現在の住宅は、2012年の3月末にT高専を定年退官した時に建てたものです。

 その建築の折に、あまり深く関与できなかったのですが、建築家のYさんのおかげもあって、よい設計の家に住むことができました。

 広い中庭があり、リビングと寝室が、その中庭に接して、光あふれる住宅空間が形成されています。

 しかも、ここ向陽台は、海抜40mの森だったところを造成しており、海と山の両方の気候が入り混じっています。

 夏は涼しく、冬は暖かい、そして光あふれる「日本の地中海」ともいってもよい爽やかな気候で、年中、鳥や虫の鳴き声が聞こえるすばらしい緑の環境の中にあります。

 当初の身内との同居案から離れて、自分たちが住むとしたらどんな家がよいのか、そのことに拘って、いざ家の設計を始めてみると、これまで感じたことがない、そして考えたことがないようなことが次々に明らかになりました。

 ①完全なバリアフリー対応の住居になっていない。
 屋内に段差があり、 将来の車イス生活に対応していない。とくに、玄関から入るとき、中庭に出る時に段差が障害になってしまう。

 ②トイレに行くのに、住宅の端から端まで歩かねばならない。
 その距離は15m余、途中に机、イス他の障害物があり、真直ぐ歩くことができない。当然のことながら車イスでは通過できない。

 ③風呂の入出浴がスムースにできない。
 手でバスタブの端を掴み、身体を浮かせてから入出浴しており、円滑な風呂への出入りができない。

 ④中庭が「成り行き」で植物ハウスになってしまった。
 最初は小さな水槽から始まり、次に簡易型ビニールハウス、そして今は、2つのポリカーボネート製の小型植物ハウスと、その都度追加しながら拡大してきた。
 今では、中庭の2/3を植物ハウスを占めるまでに拡大していて、その恩恵を大きく受けて野菜中心の健康生活ができるようになった。
 たしかに、ハウスまで歩いて二歩は便利であるが、次の設計においては計画的に実施しようと思っていた。

 ⑤クローゼットが狭かった。
 おそらく、衣服が多すぎることが大きな原因と思われる。この数年、自分で服を買うことはなくなり、その数は増えていないのだけど・・・・。

 ⑥階下への足音対策が不十分であった。
 これは、階下のものしかわからない騒音であり、まったくの想定外のことであった。もっとも、そんなに気にしていないので、なんということはないが・・・。

 ⑦断熱対策が完全ではなかった。
 外気が10℃以上であれば、大いに断熱効果が働き、温かさを維持できる家屋であり、その意味では申し分ない断熱特性を有している。
 しかし、外気が数度以下になるとやはり暖房が必要になることから、次回においては、これを完璧にしたいと思っていた。

 ⑧「研究所」構想が本格的に煮詰まっていなかった。

 もともと、国東に移り住む前から、マイクロバブル技術研究のメッカとなるべき研究所構想をぼんやりと抱いていたことから、その設立の客観情勢と主体的力量の問題を密かに検討していた。
 しかし、本気で考えてはいなかったので、その構想が具体化し、煮詰まることはなかった。

 こうして問題点をあげていくと、切りがないほど出てきますね。

 ーーー そうか、前向きの攻めの姿勢が不足していたのか。そして未来想定の住居問題も考えていなかったようだ!

 その検討が進むにしたがって、それらの住居問題がより一層明確になっていきました。

 そして何よりも決定的に影響を与えたのは、上記⑧の研究所構想の具体化がほとんど明確になっていなかったことでした(つづく)。

緑砦館
最初のプランのころの研究所棟(緑砦館)の外観イメージ(左は現在の大成邸、右側が新築部分)