緑砦館南棟(大成研究所)が竣工されて2週間が経過しました。
台風一過、天高い秋晴れが戻ってきました。
新居への引っ越しが本格化、やや重い荷物を持ちながら、その距離50m間を何往復もしながら運動しています。
そのせいか、昨夜は11時前に眠くなり、そのまま寝てしまいました。
おかげでたっぷりと睡眠できたので、今朝は頭がすっきりしています。
さて、昨日は、ちょっとした騒動に明け暮れました。
それは、新居におけるかなり強烈な「異臭問題」でした。
その原因が解らず、もやもやしながら、その探索に努めましたが、それは困難を究めました。
この異臭、トイレの排水のかなり強い臭いでしたから、心穏かではありませんでした。
「これでは、新居に移った意味がなくなるのではないか!」
こんなことが起こるとは思いもしませんでした。
まず、この原因究明と対策を建築士に相談しました。
かれによれば、2つあるトイレのうち、使用中の南棟のトイレ排水が逆流して、北棟(未使用)の排水口から出現しているのではないかという説明でした。
「そうか、それでは、たちまち生活に困る!」
と善処をお願いしました。
原因は、現在もなお建設中の風呂の排水管において臭いを遮断する装置が付設されていなかったことにあったとのことでした。
この早速の対応で、事なきを得たかと思いましたが、じつは、そうではありませんでした。
「多少の改善はなされましたが、まだ臭いが残っていて十分安心できる状態ではありません」
こう相談すると、早速業者の方に問い合わせをしていただき、今度は洗濯機の排水口が完全に塞がれていないことが判明(この時点で洗濯機は未設置)、ここをガムテープで塞いでいただきました。
これでもう安心と思いきや、そうではありませんでした。
ーーー たしかに臭いは減ってきているが、完全に消えたわけではない。なぜであろうか?
この臭気原因が不明なために、私の頭は、ますます混乱していきました。
ここで、この時点における臭気の状態を比較してみましょう。
臭気が強い順に並べてみました。
①北棟脱衣・洗面場
②北棟トイレ
③北棟書斎(第2研究室)
④北棟リビング
⑤北棟寝室
このように北棟全体に臭気が発生しているのですから、事態は容易ならざる状況に陥っていたことを、読者のみなさまも、ご理解できるでしょう。
最初の問題は、なぜ、①において臭気が最強になっているかでした。
この原因は、すでに上述したように、洗濯機の排水口からの臭気の浮上にありました。
そのことが明確になったのは、そこをガムテープで塞ぐことで臭気が軽減したことを確認したことにありました。
しかし、これでは完全な防止には至らなかったので、その封印部分をよく見ると、時間経過とともにガムテープが剥がれてしまっていて、今度は私の方で、しっかりと別のテープで貼り直しました。
その際、そこから上がってくる臭気を確認し、これが一つの原因であったことを再確認しました。
次の疑問は、トイレでの臭気問題でした。
周知のように、便器は水で満たされていて、それによって臭気を封じ込めています。
ここからは臭気が発生していないはずですが、いざ臭いを感じると、それを便器のせいにしてしまう気分になりがちです。
この臭気を改善するために、敷設されている換気扇を一晩中回し続けました。
その結果、ここでの臭気はほとんどなくなりました。
強い臭気を換気扇で追い出したからで、この因果関係は明らかなことでした(注①)。
ところが、私の頭を最も悩ませたのが、書斎(研究室2)の臭気問題でした。
「ここは、脱衣場やトイレと離れているのに、どうして臭気が、きついのであろうか?」
「臭いが天井を伝ってきているのであろうか?いや、そんなはずはない。
天井付近の壁はきちんとボードで封じられていて、臭気が通過することはないはずである」
次に原因を探ったのが、この書斎から約20m離れたところにある建設用簡易トイレでした。
風向きによっては、このトイレの臭気が一番近い書斎にやってくる可能性があるのではないか。
こう考えて調べてみると、風向きが反対になっているときでも、この部屋の臭気はかなりありましたので、この説も消えてなくなりました。
この時点で、臭気の因果関係がますます不明になり、頭が混乱したまま、どうしたものかと思案に暮れていました。
そんな折、左官屋さんが内装の仕上げにやって来られました。
これは、主として窓枠のベニヤ板材にエターナルアースを塗ると、そこから灰汁が出て黄色に変色するという問題を解決するために、その部分に「プライマー(接着剤の一種)」を塗り、その上にエターナルアースを再度塗るという作業でした。
すでに、この作業は南棟の壁の仕上げにおいてもなされていましたので、同様の作業だと思っていました。
この内装仕上げが「無事終わりました」という報告を左官屋さんから受け、部屋に入ってみました。
すると、どうでしょう。
あのトイレ排水と同じ異臭がするではありませんか。
「これは、トイレ臭とほとんど同じではないか!」
その壁塗りが終わった部分に近づいて臭いを嗅ぐと、そのことがいよいよ明確になりました。
ーーー そうか、これが臭っていたのか!
