることになるでしょう。

 また、チーズケーキについては、横浜の「伝説のチーズケーキ」がすばらしいと思っていましたが、これとの比較もできるほどの逸品といえるでしょう。

 私の素直な感想を述べるとすれば、チーズケーキの部分は、この「伝説のチーズケーキ」の方がおいしいといえますが、このターイモの部分をミックスさせたことで、これははるかに勝る味となっていますので、いい勝負といってょいでしょう。

 しかし、この比較においては、価格の問題が入っていませんので、これも考慮しなければいけません。

 それらの価格を比較しましょう。

 伝説のチーズケーキ 3300~3400円前後

 ターイモチーズケーキ 2000円

 この価格差を加えると、その評価においては、断然、ターイモチーズケーキの方が優れているということになるでしょう。

 ケーキ、菓子文化の発達している沖縄で、何かすばらしいものが出てくるのではないか、と密かに思っていましたが、やはり、そのようなものが登場してきましたね。

 このターイモチーズケーキは、その文化を、徐々に大きく変えて発展させていくことでしょう。

 これから、沖縄のケーキ戦線は、一段とおもしろくなりそうですね(つづく)。

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きん田の「ターイモチーズケーキ」