技術に関する発明や改良は、そのほとんどの場合において一歩一歩の工夫の積み重ねていくという形態で進んでいきます。

 それは光マイクロバブル発生装置の開発においても同じであり、今から思えば、その15年余の時間の流れは苦節に満ちたものでした。


 この苦節のおかげか、その新たな世界への入り口に確実に接近していたものの、それをこじ開けるには至っていませんでした。


 気液二相流を超高速旋回させることで、その装置の中心軸上に旋回空洞部を形成させる、これで極微細気泡(当時はマイクロバブルという用語を使用していませんでした)を発生させることができるのではないか、と思ったこともありましたが、その浅はかさは、すぐに明らかになりました。

 そうであれば、どうすればよいのか?

 ここで、またしてもうれしくない頓挫をきたすことになりました。

 ここで、これまでの改良と工夫の過程を振り返ってみました。

 ①旋回性を付与する羽板を2枚から4枚に増やす、

⇒②その羽板のらせんを半回転から1回転に変更、

⇒③円筒形装置上部の内側に設置されていた多数の突起のすべて除去、

⇒④気液二相流の旋回速度をやや向上させた、

⇒⑤W型エアレーション装置の完成(空気を水中に噴出させて、その空気上昇流を旋回させ

  ることで微細気泡を発生させる装置、しかし100㎛以下の極微細気泡を発生させること

  ができなかった)、

⇒⑥空気を4か所において接戦方向から噴出させることで旋回速度をより増加させ、さらに、

  その下部から水を流入させて気液二相の旋回流を形成させた、しかし、これでは旋回速

  度が十分に大きくなかった、

⇒⑦それぞれ、2か所ずつから水と空気を噴出させ、一緒に旋回させた、⇒⑧装置中心部に旋
  
  回空洞部が形成された、また、その周囲には旋回水流部も形成された、しかし、これで

  も旋回速度が小さく、マイクロバブルは発生しなかった。


 このように、一段ごとに階段のステップを上がっていきましたが、その一段を上がるのさえ容易ではなく、この7つの階段からも、新たな開発というものが困難に満ちたものであることが、読者のみなさまにも解っていただけるのではないかと思います。

 そこで7つ目の階段上においては、光マイクロバブルの発生を可能にする、最後の工夫が残されていました。


 それは、旋回気体空洞部の制御に関することであり、それはいくつかの偶然が重なることで、その壁を突破(ブレイクスルー)することになりました。
 
 次回は、さらに、その偶然から必然が生まれていったことにより深く分け入ることにしましょう(
つづく)。

ro-zumari- 1121
                  ローズマリー