そこで、上記③の臭いがきつかった原因を考え直してみました。
周知のように、臭いは、その発生源が多くて強いほど、そして、その臭いを発する空間が狭いほど強烈に漂います。
ここ③には、窓が3つあり、そのうち2つは大きな窓ですから、この周囲のベニヤ部分から臭いを多く発生させています。
しかも、この書斎は狭く、そして天井が高いために、ここに臭いが溜まりやすかったので、ここに臭気が強く留まっていたのでした。
この書斎の臭気は、トイレ排水からのものではなく、窓枠臭からのものであることが判明しました。
2つのほぼ同じ臭気が入り混じっていた、これが真相だったのでした。
それでは、南棟にも窓枠がありますが、ここでは、北棟のように強烈な臭いが漂うことがありませんでした。
じつは、その理由も、今朝ほど左官屋さんに尋ねてみて明らかになりました。
南棟では、プライマーの効果がさほどなかったので3回塗り直したそうでした。
そのため、北棟においては、より強力なプライマーを採用したそうで、これが強烈な臭気を生み出すことになったようです。
このベニヤ板の灰汁の出方は、べニアの種類によっても異なるようで、ベニヤ板、エターナルアース材、プライマーの3者の関係は、複雑なようで、いずれもベテランの左官屋さんが初めてのことだといわれていました。
このようにして北棟の臭気騒動は、時の経過とともに治まりはじめていますが、一時は、その深刻さのあまり、夜も寝ることができないほどで、真におもしろいことを体験することになりました。
新築においては何が起こるか解らない、これも、「オープンシステム」(注②)による家づくりの特徴の一つかもしれませんね。
この窓枠のべニア板から灰汁が出て臭いを発生していた
注①臭気のほとんどは、トイレの便器から発生したのではなく、トイレのべニア壁面に塗ったプライマーとエターナルアース材の反応によって生まれたことが、後になって判明しました。
注②山中省吾(プラスエム設計株式会社代表取締役)さんが、考案した家づくりの方法であり、価格が見える「分離発注」を行うシステムのこと。これによってよいものを安く購入することができ、そして施主も積極的に家づくりに参加することができる。
この臭気騒動、しばらくは忘れることができない出来事となりました(つづく)。
台風一過、天高い秋晴れが戻ってきました。
新居への引っ越しが本格化、やや重い荷物を持ちながら、その距離50m間を何往復もしながら運動しています。
そのせいか、昨夜は11時前に眠くなり、そのまま寝てしまいました。
おかげでたっぷりと睡眠できたので、今朝は頭がすっきりしています。
さて、昨日は、ちょっとした騒動に明け暮れました。
それは、新居におけるかなり強烈な「異臭問題」でした。
その原因が解らず、もやもやしながら、その探索に努めましたが、それは困難を究めました。
この異臭、トイレの排水のかなり強い臭いでしたから、心穏かではありませんでした。
「これでは、新居に移った意味がなくなるのではないか!」
こんなことが起こるとは思いもしませんでした。
まず、この原因究明と対策を建築士に相談しました。
かれによれば、2つあるトイレのうち、使用中の南棟のトイレ排水が逆流して、北棟(未使用)の排水口から出現しているのではないかという説明でした。
「そうか、それでは、たちまち生活に困る!」
と善処をお願いしました。
原因は、現在もなお建設中の風呂の排水管において臭いを遮断する装置が付設されていなかったことにあったとのことでした。
この早速の対応で、事なきを得たかと思いましたが、じつは、そうではありませんでした。
「多少の改善はなされましたが、まだ臭いが残っていて十分安心できる状態ではありません」
こう相談すると、早速業者の方に問い合わせをしていただき、今度は洗濯機の排水口が完全に塞がれていないことが判明(この時点で洗濯機は未設置)、ここをガムテープで塞いでいただきました。
これでもう安心と思いきや、そうではありませんでした。
ーーー たしかに臭いは減ってきているが、完全に消えたわけではない。なぜであろうか?
