第1日目の講演5では、マイクロバブル技術の実践事例として医療福祉分野の取組みと成果が紹介されました。
 これは、2013年4月からの大分県中津市におけるK病院と同付属介護老人保健施設との共同研究の成果が基本になっています。
 具体的には、県と国の助成金を得て、医療機器および福祉用具の開発がなされてきました。
 これらの開発は、いずれも、その基本においてマイクロバブルの生理活性作用を利用していることが示され、その原理的説明も、次のように詳しくなされました。
 それらを箇条書きにして示しましょう。

 ①私が開発した「超高速旋回式装置」で発生させられたマイクロバブル(わたしたちは、他の装置で発生したマイクロバブルと区別するために、それを「光マイクロバブル」と呼んでいます)が、収縮運動を行う過程で固有の物理化学的特性を発揮する。

 ②この物理化学的特性とは、マイクロバブルの9ヘルツ振動に伴ってマイクロバブル内が徐々に高温高圧化し、負電位を増加させ、その収縮過程の時々において発光する現象が生起し、その結果として、物理化学的反応が起こることを意味しています。

 ③この物理化学的反応の結果として、マイクロバブルを含む水、すなわちマイクロバブル水の性質が変化し、同時に各種の生理活性物質が生み出されます。

 ④この生理活性物質の生成を基本として、血流促進などのマイクロバブルによる生理活性作用が発揮されるようになります。

 
⑤この作用は、私が開発した超高速旋回式装置によって発生したマイクロバブルのサイズと量的制御によって調節可能であり、この水準によって、より高い医療用と、より低い福祉用具用に区別することができます。

 次に、講演6では、水産養殖改善に関する実践事例が示されました。

 数ある実績のなかで、代表的な事例として広島カキ養殖、北海道噴火湾ホタテ養殖、そして三重県英虞湾のアコヤガイ養殖改善、そして岩手県大船渡湾における震災復興支援としてのカキ養殖改善等の事例が詳しく解説されました。

  また、これらの一連の水産養殖改善に共通する特徴は、1)マイクロバブルとマイクロバブル水が水産生物の生理活性を誘起させたこと、2)その結果として著しい成長促進を実現させたこと、3)その成長促進のおかげで品質も最高に近い水準に到達したことなどにありました。

 その結果、30年ぶりの復活、あるいは史上初の快挙、大幅な生産量と額の増加などが生起することになり、それらがNHKをはじめとしてメディアにおいて賑やかに報道されたことから、多くの関係者や国民のみなさんに知れ渡ることになりました。

 また、科学的には次の重要な課題も明らかになりました。

 ①私どもが開発した超高速旋回式マイクロバブル発生装置によって発生させられたマイクロバブルとマイクロバブル水には水産生物における生理活性を誘起させる作用が存在した。

 ②その生理活性の作用効果は、水産生物の成長促進を実現させた。

 ③同時に、マイクロバブルとマイクロバブル水は、広範囲にわたって水質を浄化し、優れた水質環境づくりにも有益であった。

 ④マイクロバブルとマイクロバブル水の生理活性作用は、水産生物の産卵制御に役立ち、広島における若ガキ、真ガキにおける史上初の夏出荷、大船渡湾における初のバージンオイスターの誕生を実現させた。

 ⑤これらの成長促進、産卵制御に関する詳しいメカニズムの究明が重要である。

 (
つづく)。
 
kaki oohunato
大船渡湾におけるカキ養殖改善(当時、「バージンオイスター」と名付けらた)