大工さん、屋根屋さん、左官屋さんなど、多くの工事関係者が、棟梁のUさん(大工)の下で、多くの知恵とアイデアを発揮してくださるようになりました。

 長年の経験に基づく知恵の提供、これに勝るものはありません。それらを、その都度、私と設計士に相談してくださいますので、今度は3者で、より知恵を絞ることによってよいアイデアが生まれていくことになります。

 こうなってくると、それは喜びでもあり、知的ゲームといってもよいでしょう。

 そこで本日は、さらに、それらを具体的に紹介していくことにしましょう。
 
 ②屋根
 
 第2は、屋根の庇をやや長くして、樋への雨水の受けをよくしたことです。

 また、樋がない部分においては、その分だけ雨の屋内への入り込みが少なくなることになります。

 聞くところによれば、現大成邸の時には、「設計図の通りにした」とのことでしたが、今回は大工・左官屋さんの指摘を受け、設計士とも相談して、その改善がなされました。

 その庇の様子を以下に写真で示しておきましょう。

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長くなった庇

 ③玄関のスロープ


 本住居部分においては、将来において車イス生活を余儀なくされた場合も想定しての設計がなされています。

 その場合、車イスで、まず、南棟(研究所棟)と北棟(住居棟)を自由に行き来できるように、そのフロアを平坦にすることにしました。

 この南北両棟を設けたことで家が大きくなったわけですが、小さい孫たちにとっては、この南北往来はちょっとした冒険に出かけるほどの距離があります。

 すでに、その孫たちとは、今度来た時に「宝さがし」をしようということになり、すでに、その計画を練り始めたところです。

 ちょっと横道に反れましたが、車イス生活において、最も問題になるのが、玄関およびトイレからの出入り、また入出浴法などです。

 まず、玄関においては、玄関ドアを開けた後の「上がり」が問題になりました。

 外からは、ゆっくりとした勾配で、そのスロープを車イスで上っていけるようにする必要があります。

 玄関ドアを開けて、玄関に入ります。右横には下駄箱(既製品)があります。

 通常の来客者は、入ってすぐの平坦な部分からより奥のスロープ部分の端に靴を置き、フロアに上がります。

 ここが玄関の奥の部分で、左のドアを開けると研究所のセミナー室へ通じています。

 この玄関ホールと通路において、マイクロバブル関係の展示物の掲載、陳列、看板の設置、可能であれば絵画も並べようかと思っています。

 私は、絵画が好きで、子供のころから自分で描いていました。高専時代においても、あるとき油絵を初めて描いたことがありました。

 小さなクチナシの花の絵でしたが、それを家内が気に入り、室内に飾っていました。

 ある時、家内の知り合いのピアニストが結婚するというので、何かプレゼントしましょうということになり、それを尋ねると、「この絵がほしい!」といわれたそうです。

 その時に、この絵をプレゼントしてよいかと尋ねられ、「ああ、いいよ」と軽く返事をしてしまいました。

 家内によれば、その後も「大切に飾られていました」とのことですが、「あの絵があったらよかった」と、家内は何度もいっていました。

 そろそろ、人生を謳歌するために、自分で絵を描き、この玄関先と通路に飾ってみるのもよいことですね。

 さて、車イスの場合、このフロアに上がるスロープの勾配が問題になりました。

 玄関に入るとまず平坦部分があり、ここで車イスの向きを変えて左折し、そのスロープに向かいます。

 ここを自力で上り詰め、フロアに向かう必要があります。

 じつは、このスロープの勾配問題は、玄関の地面高さに関係し、ひいては、それが外のスロープ勾配にも及んできます。

 そこでUさんに3通りのスロープ勾配案を考えていただき、現場で、その検査を行いました。

 結果は第2案(フロア高さと玄関の地面高さの差が約5㎝)がよいということになり、これで決着することになりました。

 なお、この変更に伴い、玄関の高さも上方に変更されることになり、屋根までの部材の変更も行うことになり、結構大きな変更となりました。

 ここにおいても、U棟梁の発案と機転が大いに役立ちました。

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                    玄関(窓の下に下駄箱を設置予定)

 なお、下駄箱は既製品を購入したために、玄関ドアを開けた時に、目の前に、その下駄箱の先端が出張っていないかどうか、すなわち下駄箱の奥行き長さが問題になりました。

 最悪の場合、下駄箱の奥行き長さを切って短くするかどうかの検討も行いましたが、ここでもU棟梁が、現在の3本格子を取り払い、そこに薄い平板を設置することで、断熱も行うという案が提案されました。

 これで下駄箱も、切らずに、無事収まることになりました(つづく)。