この臭気原因が不明なために、私の頭は、ますます混乱していきました。
ここで、この時点における臭気の状態を比較してみましょう。
臭気が強い順に並べてみました。
①北棟脱衣・洗面場
②北棟トイレ
③北棟書斎(第2研究室)
④北棟リビング
⑤北棟寝室
このように北棟全体に臭気が発生しているのですから、事態は容易ならざる状況に陥っていたことを、読者のみなさまも、ご理解できるでしょう。
最初の問題は、なぜ、①において臭気が最強になっているかでした。
この原因は、すでに上述したように、洗濯機の排水口からの臭気の浮上にありました。
そのことが明確になったのは、そこをガムテープで塞ぐことで臭気が軽減したことを確認したことにありました。
しかし、これでは完全な防止には至らなかったので、その封印部分をよく見ると、時間経過とともにガムテープが剥がれてしまっていて、今度は私の方で、しっかりと別のテープで貼り直しました。
その際、そこから上がってくる臭気を確認し、これが一つの原因であったことを再確認しました。
次の疑問は、トイレでの臭気問題でした。
周知のように、便器は水で満たされていて、それによって臭気を封じ込めています。
ここからは臭気が発生していないはずですが、いざ臭いを感じると、それを便器のせいにしてしまう気分になりがちです。
この臭気を改善するために、敷設されている換気扇を一晩中回し続けました。
その結果、ここでの臭気はほとんどなくなりました。
強い臭気を換気扇で追い出したからで、この因果関係は明らかなことでした(注①)。
ところが、私の頭を最も悩ませたのが、書斎(研究室2)の臭気問題でした。
「ここは、脱衣場やトイレと離れているのに、どうして臭気が、きついのであろうか?」
「臭いが天井を伝ってきているのであろうか?いや、そんなはずはない。
天井付近の壁はきちんとボードで封じられていて、臭気が通過することはないはずである」
次に原因を探ったのが、この書斎から約20m離れたところにある建設用簡易トイレでした。
風向きによっては、このトイレの臭気が一番近い書斎にやってくる可能性があるのではないか。
こう考えて調べてみると、風向きが反対になっているときでも、この部屋の臭気はかなりありましたので、この説も消えてなくなりました。
この時点で、臭気の因果関係がますます不明になり、頭が混乱したまま、どうしたものかと思案に暮れていました。
そんな折、左官屋さんが内装の仕上げにやって来られました。
これは、主として窓枠のベニヤ板材にエターナルアースを塗ると、そこから灰汁が出て黄色に変色するという問題を解決するために、その部分に「プライマー(接着剤の一種)」を塗り、その上にエターナルアースを再度塗るという作業でした。
すでに、この作業は南棟の壁の仕上げにおいてもなされていましたので、同様の作業だと思っていました。
この内装仕上げが「無事終わりました」という報告を左官屋さんから受け、部屋に入ってみました。
すると、どうでしょう。
あのトイレ排水と同じ異臭がするではありませんか。
「これは、トイレ臭とほとんど同じではないか!」
その壁塗りが終わった部分に近づいて臭いを嗅ぐと、そのことがいよいよ明確になりました。
ーーー そうか、これが臭っていたのか!
そこで、上記③の臭いがきつかった原因を考え直してみました。
周知のように、臭いは、その発生源が多くて強いほど、そして、その臭いを発する空間が狭いほど強烈に漂います。
ここ③には、窓が3つあり、そのうち2つは大きな窓ですから、この周囲のベニヤ部分から臭いを多く発生させています。
しかも、この書斎は狭く、そして天井が高いために、ここに臭いが溜まりやすかったので、ここに臭気が強く留まっていたのでした。
この書斎の臭気は、トイレ排水からのものではなく、窓枠臭からのものであることが判明しました。
2つのほぼ同じ臭気が入り混じっていた、これが真相だったのでした。
それでは、南棟にも窓枠がありますが、ここでは、北棟のように強烈な臭いが漂うことがありませんでした。
じつは、その理由も、今朝ほど左官屋さんに尋ねてみて明らかになりました。
南棟では、プライマーの効果がさほどなかったので3回塗り直したそうでした。
そのため、北棟においては、より強力なプライマーを採用したそうで、これが強烈な臭気を生み出すことになったようです。
このベニヤ板の灰汁の出方は、べニアの種類によっても異なるようで、ベニヤ板、エターナルアース材、プライマーの3者の関係は、複雑なようで、いずれもベテランの左官屋さんが初めてのことだといわれていました。
このようにして北棟の臭気騒動は、時の経過とともに治まりはじめていますが、一時は、その深刻さのあまり、夜も寝ることができないほどで、真におもしろいことを体験することになりました。
新築においては何が起こるか解らない、これも、「オープンシステム」(注②)による家づくりの特徴の一つかもしれませんね。
この窓枠のべニア板から灰汁が出て臭いを発生していた
注①臭気のほとんどは、トイレの便器から発生したのではなく、トイレのべニア壁面に塗ったプライマーとエターナルアース材の反応によって生まれたことが、後になって判明しました。
注②山中省吾(プラスエム設計株式会社代表取締役)さんが、考案した家づくりの方法であり、価格が見える「分離発注」を行うシステムのこと。これによってよいものを安く購入することができ、そして施主も積極的に家づくりに参加することができる。
この臭気騒動、しばらくは忘れることができない出来事となりました(つづく)。
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